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めっきりと冷えてきた９月下旬の札幌市内。この週末に開催される第２９節では勝点４９で暫定１位に立つ札幌が、同４５で３位の徳島を厚別公園競技場で迎え撃つ。１位と３位との直接対決は、今後のリーグの行方を占う重要な試合になることは間違いない。
札幌は今週の水曜日に札幌ドームに東京Ｖを迎えて未消化だった第５節を戦い、４−２のスコアで勝利。リーグ最多得点を誇る東京Ｖの攻撃に、前半から押し込まれる時間ばかりが続いたが、後半から石崎信弘監督が思い切ってシステムを４−４−２から３−５−２へと変更し、これが奏功。その後も猛攻に晒されはしたものの最終ラインが安定し、しっかりと相手の攻撃を跳ね返した。そして２−２のまま迎えた試合終盤、ラスト５分の場面で投入された岡本賢明が２得点を挙げる大活躍。難敵・東京Ｖを見事に退け、今シーズン２度目となる４連勝を達成。暫定ながらも順位を１位へと上げたのである。
「この勝利は本当に大きい。チームにとって間違いなく自信になる」と試合後に振り返ったのは高木純平。そして大事な先制点を挙げた古田寛幸は「暫定の１位に満足することなく、このまま突っ走っていけるように頑張りたい」と口にした。
東京Ｖ戦は本当に苦しい試合だった。だからこそ、勝ったことによる手応えと喜びも大きい。勝点と順位を上げただけでなく、チームのメンタルをポジティブなものにする、重要な勝利だったということなのだろう。水曜日に試合が組まれるという厳しいスケジュールではあるが、勢いを持って週末のこの試合に挑めそうである。
一方、前節の徳島はホームで岐阜と対戦し、激しい雨中での難しい試合を強いられながらも着実に得点を重ねて４−１で勝利。その前の３試合は大分戦、草津戦での連敗も含めて勝ち切れない試合を続けてしまっていただけに、「状況を考えると、どうしても勝点３が必要なゲームだった」と美濃部直彦監督が振り返る。上位に食い込むチームが増えつつあるなか、もうひとつ負けるようでは一気に流れが悪化する可能性もあっただけに、そうした重圧のなかでの勝利は本当に貴重であるとともに、徳島のチームとしての底力を示した試合だったとも言えるだろう。
なかでも光ったのは、攻撃のキーマンである柿谷曜一朗の高い技術だ。強い雨が降り続くなか、ボールコントロールは時間を追うごとに難しくなっていた。そんな状況下でもこの選手は「止めて、蹴る」という基本プレーを終始安定して遂行していた。そして、相手チームの綻びを見つけると、一気にプレースピードを上げ、そのなかでも的確にボールをコントロール。そうやって数多くのチャンスを演出しただけでなく、自らも２得点を挙げる大活躍をしてみせたのだ。攻撃のリーダーとしてチームに再び勢いを呼び込んでみせた彼の活躍で、徳島の悪い流れはしっかりと断ち切られたと言っていいだろう。
さて、そんな推移を経て迎えるこの１位、３位の直接対決だが、ポイントとして挙げられるのは、まずは徳島のキーマンである柿谷を札幌がどのように封じるかだろう。札幌の石崎監督は徳島の印象について「攻撃陣の顔ぶれが充実している」とした上で「なかでも特に柿谷の能力が高い」と評している。Ｃ大阪時にチームメイトだった山下達也も「柿谷の能力はとにかく高い。しっかり封じられるようにしたい」と警戒する。しかし、柿谷にばかり意識を強めすぎてしまっても危険である。徳島には他にも衛藤裕、津田知宏といった個の力を持つアタッカーがいるため、柿谷を警戒しつつも、しっかりと周囲をケアすることも重要だ。
一方で、徳島のほうはセンターバックのエリゼウが負傷離脱中であることに加え、前節の試合中に三木隆司も負傷退場をしてしまい、この試合の出場は微妙な状況。札幌は過去２戦を負傷欠場していたブラジル人ＦＷジオゴがこの試合から復帰する可能性もあるため、センターバックに負傷者が重なった徳島にとっては、どのようなメンバー構成で挑み、どのようにジオゴを封じるのかという部分がカギとなってくるだろう。
暫定ながらも、１位と３位の直接対決。ともに直近の試合を勝っているチーム同士の戦いだけに、タフなゲームが見られそうである。
以上
2011.09.23 Reported by 斉藤宏則
