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【J2:第34節 鳥取 vs 栃木】レポート:パワフルに攻め続けた栃木が、クラブ最多の5得点で大勝。鳥取は終盤の連続失点で、最多得点差での惨敗。(11.11.07)

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11月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第34節
鳥取 0 - 5 栃木 (13:03/とりスタ/2,111人)
得点者:20' 杉本真(栃木)、60' リカルドロボ(栃木)、84' 河原和寿(栃木)、90'+2 サビア(栃木)、90'+5 サビア(栃木)
スカパー!再放送 Ch183 11/7(月)後05:00〜
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「勝点3を取ることが一番大事で、それができてよかった」と語った栃木の松田浩監督は、「大量得点で勝てたことは、得失点差のことも考えると大事ですし、これまでのうっぷんが晴らせたというか、流れを変えられるんじゃないか、というムードを作れたこともよかった」と続けた。9月以降の11試合で1勝しかできず、「うっぷん」が溜まっていた栃木にとっては、久しぶりの会心の勝利。しかも、J2昇格後最多となる、5得点のゴールラッシュだった。

栃木は序盤から、前線や両サイドのスペースへのロングパスを多用。2トップにボールを預け、2列目以降が反応してチャンスを広げていく攻撃の主要パターンが、前日からの雨で水が浮き始めていたピッチコンディションでは、より効果的なものとなった。「シンプルにプレーするのが一番だと思っていた」(杉本真)チームの狙いは徹底しており、鳥取のディフェンスラインを押し下げ、セカンドボールを拾ってゴールに迫る。

20分にはCKのこぼれ球を拾って再度攻め込むと、相手のクリアの浮き球を、前線に残っていた渡部博文が、反転しながらヘッドで落とす。「マコ(杉本)から声が聞こえた方にボールを落とした。いるのは分かっていたけど、呼ばれて、走り込むスペースがイメージできたので、思い通りの場所に落とすことができた」という渡部と、「声をかけたら、理想的な場所に落としてくれた。イメージ通りで、あとは落ち着いて決めるだけだった」という杉本の“黄金連係”が発動。杉本が正確なコントロールから蹴り込み、先制点を奪った。

押され気味だった鳥取も、6分に福井理人が右サイドを突破し、センタリングを中央で受けたキム ソンミンがフリーでシュートを放つなど、前半はチャンスを作っていた。しかし、先制された後に、さらに大きなチャンスがあったものの、決めることができない。24分、ゴール正面でこぼれ球を拾った三浦旭人が、タックルに来たDFを切り返しで外したまではよかったが、「力んでしまった」というシュートはゴール左へ。28分には、実信憲明のスルーパスで抜け出した福井がシュートを放ったが、GK柴崎邦博に止められた。「前半は、われわれの時間帯もありましたが、決定的なチャンスを決め切れなかった。そういう些細なことでゲームは狂ってしまう」と松田岳夫監督が振り返った通り、これ以降、鳥取は目立ったチャンスを作れないまま、さらに劣勢を強いられることになる。

1‐0で迎えた後半、鳥取は反撃に転じたいところだったが、立ち上がりから押し込まれてしまう。前半は、栃木のディフェンスラインと中盤の間のスペースを突くなどして、押し下げられた最終ラインから、敵陣までボールを運ぶことができていた。しかし後半は、そのスペースが埋められたことに加え、はね返す際のパワーも含めてキックの精度が下がったため、なかなか自陣から抜け出すことができない。後半から風下になって、「思ったよりも風の影響があった」(服部年宏)こともあり、反撃の糸口を見いだせなくなった。

攻勢を強めた栃木は、59分に崔根植が決定機を逃して嫌なムードになりかけたが、直後の60分、狙っていた形から追加点を奪う。左サイドのスペースへのロングパスで敵陣に入り、鳥取の選手が同サイドに固まったところで、中央に入り込んでパスを受けた杉本がフリーでシュート。GK小針清允がはじいたボールを、リカルド ロボが難しい角度から蹴り込み、ネットを揺らした。松田浩監督が試合後に「2点目が入ったことで、何か起こって1点取られても勝つ、勝てる、ということが目の前に近づいてきた、現実味を帯びたことがパワーになった」と振り返った通り、後半はずっと優勢だった栃木にとっては、精神的な余裕も生み出す、価値あるゴールだった。

その後も栃木の攻勢は続き、84分には河原和寿のシュートが相手の喜多靖に当たり、コースが変わってゴールイン。完全に勝負は決したが、これでは終わらなかった。ピッチ内で負傷者の治療があった影響もあり、7分という長さとなった後半のアディショナルタイムに、3点目の後に交代出場したサビアが、さらに2点を追加。90+2分、90+5分の連続ゴールでゴールラッシュを締めくくった。

試合後の両者の様子は当然、あまりにも対照的だった。終了のホイッスルと同時に、選手たちが疲労困ぱいの体でうなだれた鳥取は、90分間続いた栃木のパワフルな攻めにスタミナを削り取られての惨敗。2−0とされた後にDF奥山泰裕が味方との接触で鼻骨を骨折して退き、反撃のための選手交代が限られたという事情はあったにせよ、1点を返すこともできなかった。9月のホームでの鳥栖戦で3‐6と敗れた時が、J2昇格後の最多失点だが、この試合は0‐2のビハインドから、一時は3‐2と逆転しており、4点差以上をつけられたことはなかった。それを上回る5点差での敗戦に、松田岳夫監督は試合後の会見冒頭で「ホームでこのような結果になったことについて、雨の中で応援してくださったサポーターの方々に、本当に申し訳なく思っています」とコメント。「申し訳ない。本当に申し訳ない」と繰り返した服部をはじめ、選手も口々に失意の表情で語った。良い流れの時間帯で見せるプレーの質は、開幕当初と比べると高まっているだけに、劣勢の時間帯をどのようにして耐え、勝機を引き寄せるかという課題を、あらためて突きつけられる結果となった。

一方、選手間に笑顔が広がった栃木は、前半の先制した後に連続してピンチを迎えた点については、松田浩監督や選手たちが反省材料に挙げていたが、落ち着きを取り戻した後は攻守に安定していた。J1昇格争いを現実的に考えると、巻き返しのスタートが遅かった感は否めないが、「とにかく、順位を落とさずに上げていかなければいけないという使命、目標の中で、絶対に落とせない試合だと思っていた」(松田浩監督)という試合に大勝したことで、残り4試合での再浮上に向けて、これ以上ない大きなはずみをつけたことは間違いない。

以上

2011.11.07 Reported by 石倉利英
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