10月15日(土) 2011 J1リーグ戦 第29節
浦和 0 - 1 大宮 (16:03/埼玉/34,654人)
得点者:84' ラファエル(大宮)
スカパー!再放送 Ch181 10/16(日)深01:30〜
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※大宮側レポートはこちら
またしても、またしても、あの男に浦和は行く手を阻まれた。
84分、橋本早十が左サイドからクロスを上げると、そのボールにドンピシャのタイミングで合わせたのはラファエル。「自分がなぜ毎回ゴールを決められているのかは説明できない」。2009年8月に加入して以来、リーグ戦の「さいたまダービー」4試合全てでゴールを決めてきた“レッズキラー”がこの試合でもネットを揺らし、これが決勝点となった。
立ち上がりから攻勢をかけたのは、勝つしかない浦和だった。好パフォーマンスを見せたヤマザキナビスコカップのメンバーでダービーに臨んだ浦和は、2トップを起点にしてゲームを作り、大宮を押し込んでいく。現在、攻撃の軸となっているエスクデロ セルヒオに対しては大宮の警戒心も強く、常に2、3人にマークされながらのプレーとなったが、それでも自慢の鬼キープでタメを作った。
一方の大宮は戦前の予想通り、セーフティな戦い方で試合に入った。まずは自陣でしっかりとブロックを築いて浦和にスペースを与えず、ボールを奪ってからも不用意につないでボールロストするくらいなら最初から持たない方がいいとばかりにシンプルに前に蹴り、リスクを負うことをしなかった。1トップのラファエルにいい形でボールが入ったら後ろは押し上げる、ダメだったらそのまま低いラインでブロックを維持する。ある意味では潔い、非常に割り切ったサッカーで浦和に挑んだ。
「リスクを背負わずにシンプルに、今の浦和は中盤で引っかけてショートカウンターで点を取っているので、それを避けたかった」。東慶悟が言うように、ヤマザキナビスコカップの浦和が好調だった要因は奪ってからの速攻がハマっていたことにある。C大阪もG大阪もボールを回して攻撃に枚数をかけるチームだったため、いい形でボールを奪えれば目の前にはおいしいスペースが広がっていたが、今回の相手はまるでタイプが違った。
「大宮はつまったら前線に蹴るというのが多くて、いい形でボールを奪っても仕掛けられなかった。相手は下がってブロックを作ってきたし、2トップに対して挟む意識がすごい高かった」と梅崎司が語ったように、ボールを奪ってもスペースが消されているので、ボール支配率を高めることはできても有効打を繰り出すことがなかなかできなかった。
ただ、それでもエスクデロにボールが収まった時は何度か攻撃の形を作ることができた。15分にエスクデロのパスからデスポトビッチが惜しい場面を迎えたのを皮切りに前半はペースをつかみ、チャンスも作った。後半の入りも悪くなく、開始5分にはエスクデロを起点にペナルティエリアを攻略してスタンドを沸かせた。
そんな浦和にこの試合最大の決定機が訪れたのは53分だった。ボールを持ったエスクデロがセンターサークルやや左の位置からドリブル開始。絶対の自信を持っている、左肩でマーカーをブロックしながら斜めに押し入る“重戦車ドリブル”で自分に注意を引きつけると、フリーのデスポトビッチへラストパス。しかし、デスポトビッチはGKと一対一というこれ以上ない好機でシュートをGKに当ててしまい、ビッグチャンスをものにできなかった。
そして浦和はこのシーンを最後に徐々に勢いを失っていく。その要因の1つは敵将の振るった采配にあった。上田康太を下げて金澤慎を投入。鈴木淳監督はその意図を「中盤の守備力を高めたかった。後半立ち上がり、中盤が割られてゴールに迫られる場面があって、バイタルを閉めたかった」と説明したが、その狙いがピタリと当たった。
大宮の守りがさらに固くなったことで浦和はゴール前の攻防までボールを運ぶことが難しくなった。逆に大宮は押し込まれながら攻撃を跳ね返していた前半とは異なり、いい形でボールを奪うシーンが増えたことでカウンターに鋭さが増した。
そんな状況を打開しようと浦和のペトロヴィッチ監督は66分、デスポトビッチに代えてエースの原口元気を投入。すると原口はファーストプレーで得意のドリブル突破からゴール前まで迫り、いきなりチャンスを作った。
だが、原口投入のカンフル剤も長くは効かなかった。むしろ、デスポトビッチをベンチに下げたことで1トップ気味となったエスクデロの負担が増え、いっそう前でボールが収まらなくなってしまった。「デスポトビッチがいた方が嫌だった。相手がドリブルの得意な選手ばかりになって、そこの対応さえ間違わなければ大丈夫という感じだった」とは相手側の金澤の証言だ。頼みのエスクデロは75分に深谷友基に後ろからファールで止められた際に足を痛めた影響もあって、終盤は試合から消えてしまった。
そうなると浦和の攻撃はいよいよ威力がなくなり、対照的に大宮の攻勢は本格化していく。そして84分、天敵ラファエルにゴールを割られ万事休す。残留をかけ、いつも以上に白熱した「さいたまダービー」は大宮に軍配が上がった。
浦和はヤマザキナビスコカップで光明を見出し、自信を持ってこの大事な一戦に臨んだが、絶対に落としてはいけないゲームで敗れた。同日行われた試合で甲府が勝利したため、浦和はついに降格圏に引きずり込まれてしまった。選手たちは口々に気持ちを切り替えると語っていたが、「負けたことで精神的にやられた」という柏木陽介のコメントが正直な気持ちだろう。選手たちの表情は一様に沈んでいた。勝利が至上命題だった試合を落とした影響は小さくない。
そして試合後の記者会見ではペトロヴィッチ監督が今季限りでの退任を突然表明。選手、フロントも事前にそのことは知らされていなかったため、チームには衝撃が走った。シーズン終了まで残り5試合、浦和はいばらの道を突き進みながら残留を目指していくことになる。
以上
2011.10.16 Reported by 神谷正明













