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【J2:第2節 鳥栖 vs 栃木】レポート:ホームアドバンテージを生かせず、栃木のチーム一丸となった粘りに鳥栖が屈す。アディショナルタイムにドラマが生まれた首位攻防戦(11.06.30)

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6月29日(水) 2011 J2リーグ戦 第2節
鳥栖 1 - 2 栃木 (19:03/ベアスタ/3,917人)
得点者:8' 本橋卓巳(栃木)、56' 野田隆之介(鳥栖)、90'+4 パウリーニョ(栃木)
スカパー!再放送 Ch180 6/30(木)後05:00〜
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首位争いをしているチームにふさわしい栃木の戦い方だった。
2戦連続でのアウェイでの戦いを強いられた栃木。しかも、前節(第18節・6月26日)は、首位争いをしている千葉を相手に死闘を演じ、栃木に戻ったのが深夜だった。それから中2日で鳥栖に乗り込んできて、4位の鳥栖相手に90分間の試合をこなした。この状況では、敗れはしても誰も文句は言わないだろう。
ところが、キックオフの笛がなると同時に、栃木の選手たちはこのようなビハインドを感じさせないプレーを見せた。一斉に鳥栖のストロングポイントを消し始め、たちまちこの試合での主導権を握ったのである。鳥栖にボールを保持されても確実にパスコースを消し、チャンスらしいチャンスを与えなかった。「闘えていない」と尹晶煥監督(鳥栖)は、前半をこう表現した。

典型的だったのは、開始から間もない時間帯に、鳥栖の右サイドにボールが入ろうとした瞬間のところだった。
右サイドの高い位置でMF早坂良太(鳥栖)がボールを引き出す動きを見せた。これに右サイドDF入江利和(栃木)が反応し、マークに入った。この空いたスペースにFW池田圭(鳥栖)が走り出すと、MF本橋卓巳(栃木)がついて行きパスコースを消した。逆サイドにいたMF國吉貴博(鳥栖)が中に入ろうとすると、サイドDF赤井秀行(栃木)がマークに入る。
2つ先のプレーを見越してのリスクマネジメントである。これでは、鳥栖の自慢のサイド攻撃が機能しないし、栃木のゴール近くにボールは運べない。立ち上がりから、栃木の守備での約束事が生かされていた。
そして、ボールを奪うと前線に攻撃のスイッチが入り、一気に鳥栖ゴールへ迫ろうと試みる。
この状態の中で、8分に栃木に先制点が入った。第11節(5月8日・横浜FC戦)以来の出場となったMF本橋卓巳が、鳥栖DFのクリアボールを豪快に左足で蹴りこんだ。これで、さらに栃木に勢いがついた。前半の45分間のほとんどを栃木が主導権を握ったままで終えることができたのである。ホームアドバンテージがあるはずの鳥栖が、前半は終始後手を踏んだ状態で終えることになった。

後半に入ると、鳥栖も劣勢を跳ね返すべく前線からの激しいプレスを見せた。その結果、56分に左CKからFW野田隆之介がヘディングで豪快に栃木ゴールネットを揺らした。この1点は、前半の劣勢を跳ね返しただけでなく、鳥栖に勢いをもたらした。
事実、アディショナルタイムの4分までの40分近い時間を栃木は守備に追われていた。追いついただけでなく、一気に逆転するかと思うほど、鳥栖の攻撃の時間が一気に増した。

「アウェイ戦での1−1も仕方ない」(松田浩監督/栃木)と思えた中で、アディショナルタイムにドラマが待っていた。鳥栖のゴールまで約30m付近で栃木がFKを得たのである。
高木和正(栃木)の蹴ったボールは、途中出場の船山貴之(栃木)の頭を経由して、ゴール前へ飛び込んだMFパウリーニョのヘディングシュートへとつながった。
「最後まであきらめなかった」(大和田真史/栃木)気持ちが、「決勝点はみんなのゴール」(本橋卓巳/栃木)に変わったのである。
首位争いをしているチームには、このような劇的な勝利が時に起こりうる。
総得点差で2位になったとはいえ、栃木はスケジュールなどの厳しい状況を全員の気持ちをひとつにして、見事に跳ね返したのである。

今節の鳥栖対栃木のプレビューで、筆者は栃木を『徹底されたゾーンディフェンスで相手に得点を許さない(イメージがある)』と表現した。そして、試合を見ての感想は、1失点はしたものの『徹底されたゾーンディフェンスで相手に得点を許さない』チームだった。まさにイメージどおりのチームであった。
鳥栖も後半は良く攻めたが、サッカーは『守備でリズムを作るスポーツ』と言った側面を証明する栃木の試合運びを見せた試合だった。

サッカーは、『90分間良いプレーを続けても、1本のシュートで敗れることもある』スポーツである。
言い換えると、『先にシュートを決めておけば、それだけ優位に進めることができる』スポーツでもある。
1本のシュートで1得点しか加算できないサッカーほど、1得点の重みがあるスポーツは他には見当たらない。
1得点(1失点)をめぐる攻防こそ、サッカーの醍醐味である。

以上


2011.06.30 Reported by サカクラゲン
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