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【J2:第34節 水戸 vs 北九州】レポート:“強い”北九州を凌駕して勝利を手にした水戸。判断力を身につけ、“強さ”が本物になってきた!(11.11.07)

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11月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第34節
水戸 1 - 0 北九州 (13:04/Ksスタ/2,511人)
得点者:45'+3 鈴木隆行(水戸)
スカパー!再放送 Ch181 11/8(火)前04:00〜
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北九州は強かった。「これだけハードワークしてくれた選手たちを責めるわけにはいかない。私の言うことを90分間果たそうとファイトしてくれた」と三浦泰年監督が選手を讃えたように、2人が退場した後も下を向かずに勝利を目指して戦い抜いた。そのファイティングスピリットは上位に位置するにふさわしいものであった。また、序盤から水戸が主導権を握る展開となったが、引くことなく、ボールホルダーに厳しくプレスをかけ続けた。最後まで自分たちのサッカーを貫き通した北九州。「この順位にいるのは決して偶然ではない」と柱谷哲二監督が称賛するほどの力を見せつけ、「今後につながる戦いを見せることができた」と三浦監督はさらなる飛躍を誓った。まだまだ北九州は強くなる。そう予感させる90分であった。

だが、この試合においては、水戸の方が強かった。順位こそ下位に低迷しているものの、チームとして着実に積み上げてきたものが力となりつつあることを証明した。リーグで屈指のポゼッション能力を持つ北九州に対し、中盤で主導権を握った水戸。序盤ロングボールを多用して北九州のDFラインを下げると、徐々に村田翔とロメロ・フランクのダブルボランチが巧みなゲームメイクを見せてボールを支配しはじめ、前線では鈴木隆行が圧倒的な強さで起点となることで、厚みのある攻撃を繰り出すことができた。

主導権を握ることだけならば、今までもできていた。だが、この日の水戸は「判断力」が備わっていた。前節負傷した吉原宏太のポジションには小池純輝が入り、小澤司が右MF、島田祐輝が左MFという布陣で挑んだ。しかし、「小池がスピードを生かして裏にすり抜けることを狙ったが、リズムに乗れなかった」(柱谷監督)ことで、30分すぎに小澤と小池のポジションを入れ替える。それにより、「全体が落ち着いた」(柱谷監督)。試合途中のポジションチェンジにも関わらず、選手たちは柔軟に対応し、流れを引き寄せてみせた。

判断の速さも備わっていた。いわゆる“攻守の切り替え”で北九州を上回った。最も如実に表れたのは23分のシーンだ。加藤広樹がインターセプトするや、すぐに左サイドの島田が飛び出す動きを見せる。素早く加藤がボールを送ると、島田がキープし、バックパス。瞬時にサポートに走った尾本敬がクロスを上げると、ゴール前に走り込んだ小池がトラップ。北九州DFの激しい寄せに遭い、シュートを打てなかったが、セカンドボールを拾って右サイドに展開。小澤が送った鋭いクロスをニアに走り込んだ鈴木隆が合わせる。惜しくもシュートはゴール上に外れるものの、常に先手を取って攻め続けた水戸が北九州ゴールを襲い続けた。

それが前半アディショナルタイムに実る。左サイドからのボールをキープした鈴木隆が突破を試みる。ペナルティエリア内に侵入したところで相手DFに倒され、PKを獲得。鈴木隆自らが豪快に右隅に蹴り込んで待望の先制点を挙げる。

相手を圧倒し、リードして前半を終える。当然、後半に向けて相手は修正し、勢いよく挑んで来る。それは前節草津戦で経験済み。前節の悔しさが糧になっているかが試される後半45分となった。
結果から見ると、「ミスをカバーする守備とメンタル面が前節と違った」と柱谷監督が振り返るように、前節とは打って変わって“強い”姿を水戸は見せた。北九州は前半以上に激しくプレスをかけて、前に出てきた。しかし、水戸は下がることなく、全体をコンパクトに保ち、北九州のパスワークを遮断。ボールを奪ってからは素早く縦パスを入れて、手数をかけずに北九州陣内に攻め込んだ。フィニッシュの精度を欠き、追加点を決めることはできなかったが、「終始流れをつかむことができた」と柱谷監督が納得の表情を見せるほどの安定したゲーム運びで完封勝利を飾ることとなった。いくつかあったピンチの場面も本間幸司のいつも通りのスーパーセーブで防ぎきった。

「どのチームとやっても技術的に負けていないぐらいに戦えている」と鈴木隆は充実した表情を見せる。チームの基盤がしっかりと築かれており、その上にあらゆるオプションを付け加えることができている。4−4−2をベースに4−2−3−1と4−1−4−1を自在に使い分け、さらにこの日の小澤と小池のように多くの選手が複数のポジションをこなすことができるようになっている。加えて、試合の流れによって前からプレスをかけるのか、DFラインを下げるのか、ボールをつなぐのか、ロングボールを蹴るのかなど、状況に応じた戦い方を選手たち同士で判断できつつある。「まだ技術的なミスが多い」(柱谷監督)ものの、戦術における質の向上は目覚ましいものがある。6位のチーム相手に内容で上回ったことがそれを証明していると言えるだろう。

公式戦10試合で5勝4分1敗。その1敗も水戸が終始主導権を握ったゲームであった。培ってきた力が“本物”になってきたと言えるだろう。次節はFC東京とのアウェイゲームとなるが、「いい状態で戦えるから楽しみ」と鈴木隆が言うように、高いモチベーションと確かな自信を胸に試合に挑むこととなる。FC東京のJ1昇格内定がかかった一戦ということで大いに注目を浴びるに違いない。ただ、その場で世間をアッと驚かすだけの準備はできている。さあ、お楽しみはこれからだ。

以上

2011.11.07 Reported by 佐藤拓也
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