8月20日(土) 2011 J1リーグ戦 第22節
甲府 3 - 2 浦和 (18:04/国立/21,589人)
得点者:13' パウリーニョ(甲府)、19' ハーフナーマイク(甲府)、23' 柏木陽介(浦和)、43' パウリーニョ(甲府)、83' エスクデロセルヒオ(浦和)
スカパー!再放送 Ch180 8/22(月)前06:00〜
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試合前、アウェイゴール裏をほとんど埋めた浦和サポーターを見て「やっぱり凄い」と実感した。観客の割合は見た目で35(甲府)対65(浦和)くらいだっただろうか。浦和が優勝争いをしていたらバックスタンドの2階席まで真っ赤になっていただろう。片桐淳至は「国立のゴール裏を真っ赤に出来る浦和サポーターをリスペクトしたい。甲府もそうなるように選手は頑張らないといけないって思った」と言う。記者席に座ってもホームという感覚はなく、試合前からなんとなく浦和に気圧されている感じが伝わってきた。07年に国立で行ったホーム浦和戦(●1−4)のときは前年のチームスローガン「探検J1」気分が残っていて、試合前から気圧された記憶はないが、現実を直視できるJ1昇格2回目は違った。試合後にある選手が「アップのときから浦和サポーターにちょっと呑まれた雰囲気があった」とポロッとこぼした。更に突っ込むとプライドなのか、「それほどでも…」と言い直したが、ラジオの解説で来ていた林健太郎も「あの雰囲気は呑まれると思うよ」と言ったように、地の利がある山梨でのホームゲームとは違う雰囲気の中で試合が始まった。
甲府が先制ゴールを許していれば、呑まれたまま大量失点の可能性もあった。ボランチの山本英臣、井澤惇が入れられたクサビのセカンドボールを必死に拾っていたが、チームとしてはややギクシャクした立ち上がりだった。ハーフナー マイクに入れたボールを拾うポジションにいる選手も少なかった。この流れを変えたのは「お母さんが観戦に来ると勝つんですよ」という井澤のバックヘッド。浦和がディフェンスラインから入れたロングボールを内山俊彦がヘッドで跳ね返すと、挟み込むために下がった井澤のところに上手く飛んで、「適当にバックヘッドした」(井澤)ボールがパウリーニョに繋がって先制ゴール。決定機に決めたパウリーニョは素晴らしかったが、そのボールが自陣で押し込まれることを避けるためのクリア同様のバックヘッドだったことが運よく意外性のあるパスになった。
この先制ゴールが甲府の活力に繋がった。これがターニングポイントだったと思う。その後は守備の出足がよくなったし、数的不利だったゴール裏の甲府サポーターも勢いがついた。1分後の決定機は決めることが出来なかったが、19分にはパウリーニョが左から入れたボールをマイクがヘッドで決めて2−0。不況に喘ぐ山梨県全体が自信を取り戻したような雰囲気になった。そして、この時間帯から目立ったのが柏好文対柏木陽介のバトル。因縁でもあるのかと思うほど、柏木はフェアプレーを最大限拡大解釈したタックルを柏に喰らわせていたが2人に因縁などなく、柏木は「僕の前で(柏が)ちょろちょろしていたのもあるけれど、チームが戦えていなかったから(みんなでもっと厳しく)戦おうという気持ちを込めてプレーした」という意図だった。柏の「嫌いなJリーガーランキング」のトップ5に入ったであろう柏木だが、23分のフリーキックは甲府の壁に当たってコースが変ったものの柏木の気持ちがこもったゴールだった。しかし、それでも2−1とリードしていた甲府はパニックにはならなかった。
それまでの積極性は影を潜めたが、気持ちを落ち着かせるために何人かの選手は笛を上手く利用して時間を使った。片桐は先制したあと前掛りになり過ぎて失敗した山形戦の反省を踏まえて、あえて急がずに後ろから組み立てた。持ち過ぎで危ないと感じた場面が1度はあったが、ボールを失ってもすぐに連動して奪い返しに行けていた。片桐は守備でも組み立てでも運動量を惜しまずプレーしていたが、それが無駄にならなかった理由に井澤の存在が挙げられる。「井澤がリスクを負ったパス回しをしてくれたことが大きい。中盤のパス回しがあったからサイド攻撃が効いた」と片桐は感じていたし、吉田豊は「(井澤)惇、最高。ボールを捌けるし、スルーパスも出せる。試合中に思わず『上手い』って言ってしまった」とべた褒め。井澤はF東京ユース出身なのでF東京の育成が素晴らしいということでもある。吉田自身は五輪代表のチームメイト・原口元気とのマッチアップではほとんど負けていなかったし、「(ほとんど勝っても)何回かはやられた。それで1点取られれば駄目なんで、もっとレベルアップして出来るだけ相手のチャンスをゼロに近づけたい」と彼自身もレベルアップした考え方でプレー出来るようになっている。
甲府は43分に片桐のキープ力がパウリーニョのゴールに繋がって3−1と再び2点差にして後半を迎えたが、後半に感じたのは浦和のベンチメンバーの凄さ。ベンチに座って金を稼ぐのではなく、ちゃんとピッチで金を稼ぐ選手が揃っている。マゾーラ、エスクデロ セルヒオ、マルシオ リシャルデスの順にペトロヴィッチ監督がカードを切っていったが、マゾーラ、エスクデロは特に前への推進力が強くて怖い存在だった。甲府はワンタッチパスとロングボールを使い分けてプレッシャーを上手く散らしていたが、後半の中盤からは彼らの推進力に甲府の守備は足が止まりかけた。マイボールのスローインやフリーキックのときに休みながら落ち着こうとしていたが選手交代無しでは乗り切れない状況。みんな心の中で「早く(試合)終われ」って祈っていた。佐久間悟監督は伊東輝悦を最初に入れたが、GKの荒谷弘樹が痛んで2枚目のカードでフィールドプレーヤーを投入することが出来なくなった。サイドバックの内山が特に消耗しているように感じていたが、佐久間監督は片桐に代えてダヴィ投入を決断する。会見では「守備の出来る日本人FW(阿部吉朗)の投入の方がよかったのかもしれない」という話をしていたが、片桐を下げて2分後に失点しているだけに、片桐をもう少し引っ張るかSB・市川大祐の投入でもよかったかもしれない。
浦和がもう少し精度のあるプレーをするか、ちょっとだけ運に恵まれていれば同点になっていた可能性は充分にあった。そうなれば甲府は相当ダメージを受けて3−4とひっくり返された可能性も出てくる。それでも勝ったのだから嬉しいが、1勝4敗のペースでは残留はできない。「(倒れて)ファールを貰おうというようなプレーでは今日のような戦いは出来なかった。一人が気持ちを出すとみんなが連動してくれた」(片桐)、「マイクは攻守に渡っていいファイトをしてくれたし、片桐も本来のプレースタイルとは違うと思うが、チームのために守備で身体を張って攻撃でも全てを出してくれた。みんなが能力を全て出さないとどこにも勝てないし、出し切ればどことでもいい勝負が出来る」(山本)、「気持ちのあるゲームが出来た」(井澤)というように、ガス欠になるまで全員が攻守に渡って惜しみなく戦うことが今の甲府の原点。先制直後のようなサッカーが最初から出来れば次の鹿島ともいい戦いが出来る。ペース配分を考える余裕はない。3人の交代枠があるのだからガス欠になったらその3人と佐久間監督の判断を信じて戦えばいい。聖地・国立で浦和という物凄いチーム・サポーターが甲府の能力を引き出してくれた。この勝利を誇りと自信にしながらも、自分たちの立ち位置を客観的に受け入れ、甲府の活きる道を自覚して残留に向けて次節は鹿島に立ち向かおう。甲府にはギリギリの戦いをやり続けるしかない。
以上
2011.08.21 Reported by 松尾潤
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