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前節、95分に金久保 順が放ったフリーキックが川口能活の手を弾いてゴールに転がり、アウェイで劇的な勝点3を手にした大宮。実はこの試合、大宮の鈴木淳監督にとってJ通算100勝(通算16人目)を達成した記念すべき試合でもあった。山形(J2時代)、新潟、大宮と、常に上位チームを率いてきたわけではないだけに、この記録には価値がある。ただし本人は試合の2日後、神戸戦前の囲み取材で記者に質問されるまで「まったく知らなかった」そうだ。記者は100勝達成の感慨を引き出そうとしたが、「はい、まあ、そうなんだ、という感じです(笑)」と、穏やかで慇懃だが、簡単に相手の思惑には乗らない、相変わらずの鈴木節だった。
さて神戸戦。第18節ということは、本来の日程では折り返し後の最初の試合であり、前半戦では4月29日に対戦している( /jsgoal_archive/game/2011/20110100010320110429.html )。大宮にとっても神戸にとっても、選手も監督も、「この間やったばっかり」(鈴木監督)という感想だろう。それだけに記憶は新鮮で、「セカンドボールが拾えず、苦しい試合だった」と、上田康太は振り返る。あの試合、大宮は直前の柏戦で前線から激しくプレスをかけられるとビルドアップできず主導権を奪われる弱点を露呈した。それは神戸のストロングポイントでもあって、前半に李天秀が挙げた1点を守りきって勝ちはしたが、「内容は良くなかった」(鈴木監督)。神戸は当然、やり方は変えないだろう。
ただしその神戸も前節の鹿島戦で、ロングボールで最終ラインを下げられると全体が間延びし、攻守に機能しなくなるという弱点を露呈した。
つまりこの試合の見どころは、大宮がどう出るかにある。鈴木監督の就任からずっと追求してきたボールをつなぐサッカーで、神戸が待ち構えるハイプレスに挑むのか、それともつなぐサッカーは脇に置いて、目の前で見た相手の弱点を突いていくのか。鈴木監督のチーム作りは粘り強く理想に向かっていくが、通算100勝を挙げた指揮官がただの理想家のはずはない。現に5月29日のC大阪戦( /jsgoal_archive/result/2011/0529/20110100010120110529_detail.html )では、豪雨のピッチ状況からボールをつなぐのは無理と判断し、ロングボールをラファエルに集め、石原直樹が拾って最終ラインの裏をねらう攻撃に徹して勝利を収めている。
ただし悩ましいのはU-22韓国代表の金英權が、五輪2次予選のためヨルダンから帰ったばかりであることだ。最終ラインに彼の精度の高い左足があるとないとでは、ロングボールの効果に大きく影響する。リアリストに徹するためには金を強行出場させる必要もあり、鈴木監督にとっては難しい判断を迫られることになる。
大宮にとってはホーム初勝利がかかっている。また神戸はリーグ戦ここ5試合で1得点しか挙げられず勝ち星なしと苦しんでおり、お互いに何としても勝ちたい試合。神戸は浮上のきっかけをつかむためにも、原点に戻って、激しい前線からのプレスと、コンパクトな陣形から縦に速い攻撃を貫く。そして大宮には選択肢が2つ。理想を追うか、リアリストに徹するか、鈴木監督の出方に注目だ。
以上
2011.06.25 Reported by 芥川和久













