スカパー！生中継 Ch183 後06:50〜
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Ｊ１昇格を狙う第２集団の先頭を走る栃木と、その背後を勝点差２で追走する東京Ｖ。両者とも思うように勝点を伸ばせずに、昇格圏内との差を縮められないまま、もどかしさを募らせている。ただ、幸いなことに上位陣がもたついてくれていることで、後方からまくれる可能性はまだ残されている。前回の対戦は相譲らず４５分ずつを分け合い、スコアレスドローで幕を閉じた。今回も昇格戦線への挑戦権が懸かっている一戦だけに、黄色と緑のプライドが交錯し、激しい火花を散らすだろう。
天皇杯（２００６年）では東京Ｖに対してジャイアントキリングを起こした栃木だが、リーグ戦では６度交わって２分４敗と勝ち切れていない。勝つことでしか昇格に望みを繋げられない栃木にとって、リーグ屈指の実績を誇る「名門」撃破は自信を生み、ラストスパートをかける足掛かりとなる。勝点３だけを狙い、この一戦にありったけの思いを注ぎ込む。
「ヴェルディはどんどんボールを動かしてくると思う。それに対して引いているだけではいけない。ボールにアタックすることも必要になってくる」と東京Ｖ攻略法を話すのは、古巣からの勝利に意気上がる那須川将大。前回の対戦では東京Ｖのパスワークに翻弄され、前半の途中まで自陣に閉じ込められた。しかし、距離感を掴み始め、プレスがハマりだした途端、本来の「いい守備からのいい攻撃」でリズムを狂わせることができた。それだけに、コンパクトな陣形を保ち、自分達のコンセプトにはめ込めるかが、重要なポイントとなる。前回の対戦で間合いは確認できているはずだ。恐れずボールにアタックを掛けて自由を奪い、セカンドボールも拾って厚みのある攻撃を仕掛けていきたい。「ようやくチームとしてまとまってきたし、アグレッシブさが出てきた」（松田浩監督）今、主導権を握る上で同じ失敗は繰り返したくない。
「富山はセンターバックの裏のスペースを使えていた。そこを自分達も上手く使いたい」
身を持って東京Ｖの崩し方を示してくれた富山に感謝したのは高木和正。富澤清太郎を欠いていたことで連携ミスが生じ、失点を招いたのは事実だが、東京ＶのＤＦラインは浅く、その背後は常に最大の狙い目。奪ったボールをシンプルにＧＫとＤＦラインの間に供給できれば、リーグ屈指のセンターバックコンビである富澤と土屋征夫でも後手を踏む。今節、出場停止の崔根植の代役候補は、ともにスピードに長けるサビアと廣瀬浩二。何度となく立ちはだかって来た“土屋の壁”を超え、栃木の代名詞である高速カウンターで仕留めるシナリオが描ければ、東京Ｖからの初勝利も遠くはない。
「攻撃力は脅威」と松田監督が最大の警戒を払う、東京Ｖの破壊力は群を抜く。５７得点というリーグNo.1のゴール数を叩き出している攻撃力を生かすには、１‐２で敗れた富山戦のような緩い入り方は避けなければいけない。逆転こそ叶わなかったものの、富山を圧倒した後半の戦い方が理想的。ドリブルとパスワークを駆使した超攻撃的な姿勢を序盤から発揮できれば、堅守で鳴る栃木の守備網も打ち破れるはずだ。黄金期の東京Ｖの匂いを強烈に漂わせる１０番・菊岡拓朗を起点に魅惑のサッカーで連敗を阻止し、昇格の芽を残したい。
中２日の栃木も、中３日の東京Ｖも、怒涛の５連戦の疲労は確実に蓄積されているはずで、試合終盤には体のコントロールが利かなくなるはずだ。極限状態で勝負を左右するのは、気持ち。Ｊ１昇格への思いが、執念が勝った方が白星を手にする。
「１戦１戦やるしかない。先を見ていてもダメ。自分達がしっかりやらないと何も起こらない」（那須川）
何かを起こすために。粘り強く、どんな形でも、栃木は勝利だけを狙う。勝点１は要らない。欲しいのは、勝点３。それ以上でも、それ以下でもない。
以上
2011.10.25 Reported by 大塚秀毅
