10月15日(土) 2011 J1リーグ戦 第29節
名古屋 4 - 1 G大阪 (16:04/瑞穂陸/17,481人)
得点者:11' 中村直志(名古屋)、25' 明神智和(G大阪)、49' 藤本淳吾(名古屋)、68' 中村直志(名古屋)、84' 藤本淳吾(名古屋)
スカパー!再放送 Ch183 10/16(日)深02:00〜
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会心、という言葉が実にしっくりくる快勝劇だった。それは試合後の両監督の姿を見ても一目瞭然だ。「全ての面においてパーフェクトな、良いプレーができていた」と満足顔の名古屋・ストイコビッチ監督に対し、G大阪の西野朗監督は「まったく自分たちのプラン通りに試合が走らなかった」とため息をついた。狙いがはまった名古屋と当てが外れたG大阪。4−1という思わぬ結果は、そのギャップによって生み出されたものだった。
指揮官が完璧と評した名古屋のプレーは、周到な準備に裏付けられたものだった。9月23日の神戸戦でダニルソンが、10月2日の清水戦で玉田圭司が負傷し戦列を離れたが、きっちりこの日に復帰を合わせてきた。ダニルソンはぶっつけ本番、玉田は3日前の天皇杯2回戦で45分のみ出場し調整するなど万全の状態ではなかったが、彼らがいるといないとでは相手への威圧感ひとつとっても大違い。基本布陣の4−3−3も復活し、ベストメンバーがベストの布陣に収まることで、選手たちの自信も回復したに違いない。
対するG大阪はメンバー構成にやや不安を抱えてのアウェイゲームとなっていた。右サイドバックの加地亮を負傷で欠き、攻撃の中心である二川孝広も足の状態が万全ではなくベンチスタート。エース遠藤保仁もセットプレーのキッカーを控えるほどに足の状態が良くなかった。西野監督はその状況を考慮し、中盤守備からの素早いカウンターを攻めの軸に置くことを決断。中盤を遠藤と明神智和、橋本英郎、そして武井択也で構成し、「ボランチ4人というほどではないが、中盤のプレスを強調した」。前線にはイ グノとラフィーニャというショートカウンターの担い手としては最適の2名。現状の戦力を鑑みた現実的な策をもって、G大阪は上位との直接対決に臨んでいた。
立ち上がり、先手を取ったのはG大阪だった。開始すぐにラフィーニャがミドルシュートを放ち、DFがブロックしたことでCKを獲得。前線でプレスをかけたいチームとしては、最初の攻撃で敵陣に攻めいれたのは悪くないスタートだった。だが、先制点を奪ったのはその一瞬の隙を突いた名古屋だ。押し込まれる展開の中での11分、田中マルクス闘莉王がDFとGKの間にロングフィードを送り込むと、走り込んだ玉田がGKの手前でボールをかっさらい、フォローに来た中村直志へ渡す。チーム生え抜き最年長のベテランは落ち着いてワントラップし、ニアサイドへと冷静に流し込んだ。キックオフ直後から足の回復具合があまり良くないことが見て取れた玉田だけに、得点を見届けると珍しく大きなガッツポーズ。この先制点がいかに大きなものであったかを象徴するシーンだった。
しかし、その後の前半はG大阪が再び支配力を強めた。15分から始まった猛攻は10分間で6本のCKを奪うほど。得点を機に守備ブロックを作って守っていた名古屋は自ずと防戦一方となった。25分にはイ グノの突破から明神に同点ゴールを決められ、試合は振り出しに。その後は名古屋も盛り返したが逆転には至らず、緊張感漂う前半は、1−1のままで終了した。
迎えた後半は拮抗した前半から一転して、名古屋が支配力を強めて勝負も決めた。開始早々の47分で玉田が決定機を迎えると、49分のCKを藤本淳吾が直接沈め、勝ち越しに成功。再びリードを奪われたG大阪は60分に二川とキム スンヨンを同時に入れて流れを変えるべく動いたが、68分に中村がインターセプトから美しいドライブシュートを叩き込み、さらにリードを広げた。84分にはケネディの守備から交代出場の永井謙佑、玉田とつなぎ、玉田の芸術的なラストパスを藤本が押し込んでダメ押しの4点目。「後半は2つの戦術をもって臨んだ。2点を取った後、中盤の安全のために2人を真ん中に据えた(ダブルボランチにした)」という指揮官の采配も当たり、最後は千代反田充を入れての3バックで試合を終わらせた。「本当にパーフェクトな戦術だったと思う」とストイコビッチ監督が自画自賛するのもうなずけるほどの、無駄のないゲーム運びだった。
結果として大差がついた試合を、G大阪の西野監督は誤算続きだったと振り返った。4人のボランチを並べた中盤が思ったよりボールを奪えなかったこと、遠藤の状態が想定以上に悪かったこと。そしてそのことが影響し、本来のサッカーを展開できなかったことが、4失点の遠因だったと分析した。だが、もっとシンプルな理由がこの試合にはあった気がする。それは名古屋の闘争心がすさまじかったことだ。ストイコビッチ監督が常々口にするファイティングスピリットに満ち満ちたプレーは、あらゆる局面で名古屋の選手を優位に立たせた。先制点の場面は玉田の鬼気迫るチェイシングがチャンスを生んだ。2点目のCKはケネディが前線で粘って獲得したものだ。3点目は中村のプレッシングがそのままゴールにつながり、4点目はケネディが体を張って敵陣で守備をしたことが起点だった。自身もゴール前で幾度となく身を挺した増川隆洋は「ルーズボールが前に出ても追ってくれなかったりするんですが、今日はそういうところをすべて追いかけてくれた」と語る。この日の名古屋は11人すべてがボールへの執着心を強く持ってプレーしていた。意志の強い方にボールは転がる。それがサッカーというものだ。
これで暫定ながら首位との勝点差を1とした名古屋だが、ここで燃え尽きてしまうわけにはいかない。だから2得点を挙げ、守備でも大きな貢献を見せた中村の言葉は頼もしく響く。「今日は大切な試合でしたが、それでも34分の1の試合だとも思っています。今日の試合はもう終わりましたし、次の試合に向け気持ちを切り替えたい」
王者に慢心なし。連覇への望みをつないだ名古屋は、次戦も必勝の構えを解くつもりはない。
以上
2011.10.16 Reported by 今井雄一朗













