今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第29節 浦和 vs 大宮】大宮側レポート:勝点3差の大きな余裕。思惑通りの左足クロス一発で、大宮がライバルを降格圏に沈める。(11.10.16)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月15日(土) 2011 J1リーグ戦 第29節
浦和 0 - 1 大宮 (16:03/埼玉/34,654人)
得点者:84' ラファエル(大宮)
スカパー!再放送 Ch181 10/16(日)深01:30〜
☆totoリーグ第4ターン開催中!
----------
浦和側レポートはこちら

84分、橋本早十が左サイドを抜け出す。正確さをもって知られるその左足から放たれたボールが、中央で待つラファエルの頭へ、吸い寄せられるように美しい軌道を描く。まるで時が止まったかのように、浦和のディフェンダーもGKも完全にボールウオッチャーになっており、リーグ戦ダービーで4試合5得点の『浦和キラー』は、軽く合わせるだけで良かった。この一瞬が、浦和の命取りとなった。

ここまで積み上げてきた勝点の重みが、試合を左右した。大宮は勝点32で14位。浦和は勝点29の15位。降格圏の甲府は勝点27まで迫っているが、試合前々日の会見で鈴木淳監督が語ったように、「たとえ引き分けでも、順位と勝点を考えれば受け入れがたい結果ではない」。対する浦和は、勝点1では許されない。まして13時からのゲームで甲府が勝利したことで、暫定ながら降格圏に転落。絶対に勝点3を取らなければならない状況になった。

先発メンバーを見ても、大宮は慎重だった。左MFに橋本早十を今シーズン初めて先発で起用。「これまで(攻撃に)モビリティはあったがサイドに起点が作れず広がりが出なかったので、橋本を使ってサイドに起点を作りたかった」と、鈴木監督はその意図を明かす。ここ数試合、左MFには周囲と連動しての仕掛けやドリブル突破を得意とする金久保順が起用されてきたが、攻撃の直接的な迫力は落ちるものの、正確な左足の「クロスやラストパスに期待できる」(鈴木監督)橋本を起用したことは、リスクを背負って点を取りに行くよりも、より少ないリスクであわよくば一発にかけたいという思惑が見て取れる。同様に左SBには、攻撃参加が身上の村上和弘ではなく、主にCBとして起用してきたロングキックの名手である金 英權が入った。

今まではそういった慎重さが消極的なプレーにつながっていた大宮だが、この日は守備的ながらもアグレッシブだった。前半から、深谷友基が言うように「最終ラインは低めに」保ってしっかりとブロックを作り、入ってきたボールに激しく寄せて、浦和の攻撃陣に自由を与えなかった。最も警戒していた「浦和の2トップにボールが入っての連動した攻撃」(鈴木監督)も、封じ込んだというほどではないが、体を張った守備で食い止めた。

試合が動いたのは後半。53分、エスクデロ セルヒオに中央突破を許し、デスポトビッチがGKと1対1になる。北野貴之の神セーブで事なきを得たが、このプレーを見ての両監督の対応がこの試合の明暗を分けた。

大宮はこの5分後、「バイタルエリアでの守備力を高める」(鈴木監督)ため、攻撃の演出家である上田康太を下げ、守備のスペシャリスト金澤慎を投入。指揮官は、勝点3は取れないかもしれないが、少なくとも勝点ゼロを避ける選択をした。

浦和はさらにその9分後、「もっと点の取れるFWが必要だ」(ペトロヴィッチ監督)と、シュートを外したデスポトビッチを下げ、原口元気を投入した。指揮官は、どうしても勝点3に執着しなければならなかった。

その結果、大宮にとっては「ポストをこなすデスポトビッチがいたほうが嫌だった。ドリブルが得意な選手ばかりになって、そこの対応さえ間違えなければ」(金澤)と、逆に守りやすい状況になった。浦和はヤマザキナビスコカップで見せた連動性がまったくなくなり、それまでのリーグ戦の、個人個人がバラバラに攻めるだけの状態に戻ってしまった。どうしても勝点3を取らなければならない焦りが、確実に浦和の選手たちにもあった。

そして冒頭の、橋本早十のシーン。この日J1通算100試合出場を果たしたレフティーは、指揮官の期待通りにサイドで起点になれていたかは正直微妙だったが、少なくとも思惑通りにクロス一発で、ほぼ手中にしていた勝点1を、さらに勝点3に上積みした。

「攻め勝つ」ことを身上とする鈴木監督だが、この日の大宮は決して攻め勝ったわけではない。シュート数では大宮10に対し浦和12とほぼ互角ではあるが、コーナーキックでは大宮4に対し浦和11と、全体的に内容では押されていた。デスポトビッチのあのシュートが決まっていたら、負けていてもおかしくなかっただろう。そのセーブでチームを救ったゲームキャプテンの北野貴之が、「相手にスライディングの数でも負けるな。ユニフォームが緑色になるまで泥臭く戦え。そうすれば絶対に最後に流れが来る」と飛ばした檄が、現実になった。

しかし大宮にとっては、これで残留争いで一息つけるというほどではない。今季、大宮はまだ連勝をしていない。勝ち試合の後に気が緩んでしまうのが、いつものパターンだ。ただ今回は、内容で上回っての勝ちではなく、劣勢を気力でモノにした試合だっただけに、慢心せず緊張感は持続するのではないか。まして相手は名古屋、舞台はホームNACK5スタジアム大宮である。そう願いたいし、そうあらねばならない。

以上

2011.10.16 Reported by 芥川和久
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着