6月29日(水) 2011 J2リーグ戦 第2節
草津 0 - 0 愛媛 (19:34/正田スタ/1,458人)
スカパー!再放送 Ch182 6/30(木)後07:00〜
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両チームの選手がピッチアップを始めたころから降り始めた雨は瞬く間に勢いを増し、群馬特有の激しい雷も伴い始めた。雷雨の影響により選手たちはアップを一時中断し室内練習場へ戻り待機することになる。キックオフは天候のいたずらにより19時04分から19時34分へ変更、ゲームは30分遅れで開始されることになった。
2連敗中の草津は先発メンバーを入れ替えてゲームへ臨んだ。前線にはブラジルから来た3人目の刺客・リンコンを今季初先発させ、ラフィーニャ、アレックスとともにブラジルトリオを並べる形を選択した。またGKには橋田聡司を起用、2戦6失点の守備陣に刺激を加える。一方の愛媛は齊藤学、ジョジマールの2トップを軸に序盤からアグレッシブな攻撃サッカーを展開する。計10ゴールを叩き出しているラフィーニャ、アレックスの草津攻撃陣と、計9ゴールの齊藤、ジョジマールの愛媛2トップの対決ともなった。
愛媛・バルバリッチ監督は「全体的にみれば、この結果は現実的なものだった」とゲームを振り返ったが、両チームともに勝機があった試合だった。
前半は愛媛のゲームだった。両サイドバック関根永悟と前野貴徳が高い位置に張り出し、草津のサイドを侵攻。アンカーの渡邊一仁がDFラインのカバーリングをするとともにビルドアップに参加、前線へ効果的なクサビを打ち込んでいく。「前半最初からボールが回っていて、自分も高い位置で攻撃に加わることができた」(関根)。24分にはジョジマールとの連係で前野がペナルティーエリアまで駆け込みシュートを放つなど愛媛が形を作っていく。草津は、愛媛のシステムへの対応が後手に回り、カウンターでゴールを狙うのが精一杯となる。
後半の立ち上がりも愛媛が主導権を握る展開が続いたが、草津も負けてはいなかった。愛媛の運動量が落ちてくるとブラジルトリオがあうんの呼吸でパスをつなぎ、リズムを取り戻していく。リンコンが自在のポストプレーでボールを収めるとラフィーニャが裏へと走りチャンスを演出していく。草津が最もゴールへと近づいたのは65分だった。ショートカウンターでボールを受けたリンコンがララフィーニャへとスルー。ラフィーニャはGKと1対1となったが惜しくも川北裕介のファインセーブに防がれる。ゲーム終盤、草津はホームの強みを発揮し愛媛を押し込んでいくが、ゴールを割ることができずスコアレスでのタイムアップとなった。
愛媛は想像以上に強かった、というのが実際に試合をみての印象だ。指揮官が提示した戦術を選手たちが理解し、個性溢れるサッカーを展開した。交代選手も役割を把握しきっちりと仕事を果たすなど、チームとしての組織的かつ反復的なトレーニングが行われていることが見て取れた。バルバリッチ監督は「我々はまだリーグの頂上を目指せるチームではないので、一つひとつを戦っていくしかない」と語ったが、上位に食い込むだけの力を備えている。今ゲームの結果で最近7試合4勝2分1敗となったが、愛媛の強さは単なる勢いだけではない。
草津は内容的には課題を残したが、今季初めての引き分けで勝点1を獲得した。「無失点での引き分けという結果をポジティブに考えたい」(副島博志監督)。決してチームは良い状態とは言えなかったが無失点で終えたことは収穫となる。ただGK橋田が「守備陣が体を張って耐えてくれていたので、欲を言えば勝ちたかった」と話したように、今後は内容の悪い試合でも勝点3を奪うしたたかさも求められる。リーグの約3分の1を終えたが、混戦J2では20クラブの力の差はわずか。今後は、小さな勝機を逃さない勝負強さを身につけていく必要がある。
試合前、試合会場はどんよりとした重い雨雲に覆われたが、スタジアム上空の雲間からはわずかながら明るい光も差し込んでいた。雲外蒼天。雲の外に出れば青空が望める、努力の先には良い結果が待つという意味の四字熟語だ。今日の結果は両チームにとって曇りとなったが、両チームの特長は随所に表れていた。信念を貫いた先には青空が待っているはずだ。
以上
2011.06.30 Reported by 伊藤寿学













