6月26日(日) 2011 J2リーグ戦 第18節
札幌 0 - 0 富山 (14:03/札幌ド/10,357人)
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「ある程度の形は作れていたけど、本当のチャンスというのはあまりなかったと思う。相手GKと1対1になったりだとか、完全にフリーでシュートを打つというのもなかった。決定力というよりも、もっとビッグチャンスを作らなければいけないと思う」。そう振り返るのは札幌の内村圭宏。後半に入ってからはサイドを起点に札幌が攻め続ける時間が続いたが、相手ゴール付近には迫りながらも、実際には決定機は作れていない。札幌が勝てそうな試合ではあったが、富山がうまく逃げ切ったとも言える。そういう試合だった。
札幌は4−1−4−1のフォーメーションでスタート。1枚の守備的MFには宮澤裕樹が入ってゲームをコントロールし、トップ下の2枚は砂川誠がタメを作ってブルーノがシンプルにパスを動かすという形。対する富山はいつも通りの3−3−3−1という独特の布陣で、前線では1トップの苔口卓也とトップ下の黒部光昭が入れ替わりながらボールを引き出すやり方だ。
この試合、札幌の狙いどころのひとつはサイドチェンジだった。3−3−3−1で前後左右をコンパクトに保つ富山の陣形は、攻撃時にはボール保持者の近くにバランスよく選手が配置されているためパスの選択肢が確保されているが、ピッチの横幅を3人で見る形であるため、右から左あるいは左から右へとサイドチェンジをされるとどうしても逆サイドにスペースを生んでしまう。札幌は序盤から宮澤、砂川の大きなキックでそのスペースを狙っていった。
ただし、「そのスペースはどの相手も狙ってくるから」と話すのは富山の平出涼。富山も当然、自分たちの布陣の長所、短所をしっかりと理解しているということだ。前半のうちは体力的にもフレッシュだったこと、涼しい札幌ドームでの試合でもあったということもあって、アウェイの富山がしっかりとボールにアプローチをして札幌の狙い通りには攻めさせない。たとえサイドチェンジをさせても、その場合の約束事も出来上がっているため、簡単にはチャンスを与えない。「前半は自分たちのやろうとしていることが出せた」とも平出は振り返る。3−3−3−1の布陣は、相手の布陣の狭間にうまく人が配置されているため、前半の富山はその部分もうまく機能しセカンドボールを拾えていたのだ。
しかし後半に入ると、札幌が徐々に押し込んでいく。1トップの横野純貴にボールが収まる場面が増え、それによってサイドからの攻撃が活性化されたの。やはりサイド攻撃を効果的にするには、中央からの攻撃も相手に意識させることが大事になる。
そのリズムを増長させるべく、71分。札幌は左MFに岡本賢明を投入する。高い技術とスルーパスのセンスを持つこの選手が入ったことで、砂川、左サイドバックの岩沼俊介との絡みから何度もチャンスを演出。74分には岡本の絶妙なスルーパスから砂川が敵陣深くに入り込み、そこからの折り返しに横野が合わせる惜しいチャンスを作ってみせた。さらに札幌は前線に内村圭宏を、右サイドにもスピードとテクニックのあるアンドレジーニョを投入してたたみかける。
「逆サイドからボールが来たときにスペースが出来るので、そこでチャンスを作ること」。ベンチから送り出された際に受けた指示について岡本はそう説明する。後半の中頃からの富山は、札幌が中央からの攻撃を織り交ぜてきたこともあって、全体の布陣が徐々に内側へと絞るような形になっていた。前半よりも左右のスペースは広くなっているということである。そしてそのスペースを利用して岡本が絶妙なスルーパスを砂川へ送ったり、アンドレジーニョが素早いドリブルで攻め上がった。
この試合終盤の時間帯を見れば、札幌が完全に押し込んでおり、勝機は十分にあったようにも感じる。しかし、結果的にはスコアレスドローとなってしまう。果たして、その背景には何があったのか。ということで、冒頭の内村のコメントがそのヒントということになる。
「ある程度の形は作れていたけど、本当のチャンスというのはあまりなかったと思う。相手GKと1対1になったりだとか、完全にフリーでシュートを打つというのもなかった。決定力がなかったというよりも、もっとビッグチャンスを作らなければいけないと思う」(内村)。加えて横野も「ペナルティエリアの中でパスをしてしまうような場面があった」、近藤は「シュートを打てるところでつないでしまった場面もあった」。そして幾つものチャンスに絡んだ岡本が「スペースがあってボールを持ててしまったことで、なかなかシンプルにプレーができなかった」と口にする。相手の弱点となるスペースを突き、効果的な形になって選択肢が増えてしまったが故に、シンプルさを失ってしまったということか。
とはいえ、プレーの選択肢は多いに越したことはない。石崎監督も「正解は結果。ゴールが決まれば、その選択が正解ということになる」と話す。シュートを打てる場面でもつないでしまったり、シンプルにプレーできなくなってしまったならば、その後のプレーを得点につなげていくしかない。パスや判断の精度、スピードを高めていく必要があるだろう。また、終盤は富山の攻撃の手数が少なかったことを考えると、サイドバックなどどこかのポジションを削って前線の人数を増やすというのも得策だったかもしれない。
そしてもちろん札幌が無得点に終わったのは、富山が粘り強く守り切ったというのも理由のひとつだ。ここ数試合、失点が増えていただけに「受け身にならず、自分たちで責任を持って積極的に守備をしようと話し合った」(平出)という。その成果が、勝てなかったとはいえ、無失点という形に結実したわけである。
札幌が決定的なチャンスを作り切れず、富山が粘り強い守備を見せた。そう考えていくと、スコアレスドローという結果は、ある意味でチームの力と試合内容をしっかりと反映した結果なのだろう。
以上
2011.06.27 Reported by 斉藤宏則
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