「相手がどういう形で、どういうところで、どういう意図を持ってやってくるのだろうかというのを、まず一番最初のゲームが始まったときに見極めなきゃいけないという話を自分はしています。でもその見極め方、方法として、自分たちが行動を起こして、仕掛けつつ見極めていこうという作業にやっと来たんじゃないか。自分たちが攻撃的に仕掛けつつ、出方も同時に把握する。そして対応していこうという話をしました」
奥野監督がそう話したのは、開始16秒で先制された第7節・横浜FC戦の翌週のこと。その後の山形は、Jリーグで初対戦となるチームとの3試合でスロースターターから脱却を図り、立ち上がりのプレーのレベルを着実に上げてきた。栃木戦は、前節・北九州戦以上に相手を圧倒する立ち上がりで、栃木・松田浩監督も「本当に最初は、すごく迫力のある攻撃にさらされた感じだった」と振り返るように、失ったボールが相手陣内にあるうちにプレッシャーをかけてパスミスを誘い、再びマイボールにしていった。押し込んだことでボランチの宮阪政樹がフリーの状態でサイドチェンジを繰り返し、特に右サイドでは小林亮が積極的な攻め上がりでゴールを脅かすクロスを立て続けに差し込んでいた。そして23分、今度は左から石川竜也がクロスを上げる。中島裕希が競ったこぼれ球に嗅覚を研ぎすませた秋葉勝が猛然と走り込むと、右足アウトでジャストミートされたシュートは、GK武田博行の手から逃げるように内側からサイドネットを突き刺した。
前節の20分に続き、この試合でも早い時間の先制点を実現した山形だったが、さらに決定機を量産した前節とは違い、セットプレーから石井秀典が2度の決定機を迎えたのを最後に、7試合無敗でNDスタに乗り込んできた栃木の組織立ったプレーに手を焼くことになる。30分、スローインから廣瀬浩二のドリブルが西河翔吾の守備をかいくぐってクロスまでつながり、ようやく起点になり始めた棗佑喜が山形辰徳のアーリークロスを引き出し、コーナーキックを得てさらにチャンスを広げた。攻め上がり、徹底して前方で勝負していた小林も、後方にボールを持ち出すシーンが見え始めた。
山形の守備をかいくぐる栃木のパスワークは、ハーフタイムをまたいでも断たれることがなかった。50分に得た右からのスローインの場面。荒堀謙次のスローを棗がヘディングで中央に流すと、菅和範の動きにもつられてボールサイドに寄っていた山形の守備は完全に逆サイドを空けてしまい、それを突いた菊岡拓朗がミドルシュートを決めた。前節・岐阜戦同様、前半に失点した試合を、後半に振り出しに戻す展開。パウリーニョを出場停止で欠き、後半の切り札・サビアを欠いてもなお、揺るがぬ方法論とそれを遂行する不屈の闘争心が栃木の財産であることを、この同点ゴールは示している。
60分過ぎには次々にフィニッシャーをゴール前に送り込んだ山形怒濤の攻撃も、長くは続かなかった。堅守速攻にシフトした栃木のブロックを前に、サイドを起点にできても、クロスの出どころにはプレッシャーをかけられた。アタッキングサードでの手詰まり感を打開しようと、76分からの10分弱の間に宮阪、西河、山崎が次々にミドルシュートを放ったが、どれも枠をとらえられなかった。
この息苦しさを打開したのは、またもリスタートだった。山形の攻撃は左サイドで何度か跳ね返されていたが、86分、ハーフウェイライン付近まで戻されたボールのスローインに向かったのは宮阪。マークが付いていないことを確認し寄っていった秋葉はボールを受けるとターンし、クロスをファーサイドへ。「点が取りたかったので、貪欲に真ん中にい続けた」と待ち受けていたのは、3人目の交代でピッチに入った太田徹郎。チャ ヨンファンの背後からフリーで入り込むと、キーパーの手前でバウンドさせるお手本どおりのヘディングシュートをゴールマウスに押し込んだ。開幕直後から控え組が連日続けていたヘディングシュートの練習が、太田の決勝点となって実を結んだ。
栃木が90分間で放ったシュートは、公式記録で4本。とは言え、前半はセットプレーを中心に山形ゴールを何度か脅かし、後半には追いつき、主導権を握る時間もつくった。それだけに、8試合ぶりに喫した敗戦への悔しさは募る。高木和正は「みんなしっかりハードワークして耐えていました。最低でもこういうゲームを引き分け、ないし勝ちに持っていかないと、チームとしてJ1昇格という目標を達成するためには厳しくなると思う」と立て直しを誓った。順位は8位から12位に後退したが、そこが栃木にとってふさわしくない場所であることを、次節以降の戦いで示す必要がある。
一方、勝利した山形は4連勝で2位をキープし、今節で敗れた首位・湘南との勝点差も3まで迫った。さらに、今季の出場がわずか1分に留まり、ベンチ入りさえままならなかった太田が決勝ゴールを決めたことで、このチームの歯車はさらに勢いよく回ることになる。「これからまだまだ、あと32試合あります。ですから、これからの32試合というものも1試合1試合、目の前の試合というものを、とにかく勝点3をめざして戦っていくというところがすべてだという取り組みをしております」。成長と結果が両立すること、それが日々の積み重ねのなかから生まれることを、奥野僚右監督は常々言葉にしている。山形は、たくましい挑戦者であり続ける。
以上
2012.04.28 Reported by 佐藤円
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