スカパー！生中継 Ch184 後05:50〜
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軸となる選手を欠くとき、チーム内のさまざまな「対応力」が試されることになる。
北九州は今節、累積警告でトップ下の安田晃大が出場停止。横浜FCは９月１日、カイオとフランサの両FWの負傷を発表した。三浦知良が8月31日に仙台で行われた復興支援試合に出場したばかりで、横浜FCは３枚看板に不安を抱えたまま北九州に乗り込むことになる。
北九州は３試合、勝ち星から遠ざかっている。前節の湘南戦のドローゲームが象徴するように前半の早い時間に失点し、後半になって追いつくという展開が続く。“追いつけている”とみれば、繋いで揺さぶるサッカーが徹底し、相手の運動量が落ちた時間にゴールが奪えているともいえるのだが…。湘南戦の失点はセットプレーからだったが、この試合に限らず「イージーなパスミスが多かった」（福井諒司）ことが失点に直結。ビルドアップしている過程で凡ミスからカウンターを喰らえば、決定的なピンチを招くことはもちろん、サイドバックや中盤がケアに戻るため、後半にとっておくべき運動量を無駄に消費してしまっている。相手の運動量が落ちたところを突くというしたたかな北九州流を続けるためには、ミスでスタミナを消費しそれがまたミスを招くという悪循環に陥らないようにしなければならない。
今節は「対応力」も問われる。足元の技術に優れ自らも３得点をあげている安田の穴を埋められるか。穴を直接的に埋める個人の対応力も、新しく入る選手の特色を引き出させるチーム全体の対応力も求められる。
代替候補として、今週の練習ではレギュラーメンバーの組み替えやサブからの抜擢などいくつかのパターンを試した。あっと驚くような起用もあるかもしれないが、それは試合のお楽しみ。三浦泰年監督は「その人にしかできないトップ下、ボランチ、ＦＷというのがある。（新たに入る選手に）誰々と同じようなプレーをしろというのは、彼らに対して失礼だよね」と話し、安田が抜けることになるが「新たなカラーが出ると思う」と現状を前向きに捉えている。
また交代カードの切り方にも変化が出てきている。追いかける展開が続いていることが理由の一つではあるが、桑原裕義を下げて金鐘必を投入したり、多田高行を高めの位置で使うこともある。三浦監督はとくに金を「スピードが欲しい、動きが欲しいというときにも使える選手」と評価しており、実際に、個の突破力や積極性で変化をもたらしている。彼らの躍動で先制を許したあとの対応力は増していると言えそうだ。ただ、やはり先制点がほしい。７月のJ's GOAL J2月間MIPに輝いた池元友樹は「いい準備ができている。レオナルドはゴールへの意識が高いので触発されすぎないようにちょっと抑えて、コンビネーションを考えながらプレーしたい」と話し、前節から組んでいるレオナルドとの関係性に注意を払う。ループに左足にと多彩な池元のシュートにも期待したいところだが、池元がレオナルドを生かせるかもカギとなりそうだ。
横浜FCは目下４連勝中と勢いに乗る。ただ、冒頭でも述べたとおりカイオ、フランサの出場は難しい状態。攻撃陣の再構築は急務で、ともにここまで２得点をあげている藤田祥史や西田剛を中心に短い練習期間でどこまで調整し切れているか、ここでも「対応力」がカギを握る。しかし北九州・福井が「守備でも球際に強い」と話すように11人の個の力は北九州を上回る。連勝の勢いに個の力を絡めれば、前線の穴はカバーできるかもしれない。
そしてこの試合は、三浦兄弟対決にも注目だ。北九州を指導者の立場で率いる兄・泰年と、横浜FCの揺るぎない柱、弟・知良――。三浦知良は復興支援試合にも出場しており、長時間の出場とはならないかもしれないが、泰年監督は「期待してくれている対戦カード。こういう時間を１分でも長く、１試合でも多く続けられたらいいなと思う」と話し、対戦を心待ちにしている様子だった。
出場停止や負傷で「対応力」の問われる試合。監督として、選手として、三浦兄弟はどのような対応力を見せてくれるのか。そのパフォーマンスにも注目したい。
以上
2011.09.02 Reported by 上田真之介
