今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第9節 東京V vs 湘南】プレビュー:“決定力”猛省の東京V攻撃陣。8戦無敗と勢い止まらぬ首位・湘南相手に、「得点への強い執念」を結果に表わすことができるか?(12.04.22)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「休みが明けて、週のなかばになっても、まだムカムカするもんね」それほど、川勝良一監督にとって前節の京都戦の敗戦が悔しくてたまらないのだという。今季ここまでの東京Vは、昨年までであれば落としていたであろう、内容が悪くて拮抗したゲームからでも勝点を得られる粘り強さを見せていた。だからこそ「攻守とも、今季のなかで良い方だった。特に守備が良くなったし、守備から攻撃の切り替えも良かったから攻撃に人数がかけられてボリュームが出せた」納得の内容での黒星は、なおさら消化不良なのだ。「ああいう試合で勝たないと意味はない」飯尾一慶はじめ、選手たちもの表情も厳しいものだった。

その上で川勝監督は「問題は、(いまだに払拭できない)ここまでの悔しさを感じてる選手がどれだけいるか?だよね」との問いかけを口にする。善戦しながらも敗れた前節の悔しさをどのようにプレーで表わし、結果へと結び付けていくのか。この試合最大の焦点となりそうだ。
中でも、指揮官が最も強く求めているのがFWの奮起である。「本当に僕がシュートを決めるだけだった」と、杉本健勇が猛省するように、何度か訪れていた絶好の決定機を決め切れなかったことが、前節・・京都との勝敗を分けた原因となってしまった。試合後、「決定力の部分を少しでも修正して次のゲームの準備をしたい」と、指揮官も語っていただけに、“決定力”こそ今節の大きなテーマとなる。

その修正法として川勝監督が施したのは、FW陣への得点に対するこだわりの追及だった。当然、ゴールを決めるには技術的な要素も欠かせないため、これまで場合によってはコンディション調整のためであれば回避が黙認されていたシュート練習も、今週は「やらなくてもいいけど、やらなければメンバーから外す」と、攻撃選手全員が半強制的に取り組んだ。だが、それ以上に重要視するのがメンタリティだと、同監督は語る。「本人たちももちろん『外さないように』とは思っているだろうけど、それじゃダメ。うしろ(DF)が持っている『絶対に失点したくない』『無失点で終わらせたい』という強い意識とは比べものにならない。ウチは、守備的ではないサッカーをやっているんだから、DFやMFがそれぞれ無失点、ボール回しの精度にこだわりを持っている以上の“ゴールを決める”こだわりをFWが持ってやらないと」。さらに、こうも続けた。「本当に調子の良い時というのは、GKがどう動くかが見えたり、こぼれ球がどこにくるかなどが感じられたり、とにかく感覚に鋭さがあるもの。その、一番良い、鋭いピーク状態の自分を試合にもってきていない時点でまだまだ足りない。GKの動きが見えた上で、浮かせたりゴロで抜いたりできる状態を習慣づけなければいけない」と、実に要求は高く手厳しい。だが、阿部拓馬、杉本健勇、ジョジマールらFW陣に加え、“得点”はチーム全体が生み出すものだと捉えれば、小林祐希、高橋祥平、和田拓也ら世代別代表入り、そしてその先を目指す若い選手にとっては特に、この高い要求をクリアし、自分のベースにできてこそはじめてその先の道が開けてくるのではないだろうか。
改心を証明する相手として、無敗で首位を独走する湘南は最高の相手と言えるだろう。もちろん、「決定力不足は絶対にFWだけのせいじゃない」と飯尾は力を込めて語る。チームとして、どれだけ徹底的なこだわりをもって得点を追求できるか。「大丈夫。きっとこの試合はたくさん点を入れてくれると思います」最後方から、GK柴崎貴広も信じている。

一方、賛辞を受けたDF陣も決して満足などしていない。土屋征夫がこんなエピソードを引き合いに出し、語ってくれた。「京都の帰り、西(紀寛)が『せっかくよく守ってくれてるのに、攻撃がホント点を取れなくてすみませんでした』って謝ってたけど、そうじゃないよね。だって、1点とはいえ失点してるんだから。俺たちが0で抑えてれば、負けなかった。しっかり無失点にできた上で『頼むよ、点取ってよ〜』って自信持って言いたいよね」。若く、勢いのある湘南を相手に、今節も当然目指すは完封である。

首位をひた走る湘南は、今季無敗と絶好調の渦中である。今季から指揮を執る曹貴裁監督は、始動時「湘南スタイルを作りたい」と語っていた。そして、目指すサッカーには自身のドイツ留学の経験から「ピッチでプレーする選手は最初から最後まで、とにかく勝利目指してアグレッシヴに走り、それを見たお客さんが興奮し、楽しめる。そして、また観に来たいと思って、何度も何度も足を運んでもらえるようなサッカー」を掲げていたが、現時点ではそれが実に上手く表現できているのではないだろうか。3-4-2-1システムの2シャドウの位置で新たに才能を開花している馬場賢治のもつ抜群のキープ力を生かし、1トップの古橋達弥、菊池大介、さらに両ワイドの古林将太、高山薫らが流動的にゴール前で絡んで、次々とチャンスを作り出していく。また、古橋のキック精度によって、セットプレーからの得点も大きな武器である。すでに20得点は言うまでもなくリーグトップで、こうした様々な選手が点を取れる攻撃サッカーに、湘南サポーターが面白みを感じないはずはないだろう。「ただでさえ若いから勢いがある上に、結果が出てるからより一層自信をもって一つの方向に向かえているんだと思う。そういうのって、大事だよね」と、敵ながら土屋も賛辞を送っているほどである。
あえて課題を挙げるとすれば、10点を喫している失点数の多さかもしれない。3バックを敷く以上、サイドを狙われることは重々承知の上とはいえ、前節の横浜FC戦でも、内田智也、武岡優斗という両サイドの巧者に攻め込まれる場面は少なくなかった。いま一度、DFと両サイドとの攻守バランスを徹底させたいところだ。ポイントは、その中盤ワイド、高山、古林がいかに高い位置で起点が作れるかだろう。彼らが自陣での時間帯が増えるということは、攻め込まれている状態を意味する。湘南らしい、縦に速く勢いあるサッカーを披露するためにも高い位置でのゲーム展開ができるかが鍵を握りそうだ。

話しは変わるが、この試合の前(11:00キックオフ)に、同じ駒沢陸上競技場で『なでしこリーグ』第2節:日テレベレーザvsASエルフェン狭山FCのWヘッダーが行われる。前回Wヘッダーが行われたのは2011年8月29日vs浦和レッズレディース戦で、0-3で敗れた苦い思い出がある。おぼろげだった当時の記憶を思い出し、「今回はそのジンクスを払拭したいです」と、岩清水梓選手はリベンジを誓っていた。
その岩清水選手から、次のようにメッセージをもらった。

●岩清水梓選手コメント:
「Wヘッダーはめったにない機会なので、私自身とっても楽しみにしています。ヴェルディのサポーターだけではなく、湘南のサポーターの方にも、ぜひ、『女子サッカーだったらベレーザを応援しよう!』って思っていただけたら嬉しいです。そう思ってもらえるように、私たちも精一杯戦って、良いサッカーをお見せできればと思っていますし、また、その絶好のチャンスでもあると思います。
開幕戦、ベレーザは(5得点の快勝と)良い形でスタートできました。みんな、タイトルが獲りたくてたまらない選手ばかりなので、今年は勝負にこだわって戦っていきます!!
今季のベレーザにはいろんなタイプの選手がいます。ドリブルが得意な選手、ポストプレーが得意な選手、パスが得意な選手、足がメチャ速い選手・・・そんな超個性的な選手が、チームとしてどう融合していくのかを、ぜひ楽しみにしていただきたいです。そして、ぜひ自分の好きな選手を見つけみてください。それもまた、サッカーを楽しむ1つの要素だと思います。
今年はオリンピックイヤーです。私たちも、それぞれが自分のプレーでしっかりとアピールして、今年こそリーグ制覇、そして五輪へ良い形でつなげていきたいと思います。
ヴェルディサポーター、湘南サポーターのみなさん。ぜひ、少し早く会場に来て、私たちの試合を観ていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!!」

以上


2012.04.21 Reported by 上岡真里江
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着