前半は空中戦、後半は地上戦と、甲府はふたつ戦法を使い分けた。シュート数は甲府の13に対し、大分は6本。終始主導権を握っていたのは、確かに甲府だった。
「前半の初めというのは相手もフィジカル的にベストなので、コンパクトさであったり、ボールへのアプローチであったり、プレスバックであったりというところで、非常に(足元でつなぐのは)厳しい」と城福浩監督が振り返った前半戦。ダヴィ、高崎寛之の2トップにシンプルにボールを集め、幾度となく大分ゴールを襲うも無得点。ならばと後半はリズミカルなパスワークにサイド攻撃と、多彩なアプローチで甲府が押し込んでいく。66分には、途中出場の青木考太がドリブルでペナルティエリア内に侵入し、ファーサイドに待ち構えるダヴィにパスを通し先制した。結果的に1点のみに終わったものの、「1−0で勝ちきったというのは評価したいです」(城福監督)と手応えを掴むのに十分なパフォーマンスを、チームとして発揮することができた。
耐える時間が長かった大分だが、ただ劣勢に強いられていたわけではない。前線から3トップが果敢にプレスをかけ、ボールを奪えばドリブルで抜け出し強烈なシュートを放つなど、時折見せるカウンターは、甲府の守備陣を十分に警戒させるものだった。
「攻め込まれる場面が多いのは予想していた」と清水圭介の他にも、多くの選手が話していたように、前半を無失点に抑え、後半勝負は当初の計画通りであった。
ただ、この日の甲府はこれまで対戦相手と異なった。後半7分に木島悠、同20分に高松大樹を早めに投入するなど手を打ったが、「自分たちの攻撃が終始できず、攻撃の糸口を掴めなかった」(田坂和昭監督)。
力負けだった。甲府のSBが積極的に攻撃参加したため、WBが最終ラインに吸収され、2シャドーもボランチの横のスペースを埋めようと守備に負われた。攻撃に転じた時には複数が連動して崩す形がほとんどなく「前線と距離があり、押し上げる時間もかかった」(宮沢正史)。
連勝は途切れたが、これまでセットプレーで勝点を拾ってきたチームにとって、修正点が明らかになったのは収穫である。「昇格を狙うには絶対に連敗はできない」と甲府が強い気持ちで今節を迎えたように、大分は次節のホーム戦でこの敗戦を糧にできるかが試される。
今季、「J2天下取り物語」と命名したカードは次回(32節、9月2日)に続く。シーズンパス数、観客数、対戦成績で大きくリードされた大分の巻き返しとなるのか、それとも甲府が一気に天下取り(J1昇格)に近づくのか。5カ月後の再戦は、天下取りの名に相応しい戦を見たい。
以上
2012.04.09 Reported by 柚野真也
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