11月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第34節
湘南 1 - 2 F東京 (16:03/平塚/9,292人)
得点者:72' ロベルトセザー(F東京)、75' アジエル(湘南)、81' ロベルトセザー(F東京)
スカパー!再放送 Ch183 11/7(月)後00:00〜
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きっかけはほんのわずかな綻びだった。接触プレーでF東京の選手が痛み、いったんプレーが切れた後のことだ。湘南がボールを返す。F東京のGK権田修一が前線へ送る。受けた谷澤達也がドリブルで強引に突破を図る。対して鎌田翔雅がしっかりと対応する。このとき鎌田がアピールしたファウルは認められず、谷澤はそのまま深くまで持ち込む。鎌田も再び対峙する。だが谷澤は鋭くかわし、クロスをなかへコントロールする。途中出場のロベルト セザーがこれに合わせ、72分、F東京が先制に成功する。
反町康治監督は振り返っている。
「2つのやられたシーンを思い起こせば分かるが、隙を見せれば簡単に突かれてしまう。去年J1でも結局それが命取りになってしまった試合はたくさんある。確かにファウルだったかもしれない。でもそこでみんな止まってしまい、逆に相手はその隙を突いた。これは個人を責めるのではなく、チーム全体の問題。ここの厳しさを克服しないことにはやはり、勝点を取っていく、もしくは上にのし上がっていくことはできない」
失点後、湘南もすぐに巻き返している。鎌田の縦パスからアジエルを経由し、ドリブルでペナルティエリアに進出した永木亮太が相手のファウルを誘う。これによって得たPKをアジエルが冷静に沈め、わずか3分でゲームを振り出しに戻した。湘南はなおも攻勢に出る。だが次の1点を奪うのはアウェイチームのほうだった。81分、中村北斗が右サイドを縫うようにドリブルで抜けて折り返す。中で待つはまたもセザーだ。ワントラップから鮮やかに左足を振り抜き、F東京が再び突き放す。
スコアが動く前、ハーフタイムに反町監督はいま一度ネジを巻いたという。一瞬の隙でも与えてはいけない。ごまかしのきく相手ではない。だがもっとも苦しい時間帯にさしかかり、首位チームはしたたかに、そして鮮やかに敵の間隙を縫った。
もちろん湘南の重心を前に傾けたのが勝利への希求であることを忘れてはなるまい。反町監督はこうも語っている。
「非常に緊迫したゲームだった。選手には戦術的にもかなり大きなタスクを与えたが、しっかり実行し、非常に躍動感のあるいいパフォーマンスだったと思う」
累積警告や代表招集などによりメンバーを入れ替えたF東京と、3−4−3にシステムを変えて臨んだ湘南は前半、一進一退の拮抗した攻防を演じていた。「システムを少し変えて、それがいい方向に奏功したと思う。自分たちがやろうとしているゲームができた」GK西部洋平がそう語ったとおり、湘南は守備で仕掛け、速く攻撃へと繋いでリズムを掴まんとした。相手のパスコースを封じ、最終ラインからのビルドアップを許さぬ時間帯もあった。組織力をもってゲーム戦術を体現したそんな彼らに対し、F東京も個で持ち込む場面に打開を見た。ドリブルにより視界を開くことで見出したチャンスの芽は、後半に訪れたゴールシーンの伏線だったと言えるかもしれない。
この日の勝利により、F東京は次節の3位以内確定を捉えた。一方の湘南の、今季のJ1復帰は潰えた。だが反町監督は言う。「ゲームには負けたが、グッドルーザーだと思っている。選手には本当にお疲れさんという言葉をかけてあげたい」。たとえ今は潰えたものがあったとしても、それは終わりを意味してはいない。あらためて得た経験を糧に進むべき先がある。「サッカーは続いていく」――指揮官の言葉だ。
以上
2011.11.07 Reported by 隈元大吾













