第7節・浦和戦、第8節・札幌戦とホームで連勝を飾った大宮だが、前節はアウェイ神戸に乗り込んで0-3の完敗を喫した。敗因ははっきりしている。開始3分の早すぎる失点によって、「守備から入って相手が焦れてくるのを待つ」(北野貴之)というゲームプランが崩れたためだ。試合の主導権は常に神戸にあった。和田昌裕・元監督とともに磨き上げたハイプレスで大宮のビルドアップを寸断し、ボールを奪うとショートカウンターで縦に速い攻撃。大宮は点を取りにいかなければならないにもかかわらず、受けに回ってしまった。ボールをつなげる時間帯もあったが決定機は少なく、「青木(拓矢)とカルリーニョスの配球どころ」(神戸・安達亮ヘッドコーチ)を抑えられて万事窮した。
そもそもゲームプランを狂わせた開始早々の失点は、ハイボールに対して猛然と突っ込んできた相手FWの勢いに、センターバックが気圧されて起きたミスによるもの。「相手は監督が代わってチームに危機感があり、そのエネルギーをぶつけてくる」(鈴木淳監督)、「速いプレスで勢いに乗ってくる」(北野)と、試合前から警戒していたにもかかわらず、その勢いをまともに受け、立て直すことができなかった。気持ちで負けたといってもいい敗戦に、中2日でその気持ちを切り替えることができるか。2009年の第28節以来5連敗しているG大阪をホームに迎え、チームの精神力が問われている。
そのG大阪も、大宮以上に苦しい状況に置かれている。第6節・川崎F戦、第7節・清水戦と連勝して勢いに乗るかに見えたが、第8節はアウェイ鹿島で0−5の大敗。さらに5月2日のACLグループリーグ浦項戦も0−2で落とし、グループリーグでの敗退が決定した。リーグ戦でも暫定ではあるが、順位は17位。ここまでリーグ、ACLを計13試合戦い、失点は実に31。もとより失点は多くても攻撃力でカバーしてきたチームだが、その自慢の攻撃がここ2試合で1点も取れていない。監督交代の劇薬は既に使ってしまっているが、「しっかりリーグ戦で立て直したい」(二川孝広)、「この悔しさを忘れないし、ここから這い上がらなければ」(今野泰幸)と、ACL敗退のショックをリーグ戦へのエネルギーに代えて臨む。
両者ともに、ある程度はポゼッションして攻めることができるが、なかなか決定機を作るまでに至っていないという問題を抱えている。そして先制されてしまうと前がかりになって、リスクマネジメントが疎かになり失点を重ねてしまう。
大宮の戦い方としては、過密日程のフィジカルコンディションを考えても、浦和戦、札幌戦で結果を出した、低い位置でブロックを作って「我々の武器でもあるカウンター」(鈴木監督)をねらうのが現実的だろう。人数をかけて攻めきれない攻撃が、カウンターをねらうチームにとっていかに美味しいエサであるか、それをさんざん食らってきた大宮が一番よく知っている。G大阪はポゼッションと同時に鋭いカウンターも持っているため、アグレッシブに撃ち合うよりも守りを固めて、相手が焦れてバランスを崩すのを待つのが得策だ。
実は両者は2月のキャンプ中に練習試合を行っている。G大阪は神戸ほどアグレッシブではなかったが、クレバーに追い込んで大宮をプレスにはめて、苦し紛れの縦パスをカットしてはカウンターを浴びせて得点を重ねた。双方ともに主力を欠いていたとはいえ、G大阪には「大宮はハイプレスではめられる」という良いイメージがあるだろうし、神戸同様に青木とカルリーニョスにボールが入ったところをすかさず潰すことで試合を支配している。
G大阪も現実的に戦うとすれば、ハイプレスではめてショートカウンターが有効だが、あの練習試合のときとは、監督もやり方も異なる。高い守備意識からラフィーニャとパウリーニョのスピードを生かす攻撃は、松波正信監督就任以降、「ボールをしっかりつないで真ん中にボールを入れてくる」(鈴木監督)昨年までと近いポゼッションスタイルに戻りつつある。大宮が待ち構えるのを承知で後ろからつなぐか、それとも前任者のベースに戻して勝ちを拾いにいくか。ACL終了後、松波監督は「現状をしっかり把握した中で打開策を見つけていかないといけない」とし、メンバーの入れ替えも示唆している。G大阪の出方に注目だ。
今はお互いに先制されると苦しいため、両者とも「まずは守備から入る」(渡邉大剛)だろうが、現実的に行くならば守備の方法は対照的になるはず。そして攻撃にかかったとき、カウンターでフィニッシュまで行ければ理想だが、作り直して遅攻になったときに、いかに攻めきることができるか。人数をかけていく勇気は必要だが、それだけカウンターの恐怖にもさらされる。攻守の切り替え、リスクマネジメントが勝敗を分けるだろう。ともにショックの大きい敗戦を喫した同士、気持ちを立て直すためにどうしても勝点3が欲しい一戦は、精神的にタフな戦いになりそうだ。
以上
2012.05.05 Reported by 芥川和久
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