スカパー！生中継 Ch184 後05:50〜
☆totoリーグに投票しよう！｜COOL5特集
----------
この横浜FCと北九州の一戦は、第4節に最初の対戦が行われる予定であり、シーズン序盤に、「カズ対ヤス」で盛り上がるはずだった。しかし震災のため予定は変わり、この対決は7月下旬にずれ込んだ。そして、この間に両チームを取り巻く状況は一変した。横浜FCは、目標としていた優勝がかすみつつある一方、北九州は自らのスタイルを確立し躍進を遂げていることは誰の目にも明らかだ。そして、その北九州のサッカーを三浦知良は「丁寧なサッカーをする」と評するが、横浜FC、北九州ともに中盤でポゼッションをするサッカーは同じスタイルだ。単純な「なんとか対決」という図式よりも、チームとしてどのように中盤で駆け引きをしていくか、その濃密な90分が期待できる試合になる。その「駆け引き」の大きなポイントは、サイドでの主導権争いと、中盤での切り換えに凝縮される。
サイドという点では、北九州は、攻撃時にはボランチ桑原裕義がディフェンスラインに下がり、両サイドバックが高い位置を取る。そしてサイドでの数的優位を使いながら相手を押し込みポゼッションしていく狙いを持っている。サイドでの数的優位は作り易くなる一方、サイドの裏にはスペースを作ってしまう。もちろん、そこでのリスクマネジメント、中盤での守備の連携が上手くいっているからこそ、北九州は好成績を挙げていることになるが、前節の岡山戦のように3バックの状態になった時にピッチを広く使われる展開になると、失点の可能性を生むことになる。つまり、高い位置に入った北九州のサイドバックに「裏の恐さ」を意識させて下げるという戦い方と、上がった裏を使ってゴールを奪うという駆け引きが重要になる。横浜FCの右SB藤田優人も「相手の冨士（祐樹）も上がってくるし、FWが前で収めてくれれば、裏を使うことが出来ると思う。その流れで、できれば得点も狙いたい」と語るように、サイドの攻防が勝負の場面に直結するだろう。
そして、北九州の生命線は攻守の切り換え。前節は2失点したがその前の3試合は無失点と、守備の集中とポゼッションを支えているのは、攻撃から守備への切り換えだ。そして、同じように守備から攻撃への切り換えがチームに大きな力を与えている。岡山戦でも、ショートカウンターを見せるようになり、スイッチが入ったように相手を押し込んだ。このリズムができるようになれば、北九州が今シーズン蓄えた自信をピッチの上に表現するようになる。そこで、横浜FCにとって大事なポイントは、セカンドボールで負けないこと、そしてショートカウンターに直結するような悪いボールの失い方をしないことが重要だ。横浜FCにとっても相手の裏を使うにはショートカウンターを決めることが有効となる。お互いがショートカウンターを試む一方、その芽を摘み取ろうという攻防の中、中盤の集中力を90分保った方が勝点3に近づくことになる。
この試合に当たって、横浜FCの選手は「受け身になってはいけない」と口を揃える。好調の北九州を迎え撃つのではなく、いかに自ら駆け引きを挑み、先制点をもぎ取るか。その積極性が重要となる。その意味で、藤田優人は「この試合は西田（剛）に掛かっている」と断言。前節でも後半から中央に入り前線で献身的にポスト役をこなした。「僕がボールを収めないと、ゴール前にはボールは出てこない。そしてクロスに飛び込んで行くのが僕の特長なので、クロスを上げてもらえるようにしたい」と西田も意気込む。サイドの上がりを助ける役割とサイドからのラストパスを決める役割。この試合の勝点3への大きな鍵を西田が握っている。
横浜FCにとっては、「混戦J2」に甘えられる状況ではなく、勝点3を取り続けないといけない。夏に向けてピッチを上げるためにも、同じスタイルの好調北九州を上回って勝点3を取ることが不可欠だ。北九州も三浦泰年監督が「成熟させるつもりはない。まだまだやらなければいけないことが多い」と前節の記者会見で述べたように、まだまだ成長過程にある。その成長のためにも、連敗は許されない。どちらが、そのスタイルで相手を上回り結果を残せるか、後半に掛けた両チームの戦いを占う一戦となるだろう。
■この試合注目のCOOL BALLER：西田剛（横浜FC）
以上
2011.07.23 Reported by 松尾真一郎
