焦点はどちらが先制するかにあった。ともにここまで失点数が得点数を上回り、ボールをつないで攻めながらもなかなか得点に結びつかず、前がかりになって手薄な守備を突かれ大量失点することも珍しくない。特にG大阪は「2点3点取られても、4点5点取り返せばいい」というチームだが、第8節・鹿島戦、続くACLグループリーグ浦項戦を合わせて0−7で連敗しており、とてもそう言っていられる状況ではない。
どちらが先制しても、それが早い時間であればゲームは激しく動き、遅い時間であればそれが決勝点になると思われた。後者が現実になったのは、先制されたくないがための守備意識の強さと、互いの患う拙攻とに起因する。
大宮は真っ向からの撃ち合いを避け、ここ数試合で結果を出している、低い位置でブロックを作っての守備から入った。攻めきれない今のG大阪であれば、撃ち合うよりも守備を固めてカウンターが得策という判断。一方のG大阪は、大宮が苦手とするハイプレスで相手の攻撃を元から絶とうとする。クレバーにコースを限定して縦パスをカットし、2トップに素早くボールを入れるショートカウンターで、こちらも少ないリスクで先制をねらった。
ともに守備から入っているが、アグレッシブなG大阪、受ける大宮の構図。14分、G大阪は中盤の競り合いからボールを奪うと、大宮センターバックにプレスをかけた勢いのままペナルティエリア左に侵入した遠藤保仁へ。折り返しを中央で詰めた倉田秋の一撃はクロスバーに弾かれた。「あれを決めていればチームの流れが来たはず」と倉田は唇を噛むが、確かにその通りだっただろう。
ところが30分過ぎから、「運動量が落ちたのかな?」と渡邉大剛が首を傾げたように、目に見えてG大阪のハイプレスが緩み始める。遠征の疲れと、攻め疲れもあっただろう。そしてもう一つには、大宮がそれまで「簡単にバイタルエリアにボールを入れられていた」(深谷友基)状況を、「僕がバイタルエリアを空けないように」(青木拓矢)修正したことで、G大阪が十分に押し込むことができなくなったためだ。
ここから、ともに自陣でしっかり守り、攻撃はまずは相手が整う前にカウンター、攻めきれずにポゼッションで崩そうとするがなかなかシュートまでいけない、膠着した展開になる。
先に動いたのは大宮。前半途中の打撲もあって不調のラファエルを下げ、後半から長谷川悠を投入。献身的な動きによって、守備ではDFラインを多少押し上げることができ、攻撃でも前半は消える時間の多かった東慶悟とチョ ヨンチョルを自由にプレーさせるスペースを作った。それでもポゼッション勝負ではG大阪に一日の長があり、押し気味にゲームを進めるが、なかなかシュートまで持ち込めない。72分、交代出場の佐々木勇人のアーリークロスから、ファーサイドに飛び込んだ遠藤がフリーでヘディングを放つが、わずかに左にそれた。
そして運命の先制点は、そのG大阪が決定機を逃した1分後だった。G大阪の間延びした守備網が、大宮の左サイドで下平匠、チョ、長谷川が絡んだビルドアップにたやすくぶち破られる。最終的に中央からカルリーニョスが放ったミドルシュートが、ブロックに入った明神智和の足を弾いてG大阪の最終ラインの裏にポトリと落ち、そこに殺到した東とチョがもつれながら泥臭くゴールをこじあけた。
G大阪はラフィーニャを投入し、終盤には中澤聡太も前線に上げて攻めるが、大宮も金英權を投入して5バックで逃げ切りを図る。ここまで拙攻を繰り返していたG大阪に、守りを固める大宮ゴールは遠く、チャンスは作るものの逆にカウンターから倍は危険な場面を作られた。最終的にはシュート数でも大宮に上回られ、またしても完封負けを喫した。
G大阪はこれでACL含め3戦連続の完封負け。最後を崩せない要因は監督や選手の口からいろいろと語られているが、対戦相手から見れば、渡邉が言うように「昨年まではイ グノとか、怖いFWがいた」ということに尽きるだろう。ボールをペナルティエリア近くまで運ぶことはできるが、エリア内で仕事をできるFWがいない。変化を付ける、積極的にねらう、精度を上げる……いろいろと言葉は出てくるが、結局のところG大阪が強豪として君臨した時代はいずれも怖い点取り屋がいたのもまた事実。確かにボールを動かして決定機を作れているだけに、『あともう少し』の感は強いが、その『もう少し』は限りなく大きい。きれいな崩しにこだわらず、まずはどんな形でも良いからゴールが欲しいところだ。
大宮は2006年以来のホーム3連勝に選手たちの表情も明るいが、G大阪の拙攻がなければ、またカルリーニョスの強引なミドルがうまくこぼれなければ、勝点3を手にできたかはわからない。G大阪同様に、ボールを運べても決定機をなかなか作れない課題も相変わらず。ただ、引いて守って、まずはカウンターでリスクを少なく攻め、速く攻めきれないときにポゼッションという合理的な2段構えによって、内容は苦しくてもしぶとく勝点を重ねる戦いができているのは心強い。10節を消化して、4勝2分4敗の勝点14。目標の勝点50ペースに近づきつつある。次節(5/12@ベアスタ)、ハイプレスで鳴らす鳥栖を相手に、どれだけの戦いができるか注目だ。
以上
2012.05.07 Reported by 芥川和久
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