12月3日（土） 2011 J2リーグ戦 第38節
岡山 1 - 0 徳島　（12:33／カンスタ／8,833人）
得点者：90'+5 久木田紳吾（岡山）
スカパー！再放送 Ch185 12/5（月）前04:00〜
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レポートとしてここで記し伝えるべきは3つのことだろう。

まず1つ目はもちろん、今季の目標であったJ1昇格をこのシーズン最終戦で逃してしまったこと。FC東京を降して勝利を手にした札幌に対し、徳島は岡山に敗戦。喉から手が出るほど欲しかった3位の椅子を札幌に持っていかれたのである。
ただ、戦前クローズアップされていた得失点差でなく、勝点差によってそうした結末になったという現実には悔しくとも目を向けなければならない。それはやはりシーズン通しての戦いが如何に重要かを改めて物語っているし、昇格を手にし損なった徳島としてはそこにどこか甘さがあったと認めざるを得ないだろう。実際に津田知宏が「取りこぼした試合もありましたし上位チームに勝てないということもありました」と沈痛な面持ちで振り返れば、三木隆司も「ひとつひとつの試合がそれぞれ大事で、最後（この最終戦）が全てではありません。勝負どころで勝ってないので、もう少し足りないところがあったのかなと思います」と悔しさを押し殺しながらコメント。それぞれが自分たちのこれまでの戦いを深く悔いていた。

次に2つ目としてはこの一戦における戦いの内容だ。
美濃部直彦監督も「ゲームの入り方としては良かったと思う」と語っていたが、確かに徳島は大敗した前節・鳥栖戦の反省を活かして問題ない立ち上がりを見せたと言えよう。特に守備陣は冷静な判断とそれによる対応で固いブロックを形成。不可欠と思われたリスクマネジメントもしっかり行って岡山を封じ込めた。しかし反面、チームの攻撃は序盤からなかなかギアが噛み合わない。「自分たちがバランスを崩して早めに先制点をとられると苦しくなるという教訓もあったし、前節鳥栖と戦った時慌てている感じもあったので、意思統一としては点をやらないように、そして1点ずつ積み重ねていくというプラン（美濃部監督）」ではあったものの、岡山ゴールを脅かすようなシーンがあまりに少なかったと言えるのではないか。今季前線での起点作りを一手に担ってきた佐藤晃大を出場停止で欠いたチームは、前への意識こそ感じさせたものの、厚みのある押し込みをほとんど出来ないままその後も時間を経過させていった。
そして、訪れたチャンスをモノに出来なかったことがさらに攻めのリズムを遠ざけていく。前半終了間際に柿谷曜一朗が放ったシュートはポストに嫌われたし、後半開始直後には徳重隆明が前節に続くまさかのPK失敗…。それぞれがいい時間帯でのチャンスだっただけに、それらが決まっていればおそらく徳島の攻撃は一気に燃え高まっていたように思われる。
しかしながら、だからと言って彼ら2人を責めるなどあり得ない。なぜなら徳島はシーズン全てにおいて全員で戦い、全員で結果を残してきたのだから。それ故このゲームの攻撃に十分な勢いが出なかった何よりの原因は個でなく全体にあるはず。異様な雰囲気と強烈な重圧の中に置かれていたことは間違いないが、計り知れないほど重要であったこの90分間、流動的かつ積極的な動きやゴールを強く意識したトライなどがプランの中での100％で実践出来たかはチームとして問われるところであろう。

そして最後に3つ目の伝えるべきこと─。
徳島は必ず今以上に強くなる、ということである。それはチームも、クラブも、サポーターも。
美濃部監督は「人生でこれほど悔しい気持ちになることはそんなにない。だからこの悔しさをしっかり次につなげていくという想いで、今後自分の仕事に対してしっかりやっていって欲しい」と試合後の選手たちに声をかけたというが、その言葉はチームだけでなく、徳島ヴォルティスというクラブにも、そのクラブを愛するサポーターたちにも通ずるものだ。
夕暮れ前の岡山の地で味わった悔しさは本当に例えようがないほど大きかった。だが、それほど大きな悔しさだったからこそ、乗り越えた時にはきっとそれぞれがまた一段上の強さを得られるはず。そうなればまた次のシーズンもJ1昇格を見据えて歩みを進められるだろうし、今度こそそれを手に出来るのではないか。だからこそ、チームも、クラブも、サポーターも、引きずるものはあろうがそれでも顔を上げ、前を向き、胸を張って、もう明日からでもこの悔しさを乗り越えるための新たな一歩を踏み出してもらいたい。

以上

2011.12.03 Reported by 松下英樹