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今季の草津は、昇格ハンターだ。現在の昇格圏内３チームF東京、鳥栖、徳島との計６戦で３勝１分２敗と勝ち越し、５位千葉からは２勝を挙げている。ビルドアップを軸とする草津にとって上位陣が組みやすいのは事実だが、血の気が多い草津戦士たちは相手が強ければ強いほど士気が高まる。さらに現在13勝9分13敗でクラブ初のシーズン勝ち越しを目標とする草津にとって今節は大きな分岐点。勝ち越しがクリアできればクラブ最高順位９位以上に浮上する可能性が高い。狩猟団を率いるリーダー熊林親吾は「札幌以外の上位陣はすべて倒してきたので次も札幌を倒して自分たちの力をみせたい」と武器を研ぐ。
今季の４戦目、敵地で札幌と対戦した草津は、アディショナルタイムに決勝ゴールを許し札幌へ初勝利をプレゼントした。試合直後にＣＢ御厨貴文が「札幌にきっかけを与えてしまった・・・。相手は勝っていなかったし、うちはドローでも良かった。もしドローだったら札幌は苦しくなっていただろう」と話していたのをはっきりと覚えている。草津からの劇的な勝利で息を吹き返した札幌はシーズンを重ねるごとに地力を発揮、４年ぶりのＪ１復帰まであと一歩のところまで辿り着いた。今ゲームの草津のミッションは敵地での借りに大きな利息をつけて返すこと、それだけだ。
札幌はまさにサバイバルレースの佳境に突入している。現在の順位こそ４位だが、３位徳島と勝点（６２）は同じで得失点差はわずか１差。勝点はもちろん１得点、１失点が昇格に直結する状況だ。３位徳島が湘南、鳥栖、岡山との対戦を残すのに対して、札幌は草津、湘南、そして最後にF東京との対戦が待つ。ライバル徳島は、札幌に先駆けて１９日に湘南と対戦するが、その結果によっては札幌の重圧は増すことになる。
草津は、札幌の堅実な戦いを頭に叩き込んだ上でアグレッシブな攻撃を仕掛けていく。前節岐阜戦で決勝点を決めたCB中村英之は「失うものは何もない。札幌は先制すると強さを発揮するので失点に気をつけながらも自分たちのスタイルをぶつけていく」と宣戦布告。MF砂川誠への警戒を強めるGK北一真は「アウェイでもあそこから失点したし、流れを変えることができるいやらしい選手。キックもタイミングをズラしたり細かい工夫を入れてきたりするので集中して対応したい」と話す。ちなみにベテラン砂川は、昨季一度は契約満了となりながら再契約でチームに残ることになったプレーヤー。草津も昨季ベテラン主力選手を戦力外にしたが、今季の補強に成功したとはいえない。その意味では札幌の判断、そして砂川のプレーは見習うべきところがある。
１７日、草津はＪリーグ全３８クラブに先駆けて今季限りでの契約満了選手を発表した。ＪＦＬ時代から在籍する最古参・佐田聡太郎、元日本代表・戸田和幸ら７選手がシーズン後にチームを去ることになった。１７日の練習後に契約満了選手について言及した副島監督は「（選手については）クラブ側が総合的に判断した結果と考えている。（発表にはなったが）２０１１年はザスパの選手であることに変わりはないので調子の良い選手は当然起用していく。我々は目の前の試合に勝つためにベストを尽くすだけ」と言葉を選ぶようにして語った。
契約満了選手発表がチームに与える影響がないと言えば嘘になる。だが佐田らは過去の選手たちがそうしてきたように平常心で練習に取り組んだ。佐田は「これまで応援してくれたサポーターへ申し訳ない気持ちでいっぱい。残り３試合だがいつ出番が来てもいいように準備はしているので、チャンスがあったらサポーターへ自分らしいプレーをみせたい」と、ショックを笑顔で隠した。練習では気迫のプレーをみせた山田晃平は練習後、膝を抱えてじっと座り込んでいた。今節札幌戦を含めた残り３試合は、草津の選手、サポーターにとって特別な時間となる。去り行く選手たちの花道を飾るのは勝利しかない。草津は全選手が一体となって札幌を狩る。
以上
2011.11.19 Reported by 伊藤寿学
