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前回のホームで7試合ぶりの勝利を挙げた山形は前節、ビッグアーチに乗り込み、広島と対戦した。巧みなパスワークを前にプレスかかからず、シュート数で4対15と圧倒されながらも2度追いつく粘りを見せたが、74分に西河翔吾がこの試合2枚目のイエローカードを受けて退場したあと、PKを与えて決勝点を奪われた。伊東俊の仕掛けから得たPKで大久保哲哉が3試合連続ゴール、太田徹郎がJ初ゴールと2トップが得点したことは収穫だが、いまだ降格圏を脱することができない状況に、大久保は「とにかく勝たないと意味がないですし、得点も大事ですけど、チームが勝つこと」と結果にこだわる姿勢を強くする。小林伸二監督は、「若い選手が伸びて来ているのと、機動力があって、飛び出したりボールに絡んで数的優位をつくることを大事にしていきたい。タフなことになるが、今可能性を見いだしているところ。若い選手が伸びるのと、J1の中で結果を出すことを同時にするのは難しいかもしれないが、そこを私自身も判断をよくして進めていきたい」と、茨の道を覚悟で若い芽が伸びる可能性に懸けている。
一方の横浜FMは、前節・新潟戦では運動量で相手を圧倒。得点は小林祐三が得たPKを31分に兵藤慎剛が決めた1点にとどまったが、シュート数で13対5と終始押し込み、相手に得点を与えなかった。「今日は最初の15分はきつくても、しっかり前から行こうと言っていた。そのあとは状況をみて変えようということだったが、結構ハマっていた」と前線で意欲的なプレーを続けた小野裕二。今季6勝のうち、無失点勝利はこれで5試合目。中村俊輔不在のなか、G大阪には遠藤保仁のセットプレーで敗れたが、今季の3つの敗戦の直後はいずれも勝利しているのが今シーズンの強さの証左でもある。「全員が、よくハードワークしてくれた結果だ。2点、3点取って、もっとお客さんを喜ばせてほしかった。ワシに、これだけ汗をかかせて(笑)。もっと楽な試合をしてほしかった」と、木村和司監督も追加点を奪えなかったことを課題に挙げながらも、内容と何より勝利という結果には合格点を与えている。この勝利で首位・柏との勝点4差と5位をキープ。さらに上位をめざすためにも、今季まだ1度しかない連勝が必要となる。その勝利に必要なゴールのうち最初の1点が、記念のチーム通算1,000ゴールとなる。
両チームの戦力や戦術を見渡すと、勝敗を分けるポイントがいくつも浮かび上がるが、なかでも山形の左サイドハーフ・伊東俊と横浜FMの小林祐のマッチアップは、試合の行方に大きく影響するものだ。前節の横浜FMはトップ下に長谷川アーリアジャスールを置き、谷口博之が中に絞って小林祐の縦のコースを空けている。数的同数でも難なくつなげる技量を武器に相手を引きつけ、小林祐への大きな展開から一気に縦に突破する。前節でPKを獲得したプレーも小野からのサイドチェンジに小林祐が飛び出したもの。小林祐はそのほかにも緩急をつけたドリブルで仕掛けるシーンもあり、スペースを存分に暴れ回った。連戦の疲労がひどいものでなければ、今節でもそのいいイメージを持って入れるだろう。
その小林祐と対面する伊東は、前節で今季2つ目のPKを獲得している、チームきっての仕掛け屋だ。チームメートの信頼も得て、山形が奪ったあとは早めに伊東に預けられるケースも多く、抜群のキープ力を活かして攻撃の組み立てに寄与している。この伊東と小林祐、双方が縦に仕掛けたときマッチアップは見物だ。さらに、伊東は中央寄りでプレーする傾向があるだけに、攻守が入れ替われば小林祐が飛び出しやすい環境が整うことになるが、逆に山形の守備がハマるなど横浜FMのボールロストが多くなれば、その機会が失われることになったり、伊東に裏を突かれることにもつながり兼ねない。チーム戦術の良し悪しと併せて、2人の駆け引きは注目すべきものがある。
また、横浜FMは試合展開に関わらず、終盤にキム クナン投入を定番化している。キムは流れのなかでターゲットとなるだけでなく、山形にとってはセットプレーで1枚厄介なカードが増えることになる。ただし、終盤には横浜FMのバイタルも少しずつ開き気味になる傾向があり、前節も新潟がミシェウなど中央で収まる選手を次々に投入したことで、押し込まれる時間ができた。前節・広島戦でも終盤にカードを代えながら同点まで持ち込むだけのスキルは、山形も持っている。横浜FMがそれまでにリードしていれば乗り切れる確率は高くなるが、リードを許していたり、同スコアであればある程度のリスクを冒さざるを得なくなるため、攻防は激しくなるだろう。山形としては、先に失点することなく、そうした展開に持ち込みたい。
5連戦最後の試合。タフな試合を制した者だけが、勝点3と今後への自信を得ることができる。
以上
2011.06.25 Reported by 佐藤円













