ついに名古屋が連敗を喫した。優勝した2010年、そして2位に終わった2011年と続けてきた、強さの象徴が崩れた瞬間だった。もちろん、まだ10試合を終えたばかりの段階でそこまで悲観的になることはない。しかし、いまだ本来の状態を取り戻せず、「今は難しい時期なのかもしれない。何とか立て直さなければ」とストイコビッチ監督が発言する現在のチームが、迷走の最中にあるのは確かだ。
迷える名古屋は泣きっ面に蜂というべきか、両サイドバックのレギュラーを欠いての一戦だった。代役は右に石櫃洋祐、左に今季初出場・初スタメンの三都主アレサンドロ。ともにクロスの精度に定評ある選手だけに、待望の復帰を果たしたケネディとのホットラインには期待が持てる選択ではあった。その他のメンバーは、今季の基本布陣である4-2-3-1のベストと言える面々で、控えに増川隆洋、小川佳純、永井謙佑が名を連ねる18人の編成は豪華そのもの。久々に前線のターゲットマンありきの戦いには、選手たちも期待していた。
だが、風間八宏監督就任後、この1週間でも急速な進化を遂げていた川崎Fの勢いに、名古屋は立ち上がりから後手を踏んでしまった。キックオフからの攻撃を矢島卓郎の決定機につなげられると、その直後の攻撃でいきなり失点。左サイドから大島僚太が上げたアーリークロスに矢島が競り合い、こぼれ球を田坂祐介に豪快に叩き込まれた。記録上は2分、時間経過としては1分台の出来事に、スタジアムは唖然。名古屋の選手は何もしないうちにビハインドを背負い、1点差で試合を始めたようなものだった。
最悪の出だしとなった名古屋だったが、それでも失点後は徐々に挽回。ケネディが戻り、制空権を取り戻した前線を起点に川崎Fの攻勢を押し返し、9分には同点に追いついてみせた。ゴールは復帰のケネディ。右サイドの藤本淳吾からのパスを玉田圭司がペナルティエリア前で受け、潰されたところを逃さずフォローし左足を一閃すると、よくコントロールされたミドルシュートはゴール右上に吸い込まれていった。
これで俄然反撃ムードとなった名古屋はさらに前がかりになったが、それが裏目に出た。中村直志、ダニルソンのダブルボランチまでもが攻撃へのフォローを積極的に行った結果、中央のスペースをがら空きにしてしまい、ここを中村憲剛という稀代のパサーにいいように使われた。結果、5分後の14分に中村憲のフィードに絶妙のタイミングで飛び出した矢島に2点目を、アディショナルタイムにも中村憲のスルーパスから矢島に決勝点となる3点目を奪われる最悪の事態に。名古屋も前半はケネディらの高さを活かした攻撃で何度もゴールに迫ったが、川崎Fのように追加点を奪うには至らなかった。
後半はストイコビッチ監督が動き、名古屋が試合を支配することには成功した。治ったばかりの腰に痛みを訴えたケネディを下げ、代わりに永井を投入。そして中村直に代えて小川を入れ、藤本を中盤の底のゲームメイカーにポジションチェンジした。これで中盤のスペースを埋めると、さらに11分には石櫃を増川に代え、田中マルクス闘莉王をストライカーに、小川を右サイドバックにする攻撃的布陣で劣勢の打開を企図した。
前節の浦和戦同様に闘莉王は前線で絶大なる存在感を発揮。空中戦ではほぼ100%競り勝ち、DF2人を背負ってペナルティエリア内でクサビのボールをキープするなど、急造FWとは思えない働きで名古屋の反撃をけん引した。70分に生まれた藤本の得点には直接絡んでいないが、クリアボールを自陣で味方につなぎ、カウンターにつなげたのは他でもない闘莉王だ。
ただし、名古屋の猛攻は迫力はあっても実益には乏しかった。後半のシュート数は名古屋5本に対し、川崎Fは7本。90分の合計は両チーム14本と同じであり、どちらがより効率よく攻め、効率よく得点したかは一目瞭然だ。三都主アレサンドロが「後半、特に最後の方はトゥ(闘莉王)を意識し過ぎた攻撃になってしまい、物足りなさを感じています」と語っていたが、パワープレーとはいえ、そして闘莉王が競り勝ってくれるとはいえ、確かに後半の名古屋は単調な攻撃に終始してしまった。そういった名古屋の拙攻にも助けられた川崎Fは、前節で3-0から4-3にまで持ち込まれた反省も生かしつつ、反撃を1点に抑えて連勝。逆に名古屋は連敗となり、順位も2桁の10位にまで落とす痛い敗戦となった。
両チームの差、勝敗を隔てた理由には、「迷い」という要素が大きい。川崎Fは風間監督の明確なコンセプトの下に全員が同じ方向を向いている。だから例えば田坂のコメントは風間監督の会見での発言に一致するし、試合中の選手の動きにもそれは反映される。つまり自信を持ってプレーできる。今回、名古屋への対策は要約すれば「1対1に持ち込まれないように気をつけろ」ということのみ。あとは自分たちの目指すスタイルを追求する、能動的な意識で戦いを展開している。
対する名古屋も基本的なコンセプトは不変でブレはないのだが、「チームとしてまとまっていない」と玉田が話すように選手が確信を持てていない。そこでケネディという起点がいた前半は本来の姿に戻りつつあっただけに、45分で彼が交代してしまったのは実に残念なことだった。ストイコビッチ監督はケネディの状態について「長引くかもしれない」とこぼしたが、彼の再離脱はチームにとっては大打撃。ケネディは難題への特効薬となり得た存在だった。
今節でリーグは10試合を消化。「まだ」10試合なのか、「もう」10試合なのか。あるいは残り24試合「しか」ないのか。いずれにせよ、迷いを断ち切り、上昇への光を何かに見出すことが、今の名古屋に最も必要なとだ。
以上
2012.05.07 Reported by 今井雄一朗
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