6月25日(土) 2011 J2リーグ戦 第18節
鳥栖 2 - 0 岐阜 (19:03/ベアスタ/4,427人)
得点者:21' 早坂良太(鳥栖)、50' 野田隆之介(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 6/27(月)後04:30〜
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経験を経るたびに人は強くなる。試合を重ねて、チームは成長する。リーグ戦をこなして、実力どおりの順位に落ち着く。
ここ数試合を思うような結果で終えることができなかったチーム同士の対戦ではあったが、観るものをひきつけ、感動とドラマを残した試合だった。鳥栖対岐阜の一戦は、互いに攻め、守り、力を出しつくした戦いであり、その苦悶の中から抜け出したのは、鳥栖の方だった。終わってみると、2−0で鳥栖の勝利であった。しかし、内容はその得点差ほど感じることは無く、十分な見ごたえとサッカーの面白さを与えてくれた。
前節の戦い方とは全く違う顔を見せた岐阜。「自分たちの原点は、前線からのプレス」(三田光/岐阜)と割り切って試合に臨んだ岐阜。その言葉どおり、キックオフの合図とともに、ボールにプレスをかけに行った。ファーストDFが、ボールを追い込むコースを限定し、そこに2人3人とプレスをかける。鳥栖が苦しくなってボールを蹴ると、そこは岐阜の思う壺。DFラインを高く保ち、そのボールを弾き返す。DF裏に出れば、GK村尾龍矢が積極的に飛び出す。そこでボールを奪うことができると、岐阜の得意とするショートパスでつないで鳥栖陣内に攻め込む。と、ここまでは岐阜の作戦は単純明快だった。これで、「前半を0−0でしのぐ」(木村孝洋監督/岐阜)事ができれば、岐阜は第13節から続く長く暗いトンネルを抜け出たかもしれない。しかし、その予感を感じさせつつも、21分にその夢が遠ざかる先制点を奪われてしまった。
「鳥栖には、先制点が大事だとあらためて感じた」と試合後に語ったMF早坂良太にゴールを決められた。そこまで、鳥栖は良く耐えた。岐阜の早いプレスに梃子摺り(てこずり)ながらも、岐阜DFの突破口を探していた。岐阜のサポーターには、『鳥栖は手を焼いていた』ように見えたかもしれないが、鳥栖のサポーターには『梃子摺る』ようにしか見えなかっただろう。このわずかな差が試合結果となって出てきたように見えた。21分、中央から右サイドを駆け上がったDF田中輝和にボールが出る。これをダイレクトで前線にグラウンダーのボールを入れた。今節の先発だった2トップ池田圭と野田隆之介の息のあった動きから、走り込んだ早坂良太にボールはつながった。「完全に崩されて奪われた得点」と染矢一樹(岐阜)が認めたゴールだった。
後半開始から、岐阜は中盤と前線にパワーを注入した。MF橋本卓とFWブルーノの起用である。守備では、ある程度の成果を見せていたので、後は得点である。「どんな形でも、自分たちに必要なのは勝点3」(三田光/岐阜)との思いは観ている人たちには伝わった。しかし、バイタルエリア付近まではボールを運ぶことができても、シュートまでが遠かった。
早坂と野田の得点の影に隠れてしまってはいるが、鳥栖の今節一番の勝因とも言える“守備の鉄壁さ”が90分間を通して出ていた。サッカーで言われる『チャレンジ&カバー』が、この日の鳥栖DFにはよく見ることができた。決定的なシーンを岐阜に与えることなく、無失点で抑えることができた。センターバック木谷公亮のラインコントロールとカバーリング。呂成海のファーストチャレンジ。磯崎敬太のパスコースを消すポジショニングと強いコンタクト。これだけの守備の意識が前面に出れば、どのチームでも簡単にゴールを割ることはできないだろう。この日、100試合出場を飾ったGK室拓哉は、「前線からあれだけ守備をしてくれたら、俺らはもっと守備をしないといけない」と試合中から気を引き締めていた。そして、MF永田亮太がセカンドボールを拾っての攻撃へとつながっていった。このチーム一丸となった戦い方は、50分の野田の追加点につながった。
終わって見ると、2−0で鳥栖が勝った。放ったシュートも鳥栖の12本に対して、岐阜は7本と鳥栖の優位を見て取れる。この差こそが今の順位に出ているのだろう。しかし、今節の鳥栖と岐阜の双方とも、次節以降への新たな可能性を感じさせる試合であった。サッカーは、華麗なテクニックだけではないところを見せてくれた。ハードワークと駆け引き、相手をはめ込むゲーム感は、互いのサポーターだけではなく、観る人全てを唸らせる試合だった。
今節の鳥栖対岐阜戦は、記憶だけでなく記録に残る試合ともなった。列挙しておくので、読者諸兄それぞれで振り返っていただきたい。
J2加入以来、267試合目でホーム戦100勝を飾ることができた。(通算戦績は100勝61分106敗)
DF木谷公亮は250試合、GK室拓哉は100試合、FW池田圭は50試合の出場記録に到達した。
目立ちはしないが長くリーグで戦ってきた記録であり、チームとしても選手としても節目である。そして、次の記録へのスタートでもある。
もうひとつ、ささやかだが本人にとっては大きな記録がある。FW野田隆之介のホーム初得点も末尾に加えておきたい。
サッカーには、芸術点も無ければ判定勝ちも無い。得た得点だけで勝敗を決するスポーツである。
しかし、その結果を得るための過程にはいくつものドラマが生まれている。記録には残らないかもしれないが、観る人によっては、記憶に残るプレーであり、選手にとっては宝物になるだろう。
一人の力では得ることができない勝利。ここにサッカーの面白さがある。
サッカーはチームプレーであり、気持ちをひとつにしないと得点は生まれないスポーツなのである。
以上
2011.06.26 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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