12月3日（土） 2011 J2リーグ戦 第38節
鳥取 2 - 4 愛媛　（12:33／とりスタ／2,504人）
得点者：6' 福井理人（鳥取）、12' 大山俊輔（愛媛）、33' 齋藤学（愛媛）、54' 齋藤学（愛媛）、61' 池田昇平（愛媛）、69' 丁東浩（鳥取）
スカパー！再放送 Ch183 12/5（月）前05:00〜
★J2シーズン表彰　投票受付中!!
----------

※愛媛側レポートはこちら

Ｊ２昇格１年目の終盤に訪れた試練を、最後まで乗り越えることができなかった。昇格後ワーストとなる６連敗で迎えたホームでの最終節で、またしても敗れて７連敗。天皇杯３回戦も含めると公式戦８連敗で全日程を終え、不振からの脱出は来季に持ち越された。

６分、自陣で奪ったボールを的確につないで敵陣に進み、一度自陣に下げたところから、戸川健太が前線にロングパス。スペースに走り抜けていた小井手翔太のヘッドでの折り返しを、福井理人が押し込んで先制した。松田岳夫監督は2010年の就任当初から、ボールポゼッションを攻撃のベースとすると同時に、「一発で相手の裏を取って得点できるのなら、それが一番簡単」と、状況に応じたプレー選択の重要性も説いてきた。愛媛は３バックの一角、大野和成が出場停止で、代わりに吉弘充志が入ったエリアの連係の乱れを突いた得点は、チームが目指してきた形の一つ。連敗ストップへ、これ以上ない好スタートを切ったかに思われた。

12分に追い付かれてしまったのは、もったいなかったが、その後も流れは悪くなかった。中盤のスペースに入り込んでのチャンスや、１点目と同様にディフェンスラインの背後を突いたプレーなど、攻撃もリズム良く攻めていたが、得点が奪えないまま迎えた33分、逆転されてしまう。齋藤学のゴールは、３人がペナルティエリア内でダイレクトパスを交換した鮮やかなもので、相手を褒めなければならない面もあるが、服部年宏は、そこにつながった相手のスローインへの対応を「ちょっとした切り替えが遅くて、スキを自分たちで作って、やられてしまった」と、自分たちの対応の甘さを悔やんだ。

結局、１点をリードされて後半に折り返したが、逆転された後の前半にキム ソンミンのシュートがポストに当たるチャンスもあり、攻撃の良い流れを保てば、勝機は十分にあるかと思われた。しかし54分、自陣で水本勝成のパスを受けた加藤秀典が処理をもたつく間に、プレッシャーを受けてボールを奪われる痛恨のミス。ＧＫとの１対１を冷静に決められ、リードを広げられた。ここで松田監督が動き、58分に美尾敦と奥山泰裕を同時に左サイドへ送り込んで、同サイドからの攻め崩しを狙ったが、その矢先の61分、セットプレーから失点。一気に３点差とされ、さらに苦しい状況に追い込まれた。
その後は、ホームで少しでも意地を見せようという思いがプレーに表れ、積極的な攻め上がりなどで優勢に進めた。69分には丁東浩が小井手とのパス交換で右サイドをえぐり、そのまま逆サイドに蹴り込んでゴール。わずかに可能性を感じさせたが、大きく流れを変えることはできず、終盤は戸川が前線に上がるパワープレーも見せたが、実らなかった。

松田監督は「今シーズンの課題がそのままストレートに表れた。自分たちがゲームを支配していたにもかかわらず、２点目を奪えずに、相手にリードされてしまった。ミスで失点し、さらにリスタートから失点。（今シーズンを）象徴する失点をしてしまった」と振り返った。シーズン終盤に失点が増えたことは、前線からの守備が機能しないなど、守備全体の不振が要因であることは間違いないが、試合ごとに展開を振り返ると、０−０や０−１の段階で攻撃陣がチャンスを生かせず、勝機を手放す試合が多かった。この試合も同様で、松田監督の言葉どおり、厳しい戦いを強いられたシーズンを象徴するような敗戦だった。
一時は健闘ぶりが高く評価された時期もあった１年目は、結局19位。松田監督が退任し、新監督を迎える2012年は、ＪＦＬとの入れ替えが始まる可能性を含めれば、さらなる成長が求められる。そのために、どれだけの準備ができるのか。試合後、とりぎんバードスタジアムが、台風のような激しい風雨に見舞われたのは、その道のりの険しさを暗示しているようでもあった。
　
以上

2011.12.04 Reported by 石倉利英