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【J2:第2節 東京V vs 水戸】レポート:水戸キラー菊岡の一撃で東京Vが見事な逆転勝利で3連勝。水戸はせっかくの2点を生かしきれず、悔しすぎる敗戦に(11.06.30)

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6月29日(水) 2011 J2リーグ戦 第2節
東京V 3 - 2 水戸 (19:03/味スタ/2,164人)
得点者:8' 島田祐輝(水戸)、15' 常盤聡(水戸)、39' 飯尾一慶(東京V)、49' 阿部拓馬(東京V)、64' 菊岡拓朗(東京V)
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菊岡拓朗の“有言実行”ゴールで、東京Vが今季初の大逆転勝利を収めた。
2点差をひっくり返された水戸からすれば悔やまれてならないゲームだろうが、試合全体としてみれば、互いに15本ずつシュートを放った、最後までゴールを目指し続けたスペクタクルな好ゲームだったと言えよう。

立ち上がり、東京Vにとっては、まさかの展開だった。
前半8分、村田翔からボールを受けた島田祐輝が狙った左足ミドルシュートが鮮やかにゴールネットを突きさし、水戸が先制する。さらに7分後には、村田の直接FKに常盤聡が右足を当て、早くも2点のリードを奪った。
東京Vは、前々節、前節の大勝連勝ではどちらも先制しており、この試合も「とにかく先に点を取って、気持ち的に乗って自分たちのリズムでゲームを進められるか」をポイントに挙げる選手が多かったが、逆に奪われる展開。まして、立て続けに2失点という、自分たちが前節の岡山戦で相手に食らわせた大きなダメージを受ける羽目になってしまった。

恐らく、少し前までの得点力に悩んでいたチーム状態であれば、この時点で焦り、下を向いてしまっていただろう。だが、ここ2試合で5点、4点とコンスタントに大量得点を奪えている今の東京Vには、たとえ2点差がつこうが、「1点入れば絶対に勝てると思っていた」(森勇介)自信があった。
「(小林)祐希とサエ(佐伯直哉)に、前節の岡山戦みたいにボール回せって言ったの。ボールを回して相手を動かして、動かしてやっていけば、必ず疲れてミスが出るようになる。その通り、途中から相手のFWは追ってこられなくなった」と、土屋征夫。そこからは、自分たちのサッカーを展開するだけだった。

そのチームに勇気を与え、逆転劇を生んだ『1点』を奪ったのは、この大勝の2試合を出場停止のためチームを離れた飯尾一慶だった。ベンチスタートとなったが前半32分、ケガをおして強行出場した河野広貴に代わって早々と投入されると、同39分に小林祐希の枠を捉えた高質FKを水戸GK本間幸司が超ファインセーブで両手でキャッチし掻き出したボールに詰め、1-2とする。
「前半のうちに1点返せたのが大きかった」。川勝良一監督はじめ、東京Vの選手たち誰もが口にした貴重な1点は、「無理をしてまで試合に出た河野の分も頑張らなきゃなという気持ちで入った。僕のつまらない行動で2試合出場停止となり、チームに迷惑をかけた。でも、その間に5-1、4-0とチームはいっぱい点を取って良い形で勝ってた。僕が入っている時に前半点を取ったことがなかったので、正直『僕が出ないほうがいいんじゃないかな?』って思う部分もあった。自分が入って負けなくてよかった」。感化、自責、反省、焦燥、危機感、安堵… ヴェルディを最も愛する男の1人が、さまざまな思いを抱えながら生んだものだった。

1-2として迎えたハーフタイム、川勝監督は「ひとつになれ。全員が『逆転できる』と思え」と伝えると、チームの逆転への確信はさらに高まった。
すると後半4分、左サイドの飯尾が逆サイドを駆け上がった森に振って大きくサイドチェンジ。ドリブルで中に切り込みながら森が入れたゴール前のクロスに、阿部がファーで頭で合わせ同点とした。
さらに後半19分、マラニョンが鋭いドリブルからゴール前へ放ったシュート性のボールに右足を当てたのは菊岡拓朗。「モッてましたね!!」と、自信たっぷりに語った「10」番の逆転ゴールで、東京Vは今季初の3連勝を掴んだ。
また、前田隆司GKコーチが「影のMVP!」と、愛弟子を高く評価していた通り、好セーブの連続で追加点を許さなかったGK柴崎貴広の働きも、この勝利には絶対に欠かせなかった。
「3点取ってくれた攻撃陣に『ありがとう』だね」(土屋)。守備陣のミスは攻撃陣がカバー、逆またしかり、というチームのバランスが、上手く機能し始めたのではないだろうか。

川勝監督は、「出られないで試合を見た選手が全員、『自分も出たい』って思うような試合をしていきたいし、この先順位を上げていく上でも、そういう思いを持つ選手が何人も出てこないといけない」と語っていた。この試合を見て、「出たい」と思った選手も少なくないだろう。その思いを日頃の練習で表現し、激しいポジション争いを仕掛けることで、全員でチーム力アップを図る。「3連勝? まだまだ。もう1つも負けたくない」(川勝監督)。

一方、敗れた水戸は、幸先良く奪った2点を有効に生かすことができなかった。その無念さは、柱谷哲二監督の試合後の会見での「本当にもったいない」という言葉の何度も何度もの繰り返しを聞けば、十分伝わってきた。

勝敗を分けたのは、経験の差か。「これだけ暑いので、ボールポゼッションを高めましょうと言っているのにもかかわらず長いボールを蹴るヤツがいた。本当にサッカーをわかっていない」と、水戸の闘将は激昂したが、一方の東京Vには、ピッチコンディション、相手の状況、自分たちの実力、ゲーム展開などをいち早く読み、ボランチに「ボールを回せ」と指示し、試合の流れを変えることのできる土屋というピッチ上の監督が存在した。「若さ」という今季水戸の最大のストロングポイントが、この試合ではマイナスに働いたのかもしれない。
とはいえ、「どんな相手でも自分たちのスタイルは変えない」という柱谷監督の言葉通り、水戸のサッカーは最後まで貫かれていたし、小池純輝のバーを叩いた2本の決定的シュートをはじめ、GK柴崎の好セーブで阻まれた決定的シュートなど、決まっていれば逆転は十分あり得た場面も多々あった。「シュートは決まられなければ意味がない。それが今の実力」と、小池は悔しさをあらわにしていたが、今後への糧と自信になったに違いない。

7月半ばになれば、世間も注目する新加入の鈴木隆行がいよいよ出場可能となる。「モノが違う」と、柱谷監督も惜しみない賛辞と期待を口にしている。当然、今出ている選手たちも、易々とポジションを明け渡すつもりはないだろう。そうした闘争心も含め、今後の水戸は大注目のチームではないだろうか。

以上


2011.06.30 Reported by 上岡真里江
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