11月6日（日） 2011 J2リーグ戦 第34節
徳島 2 - 2 愛媛　（18:04／鳴門大塚／8,421人）
得点者：29' 徳重隆明（徳島）、42' エリゼウ（徳島）、90'+2 大山俊輔（愛媛）、90'+5 田森大己（愛媛）
スカパー！再放送 Ch183 11/7（月）後02:30〜
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愛媛の追撃弾は、アディショナルタイムに入った直後だった。まずは後半40分からピッチに送り込まれた大山俊輔がミドルシュートで意地を見せた。これでスコアは１−２。絶望的な状況に変わりはなかったが、続けて愛媛はコーナーキックのチャンスを得た。試合終盤から異常に高鳴り続けていた愛媛ゴール裏の太鼓は、ますます激しくスタジアムを揺さぶる。そして、サポーターの声援もボルテージはマックスを超える。その中で生まれた同点ゴール。無我夢中でゴールに向かって飛び込んだ田森大己のヘディングが、徳島のゴールネットを揺らした。背筋がゾクっとして、鳥肌が立つ。愛媛にとっては昇格も降格も、何の関係もないリーグ戦の1試合のはずだが、やはり四国ダービーが特別なゲームであることを改めて感じたアディショナルタイムの5分間だった。

しかしサッカーというスポーツは時に厳しく、絶望することもある。どんなに懸命戦い続けても報われない時もある。今回の四国ダービーも、僅差のゲームを繰り返しながら勝点3をつかみ切れなかった愛媛の今シーズンを象徴するような結果でもあった。自らが主導権を握っている時に失点をして、勝点を失う試合を今季は何度も繰り返してきたし、このダービーでもまさにその展開に陥ってしまった。前半29分にPKで失点。さらに42分には、ミスを突かれて2点目を奪われる。立ち上がりこそ、徳島のサイドからの圧力に押し込まれるシーンがあったものの、15分過ぎからは落ち着きを取り戻して愛媛が主導権を奪い返した時間帯だっただけに、前半に関しては悔やまれる試合運びだった。

ただ、裏を返せばエリゼウの追加点はしたたかなもので、愛媛の一瞬の隙を見逃さなかったゴールだった。ここまで勝点を積み重ねてきた徳島の強さを見せられた瞬間でもあった。それだけに、前半で０−２というスコアは厳しい現実だったはずだが、それでも愛媛はダービーという特別な舞台で最後まで自分たちのサッカーを貫き通した。特筆すべき点は前節から採用している３−５−２が、攻撃においてよりスムーズに機能していた点。大分戦に続いて、大木勉と齋藤学、内田健太の3人が絶妙の距離感でパスをつなぐと、それに東浩史らが連動してポンポンと人とボールが動いた。

後半12分には左サイドで大木と齋藤のパス交換から右サイドに展開し、東がドリブルを仕掛けたところ、徳島のディフェンダーともつれて転倒。バルバリッチ監督が激しく抗議をし、退席処分となったこのプレーでPKを得ることはできなかったが、それでも愛媛は徳島のゴールに迫り続けた。さらに28分には、最終ラインの大野和成から縦パスでスイッチが入ると、大木に代わって投入された福田健二、前野貴徳がダイレクトでつないで最後は内田。シュートはGKオ スンフンのセーブに阻まれたものの、愛媛はその勢いのままタイムアップの笛が鳴るまで攻め立てた。

試合の展開を考えれば、愛媛にとってはドローも満足すべき結果かもしれない。しかし、そこはダービー。欲を言えば、愛媛としては勝ちたかった内容でもあった。ただ、J2では7勝3分7敗で迎えた今季最後のダービーで、出せるものを出し切り、愛媛の意地を示したダービーでもあった。波状攻撃から、そしてセットプレーから奪った12試合ぶりの複数得点も自信になるだろう。この魅せる攻撃で、あとは勝点3をもぎ取るだけ。次のホーム鳥栖戦（11／12＠ニンスタ）も昇格レースに関わる熱戦になるが、それを乗り越えてただひたすら、愛媛も上の順位を目指し続けたい。

以上


2011.11.07 Reported by 近藤義博