11月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第34節
鳥栖 2 - 0 横浜FC (13:03/ベアスタ/11,372人)
得点者:12' キムビョンスク(鳥栖)、75' 池田圭(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 11/7(月)後02:00〜
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狙った形で得点を挙げれば勢いは増す。逆に警戒していた形で失点すると、勢いも士気も落ちてしまう。
第34節の鳥栖対横浜FCの一戦は、まさにその通りの展開となった。
今節まで14戦負けがなかった鳥栖は、セットプレーからの2得点で勢いを増し、15戦連続で勝点を上積みすることができた。逆に今節まで11戦勝利を挙げることができていなかった横浜FCは、その記録を12試合としてしまった。
互いに放ったシュートは7本ずつ。しかし、その内容には、相当な違いがあったように見えた。
立ち上がりの5分、FW豊田陽平が決定的なシュートを放つと、そのまま流れは鳥栖に傾いた。この流れは今の鳥栖の勢いの象徴と言える、前線からのプレスを引き出し、横浜FCのDFからの展開にミスを誘発した。元々横浜FCは、DFのポゼッションがうまいチームで、そのボールを受けた攻撃的なMF高地系治がFWカイオや難波宏明につなぎ相手を崩していく。だが、この高地系治にボールが入らないと、意図する攻撃が組み立てることが困難になる。そうなると、DFからのロングボールが増えてくることになり、そのボールを鳥栖に弾き返され、MFにインターセプトされるシーンが多かった。
この流れが、確実に鳥栖の形を引き出していく。12分に、右サイドハーフウェイライン過ぎあたりからのスローイン、丹羽竜平が中央でフリーになったキム ビョンスクにボールを入れた。「もらった瞬間は、シュートまでしか考えていなかった」キム ビョンスクから、先制点が生まれた。スローインとはいえ、横浜FCにしてみれば気をつけていたはずのところだが、簡単に先制点を許してしまったことが悔やまれる。
その3分後、横浜FCにも追いつくチャンスが訪れた。左サイドからボールを受けた高地系治が持ち込んで左足のシュートを放ったが、ボールはゴール右にそれた。この日、最大のチャンスともいえるシュートだったが、決まっていれば違う展開になっていただろう。その後の流れも鳥栖に傾いたままだった。
「慌てないでしっかりつなごう」と岸野靖之監督のハーフタイムのコメント通りに、後半の入りは横浜FCが良かった。高いDFラインでポゼッションすることで、鳥栖の選手たちを自陣に押し込めることに成功していた。この時間帯のなかでシュートを放つことができていれば、鳥栖にとどめを刺されることはなかっただろう。
しかし、前半の勢いを取り戻すセットプレーからの追加点が池田圭のヘディングから生まれた。横浜FCにしてみれば、気をつけていたはずのセットプレーからの失点で、この日の鳥栖の勝利を確定させるゴールでもあった。83分の横浜FCの選手の退場もあったが、この池田圭のゴールは今日の試合だけでなく、残り試合の戦い方にも勢いを与えるゴールになったのではないだろうか。
全員で身体を張った守備を行い、リスクを回避したシンプルな攻撃を続けた鳥栖。この形こそが鳥栖らしさであり、今の強さなのである。
「選手たちが最後までゲームをうまく締めくくってくれた」とコメントした尹晶煥監督。
「うちのほうが甘いやつと緩いヤツが多過ぎる」とコメントした岸野靖之監督。
この言葉がそのまま両チームの現状を表している。2−0のスコア以上に、両チームの完成度の開きがあった試合だった。
ボールをテクニックやフィジカルだけで運んでも、そのボールに意図は見受けられない。
ゴールに向かう姿勢や、勝ちたいと思う気持ちが見えないと、味方同士のパス交換やクロスからのシュートは生まれない。「気持ちのある選手のところにボールは転がる」と表現されることがあるサッカーは、強いメンタルが求められるスポーツでもある。
華麗なるテクニックや強いフィジカルは時に美しいが、勝利に対する執念ほど見ている人をひきつけるものはないだろう。
反面、勝利に向かって強い気持ちを見せるアスリートに観衆は酔いしれる。
サッカーの面白さは、勝利に徹する思いの強さでもある。
以上
2011.11.07 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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