6月26日（日） 2011 J2リーグ戦 第18節
北九州 2 - 1 草津　（18:03／本城／2,340人）
得点者：41' 安田晃大（北九州）、46' アレックス（草津）、84' 長野聡（北九州）
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本城の空から雨が垂れてきたのは試合が終わってからだった。「雨の本城」に北九州は強い―。そうプレビューで書いたが少しだけ訂正をしなければいけない。言うなれば「風の本城にも強い」、と。
台風が接近し、メーンスタンドからみて右から左へと強風が絶えず吹いていた。試合前のコイントス。北九州のキャプテン・木村祐志は風上を選んだ。「（16節の）鳥栖戦では逆だったけど、風上でもいいかなと」。淡々と話す木村の表情を見ていると大きな意味はなかったのかもしれないが、しかし終わってみればその選択が北九州の追い風になった。

風上に立った北九州は前半、積極的にミドルレンジからゴールを狙っていく。8分には左サイドからのスローインを受けた森村昂太が左足でミドルシュート。直後の11分には長野聡が右からミドルシュートを放つ。強風にあおられたシュートは読むのが難しいが、いずれも草津のGK北一真が好セーブを見せコーナーキックに逃れる。
北九州はペナルティエリアまで切り込んでのシュートはなく草津の守備を完全には崩せないまま時間が経過、次第に草津が流れを掴むようになる。26分には萬代宏樹が北九州DFのミスを突いてシュートまで持ち込む。35分には古林将太のスローインをラフィーニャが折り返してアレックスがゴール正面でシュートへ。北九州のDFが最後の局面で体を張ってなんとか止めていたが、草津がリズム良く攻め立てていて、試合は草津に傾きつつあった。
そうした中での一瞬の隙を突いたのが北九州・安田晃大だった。41分。長野聡からのパスを敵陣の中央で受けた安田はGKの位置を見るやすかさず左足でミドルシュートを放った。「キーパーが出ていたので積極的に打った」というシュートは風に乗りふわりと浮いた弾道。GKをすり抜けてゴールネットを揺らした。

しかり北九州のリードは長く続かず、後半の立ち上がりに草津が追いつく。北九州のクリアミスを萬代が拾って右サイドのアレックスに流し、アレックスが落ち着いて同点ゴールを決める。
悪い流れを断ちきりたい北九州は、風下に立ったことで、ミドルシュートやロングボールではなく、関光博がサイドをえぐったり、池元友樹のドリブルを織り交ぜながら、ゴールに近い位置へとボールを運ぶ。一方の草津は山田晃平と山本啓人を投入し落ちてきた運動量を上げようとするが、決定的なチャンスを作れないまま試合は終盤に向かっていく。

均衡が破れたのは84分だった。フリーキックのこぼれ球を宮本亨が右サイドで拾ってセンタリング。そこへ長野聡が飛び込み、頭で合わせて追加点を奪った。三浦泰年監督が「チームにも勢いがつき、成長に繋がる大きな得点。彼が取ったことは非常に嬉しく思っている」と喜ぶ長野のFW転向後初ゴールで北九州が試合を決定づけた。

北九州はこれでホームゲームで5試合連続負けなし。この試合でも終了のホイッスルに近い時間帯での得点で、ホームでの勝負強さを見せつけた。勝点は17まで伸び昨年の勝点15を早くも上回った。「来てくれている人たちの声援というものを背中で感じているし、遠いバックスタンドから最後まで諦めずに支えてくれているのを本当に痛感しています」と三浦監督。ホームの声援に支えられ、また、風や雨という悪条件が重なる本城の環境を追い風に、北九州はまだまだ勝点を積み増せていけそうな予感がする。

草津は今節、熊林親吾を欠き左サイドから前戦への供給が止まった。ただ副島博志監督は「運動量が上がらず攻守において自分たちのサッカーができなかった」と話し、運動量不足を指摘する。今週の草津は水曜日にもゲームが入る。十分なケアをして疲れを引きずらないようにしたい。

以上

2011.06.27 Reported by 上田真之介