若手も活躍して公式戦4連勝と調子を上げてきた清水と、J1で唯一まだ公式戦の勝利がない横浜FM。対照的な状況にある両チームが、今季清水が全勝中のホーム、アウスタで戦う。そう考えると、清水が圧倒的に有利なようにも思えるが、横浜FMは清水にとってやりにくい特徴を備えているため、そう簡単にはいかないだろう。

この一戦に向けて、清水には楽しみな要素と不安要素の両方がある。楽しみな要素としてもっとも大きいのは、ゴトビ監督が17歳の石毛秀樹のスタメンを再び予告するなど、今回も期待の若手選手の活躍が観られそうなことだ。規定上、前回の新潟戦ほど大胆なメンバー変更はできないが、白崎凌兵や犬飼智也らも、何らかの形で試合に絡んでくるだろう。新潟戦では、石毛や白崎に硬さが目立ったが、今回はもっと緊張もほぐれて、本来のポテンシャルを発揮しやすくなるはず。目の肥えた清水サポーターをうならせるようなプレーを見せるだけの力を、彼らが持っていることは間違いないので、ぜひ楽しみにしてほしい。
もうひとつの楽しみは、メンバーが変わった中で今回も清水らしいサッカーができるかどうかという部分。ここは不安よりも期待のほうが明らかに大きい。中盤の組み合わせが変わり、アンカーも姜成浩に代わるかもしれないが、パスをつなぐという面では村松大輔よりも自信を持ってプレーしており、守備での球際の強さもある。トップ下の2枚はどうなるか予想が難しいところだが、候補者の誰が出ても十分な力を持っている。
DFラインやGKも、新潟戦でまったく問題なかったし、前線でのプレッシングにも十分な運動量が期待できる。そう考えると、ミスを恐れてロングボールが多くなってしまうことさえなければ、自分たちのサッカーはできるはずだ。

一方、不安な要素は、急にケガ人が増えてきたこと。小林大悟が軽いギックリ腰で前節の静岡ダービーを欠場し、吉田豊は前半で負傷交代。枝村匠馬も左もも裏を痛め、村松は左膝、平岡康裕は左足首に痛みを抱えている。もちろん、その全員が横浜FM戦に出られないわけではないし、仮に彼らが出場しなくても十分に戦えるが、これ以上ケガ人が増えると5月の連戦は厳しくなってくる。
そうした状況を考えると、前節で共にケガから復帰した小野伸二と高原直泰をどう使うのかも気になるところ。昨年も、選手をローテーションさせながらコンディションを保っていくという面で手腕を発揮したゴトビ監督だけに、この横浜FM戦と4日後のG大阪戦でどんな選手起用を見せるのか、これは楽しみな部分でもある。

対する横浜FMは、あらためてチーム一丸となってアウェイで今季初勝利に挑む。リーグ戦ではアウスタで9勝4分5敗と大きく勝ち越しており、スタジアムとの相性は悪くないし、ピッチ状態は抜群なので、清水サポーターの作る独特の雰囲気を除けば、やりやすいスタジアムと言えるだろう。
横浜FMも、リーグ戦とはメンバーを入れ替えてくる可能性があるが、清水と同様に力のある若手が多いチームだけに、大きな戦力ダウンにはならないだろう。勢いや思い切りの良さという面では、リーグ戦よりも良い面が発揮される可能性も十分にある。
また、伝統的に守備が堅く、セットプレーも強いチームであり、それは今もチーム内に息づいている。逆に清水にとっては、人数をかけて守りを固め、カウンターやセットプレーでゴールを狙ってくるチームは、現時点でもっともやりにくいタイプ。過去にもセットプレーで得点した横浜FMがアウスタで勝っている試合がいくつかあり、清水としても非常に警戒しているパターンだ。
ここは勝敗を左右する大きなポイントであり、試合のスリリングさをより高めてくれる要素でもある。清水としては、もちろん選手たちが高い集中力を保つことがもっとも重要だが、サポーターが若いチームをどれだけ温かく、力強く支えてくれるかという部分も大きなポイントになる。

最近の試合では、寒さや強風、雨などが重なって、スタジアムから足が遠退きやすい天候が続いたが、今のところ明日は、雨もなく比較的暖かい天気になりそうな予報。ぜひスタジアムに足を運んで、若い選手たちの活躍と成長を手助けしてほしい。

以上

2012.04.17 Reported by 前島芳雄