11月3日(木) 2011 J1リーグ戦 第31節
甲府 1 - 2 横浜FM (14:04/中銀スタ/15,315人)
得点者:67' ハーフナーマイク(甲府)、86' 大黒将志(横浜FM)、89' 森谷賢太郎(横浜FM)
スカパー!再放送 Ch182 11/4(金)深03:00〜
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試合終了から約4時間後。新宿行きの特急に乗るために甲府駅に行くと、胸に「NISSAN」背中に「ANA」と書いてある青いレプリカを着て、フラッグを入れる細長いケースを持った人たちを何人も見かけた。勝点は落としてくれなかったが、甲府駅前で食事でもしてお金は落としてくれたのだろう。その頃には椅子取りゲームのライバル浦和が磐田に0-3で負けたことも分かっていたので1センチの段差に躓くほど狼狽してはいなかったが、11月3日の敗戦は結構ダメージが大きかった。自棄になることはないけれど、正しいと思って取り組んでいることがジワジワとクラブをJ2降格以上に恐ろしい崖っぷちに追い込んでいっているような気がして、背中が寒くなった。
結果的にJ1残留最後の椅子争いとACL3つ目の椅子争いは異常なしで、試合数がひとつ減って3になっただけ。横浜FMにとって7ポイント差の3位名古屋を追い抜くことは極めて難しくなったが、仙台が引き分けたので4位死守は一歩前進。甲府は15位浦和との勝点差が2のままで希望は繋がった。試合直後は、「悔しさ」と「失望」と「情けない」を30%ずつ足して出来上がった感情に5時キックオフの浦和対磐田で磐田が勝つことに託す「希望」10%をねじ込んで、心の中で増幅する虚無を押さえ込んだ。結果が分かってからは(浦和戦)2ゴールの前田遼一コールでもやりたいくらいだったけれど、よーく考えてみれば次節はアウェイ磐田戦。2試合続けて前の節に浦和と対戦したチームと戦うなんて…。浦和に負けた横浜FMに負けて、浦和に勝った磐田に…勝とう。勝とう。希望があるって素晴らしい。しかし、その希望を勝点3に変えるには現状では厳しい。
長谷川アーリアジャスールを約1ヶ月ぶりの先発に起用した横浜FM・木村和司監督。横浜FMの中盤はダイヤモンドというがフラットに見えるときもあって結構自由に動いている印象だった。長谷川が下がれば5枚にもなる。小椋祥平がバランスを取っているからできる戦い方。甲府の井澤惇は「横浜FMの中盤をつかまえるのが難しかった」と話したが、記者席から見ても分かりにくかった。こういうときこそ「ゾーンディフェンス」が有効なのかもしれないが、それに躓いていまだに膝からダラダラ血が流れている。横浜FMは長谷川がよく動いてボールを引き出してワンタッチ、ツータッチのパスを繋いでいたが、流れの中での決定機は多くなかった。甲府が割り切って最後のスルーパスやクロスをゴール前で守ろうとしたからなのか、横浜FMが3人目の動きのないパス回しばかりだったからなのかは分からないが、少なくとも「ちゃぶる」はなかった。
甲府は前節、中盤から前でボールを失わない選手が多い清水戦で小野伸二らにマンツーマンを挑んでしまって後手を踏んでカバーリングの重要性を感じていただけに、ボールを奪う工夫や連携を有効に発揮して欲しかったが現状を容認するしかないだろう。自分たちだけで力を発揮できるチームではなく、相手次第の面もあるチームだからだ。お互いにスタンドプレーの集合体でそれほど戦術的に戦えていなかったが、勝点3を取りたいという気持ちがぶつかっていたから熱く見ることができた。試合としては面白かった。後半は横浜FMが甲府の右サイドが狙い目だと気がついたのか、甲府は右サイドを中心に攻められて守備に専念する時間が続いた。しかし、こういうときほどチャンスは来るものでカウンターからドリブルで突っ掛けたパウリーニョが中澤佑二とぶつかって倒れ、「シミュレーションか」と心配したらイエローカードは中澤に出てフリーキックのチャンスが棚から落ちてきた。ペナルティエリアすぐ外。山本英臣がキックフェイントから足裏でボールを後ろに流して、それをパウリーニョがシュート。ディフェンダーに当たったボールが運よくファーサイドのハーフナー マイクの前に流れてマイクゴールで甲府が先制。
アップのときから15枚の横断幕と数え切れないゲーフラを掲げて気持ちのこもったコールで選手の気持ちを奮い立たせてくれたゴール裏のサポーターは目の前のゴールに感情爆発。誰もが「キターッ」って叫びたくなるゴールだった。横浜FMはすぐに小野裕二と森谷賢太郎を投入。その甲斐あって、甲府はコーナーキックとクロスを交互に受け続けた。それでも、何とか90分まで後5分という時間まで耐え凌ぎ、「もうちょっと頑張れ」と記者席で念じたが、前節の小野伸二同様に高校サッカー出身の元日本代表は凄い。ここまで決定的な仕事はなかったが、86分に中村俊輔がフリーで入れたクロスの軌道を読めたのは大黒将志だけ。GKの荒谷弘樹は「ボールが思った以上に伸びて、最後は思った以上に落ちてきた」と中村がほくそ笑むようなコメントを残した。ディフェンダーもキーパーも触れなかったボールを「またか」の大黒に頭で決められて同点。
甲府は最低でも勝点1を死守しなければならなかったが、1分後にパウリーニョがペナルティエリアで倒されて「よし、完全にPK」って思ったらシミュレーションでとうとう4枚目のイエロー。67分の先制ゴールに繋がった判定で得した気分だったので帳尻が合ったと納得するしかなかった。横浜FMはDF青山直晃を入れていたからDF栗原勇蔵を上げたパワープレーを継続しており、甲府の守備陣は消耗していた。そんな状況で、ダニエルと荒谷の判断ミスと連携の悪さが出て、コーナーキックに逃げるべきボールをゴールキックし損ね、89分に森谷に決められて逆転。アディショナルタイムは4分間あったが、ピッチのショックは大きかったようで同点に持っていくチームとしてのパワーは感じられなかった。これは物凄く問題だと思う。
残り3試合しかなく、C大阪のアシストがなかった横浜FMは4位死守がリーグ戦の現実的な目標になってしまった。甲府は勝点差が2ポイントなので15位への希望は繋がっているが、2点目を決められてからピッチに漂った雰囲気が気になる。ミスの場面を責め立てるよりも、「更なる逆境を楽しんでやる」くらいの気持ちで挑み続けるしかないが、今のチームにはそれはない。ホームページを見ると甲府は土曜日から3連休。連休中に戦術の理解度や連携が素晴らしく向上するのだろうか…。
以上
2011.11.04 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第31節 甲府 vs 横浜FM】レポート:他のチームの力を借りて上と下で3つ目の椅子を争う甲府対横浜FM。下の椅子に手をかけそうになった甲府は自滅の逆転負け。横浜FMもアシストなしで椅子が遠のく勝利(11.11.04)
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