10月15日(土) 2011 J1リーグ戦 第29節
神戸 1 - 1 清水 (16:04/ホームズ/12,706人)
得点者:55' ボスナー(清水)、85' 森岡亮太(神戸)
スカパー!再放送 Ch182 10/17(月)前05:00〜
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神戸19、清水10。シュート数だけを見ても、どちらが優勢だったかは容易に想像が付くだろう。だが、相手の2倍近くシュートを放っても、決めなければ勝利の女神は微笑まない。結局、神戸にとっては“清水の一撃”が最後まで重くのしかかった試合だった。
前半について。清水のアフシン ゴトビ監督の目には「正直、前半は両チームとも雑になっていた」と映っていた。確かに、ボールがなかなか収まらず、パスミスも目立った。とりあえずクリアして誰かが走るような、ストラテジーの感じられない場面も多く見られた。
だが、雑だったかどうかは賛否両論あるだろう。少なくとも神戸は、いつも以上に連動性があったはず。もともと中盤でボールを奪って次々とシュートカウンターを仕掛けるスタイルだけに、ドタバタとした印象は否めないが、一つ言えることは、今節の神戸はショートカウンターを仕掛け続けていた。しかも、なんとなくではなく、意図的に、である。
それを象徴するシーンが前半4分過ぎにある。神戸の三原雅俊が朴康造の足下へパスを出し、それを清水に奪われてカウンターを仕掛けられた場面だ。その瞬間、朴は声を荒げ、三原に怒鳴りつけるように指示を出している。三原によると「康造さんからは、もっと前へ出せと言われた」そうだ。
朴は普段から早い攻守の切り替えを意識している選手である。だから、この清水戦に限って攻守の切り替えを早めた訳ではないが、試合中にチームメイトに怒りをぶつけるシーンは珍しい。相手の守備が整う前に攻撃を仕掛けてチャンスを作り、また早く前線へフィードすることで守備的なリスクを回避するという狙いもあるだろう。そこは、3連敗の後の練習でチームが確認してきた部分だっただけに、朴は珍しく怒ったのだろう。
つまり、今日の神戸は意図的に、連続的にシュートカウンターを仕掛けた。それを物語るように、朴と三原のやり取りの後、神戸はトップの吉田孝行にボールを入れ、吉田がはたいたボールを朴がワンタッチでポポへつなぐといった早いパス回しでのカウンターが何度も繰り返されていく。前半18分には、朴と吉田がバイタルエリアで早いパス交換からチャンスを作るシーンもあった。朴、吉田、ポポの3人が意図的にワンタッチプレーを繰り返すことで、神戸が攻撃のリズムをつかんだ前半だったと言えるだろう。
そして、前半20分以降には、この3人の関係に、左サイドのボッティと左サイドバックの相馬崇人が加わり、ピッチを広く使った理想的な攻撃を展開。いつゴールが生まれてもおかしくない雰囲気が続いていた。
もちろん、清水も小野伸二を中心に、前線の高原直泰や大前元紀、高木俊幸が積極的に攻撃を仕掛けた。だが、清水のゴドビ監督がハーフタイムに「個ではなく、チームとして攻撃しよう」と指示したように、本来の連動性は影を潜めていた。
そんな展開にも関わらず、前半は0−0。見方を変えれば、アウェイ清水の狙い通りだったのかも知れない。
後半に入っても、神戸は積極的に攻撃を仕掛けた。47分にはCKからのこぼれ球を相馬が強烈に蹴り込む惜しいシーンもあった。52分には、ボッティがセンターサークル付近で3人を交わし、ポポへ決定的なスルーパスを通すなど神戸のペースは続いていた。
だが、神戸の松岡亮輔が「ああいう流れでのセットプレーは、もっと集中するべきだった」と振り返るシーンが訪れる。
それは55分、清水のCKの場面。小野の蹴ったボールは神戸のGK徳重健太から逃げるように曲がり、それをボスナーが頭で合わせてあっさりと先制に成功した。ボスナーにとっては先週に亡くした祖父に捧げるゴール。ボスナーが天を仰ぐ姿は清水サポーターたちの目に深く刻まれたはずだろう。
そして、この一撃で流れは清水へ一気に傾く。61分には左サイドバックの太田宏介から大前へ決定的なグラウンダーのクロスボールが入るなど、再三にわたって追加点を奪えるチャンスを演出。完全に形勢は逆転したが、清水の優勢は予想以上に短い時間で終わってしまうことになる。77分にボランチのカルフィン ヨン ア ピンが退場になったからである。
数的不利になった清水は、80分に高原に替えてDFの村松大輔を投入。1トップの位置に小野を配し、できるだけ前でボールキープしながら時間を消費させていく。だが、じわじわと神戸がリズムを取り戻し、85分、ついに神戸が同点に追いつくことになる。
ポポが右サイドのゴールライン際で巧みなドリブル突破をみせ、ニアに走り込んで来た森岡亮太へ決定的なパスを送る。それを森岡がしっかりコントロールして同点に。J初ゴールの森岡は飛び上がって喜びを表現した。
その後も神戸は猛攻を続けたが、追加点が奪えないままタイムアップ。清水の先制点からヨン ア ピンの退場までの約20分間以外は、ほぼ主導権を握った神戸だったが、結局は決定力に欠いて勝利を逃してしまった。
だが、この勝点1をどう考えるかは色々な見方があるだろう。連敗を止めた価値あるドローか、あるいはゲームを支配しながらの痛い引き分けか。神戸の和田昌裕監督は試合後の会見でこうコメントを残している。
「本当は勝点2を失ったと考えるべきだが、先制された状況から同点に追い付いたことを前向きに捉え、勝点1を取ったことを次節の鹿島戦に繋げたい」
J1リーグも残すところ5試合。神戸にとって今回のドローがリーグ終盤でどういう結末をもたらすか。だが、今は終わったことを悔いても仕方はない。1つでも勝点を積み重ね、とにかく前進あるのみ。そういう意味で、今回の引き分けは最低限のノルマを達成したと捉えていいのかも知れない。
以上
2011.10.16 Reported by 白井邦彦













