岡山のホーム・カンスタの観客数は、9,534人。8試合負けなしでこの1ヵ月強を戦ってきた岡山は、大観衆を前に連戦の最後を勝利で締め括りたかった。しかし結果は、後半41分に岐阜・樋口寛規にゴールを許して敗戦。岡山・影山雅永監督は、「彼らのボールへの執着心、切り替えて出て行き戻り、一度だめでも次では必ず奪い取るという気迫で上回られてしまった。それが90分間を続けた結果が最後の1点に傾いてしまったんだと思います」と話した。
開始から10分間はイーブンな内容だったが、この日の岡山のシャドーに躍動感はなかった。岐阜・行徳浩二監督のプランはこうだった。「岡山のポゼッションは素晴らしいので、ボールを回されてサイドを使われるのは危険だと思い、相手のワイドとシャドーの4選手が高い位置にきた場合は、相手の3バックに対して、うちの中盤とサイドバックが行く。サイドの高さ(位置)を見て決めようと話していました」。岐阜はピッチ内で調整を加えながら、ボランチ服部年宏、李漢宰がボールを奪い、岡山に食い付いた。
攻撃面でも岐阜のボランチは中盤でボールを奪い、前半はFW佐藤洸一につなぎ、後半はサイドを使って好機を作り続けた。決勝点は後半41分。押されていた岡山にとっては、ゴールが遠く、スコアレスドローに持ち込みたいという思いが漂っていた。交代で佐藤に代わって入ったFW中島康平からのクロスを、岡山のDF2人と、そこまで好セーブを繰り返していたGK中林洋次の3人を交わす弾道のシュートで、樋口が右足で決めた。
岡山はアディショナルタイムを含む残りの約7分間に追いつくことは出来なかった。試合終了後、後半42分に交代で退いた李漢宰が、右足ほぼ全体をアイシングした状態で、メインスタンドの知人と話しているのが聞こえた。「これくらいやんないと、勝てないんすよ」。プランを持って今日のハードワークを続ければ、対戦相手は間違いなく苦戦する。
岡山はここまでセットプレーでの失点がないという、昨季から考えれば素晴らしい結果を出し続けているが、この日のマークのずれから許した失点については、もうひと声が足りなかった。そして後ろの選手にスタミナを与える得点も奪えなかった。「攻撃に関わるボールの精度が低かった」と岡山のボランチ・千明聖典。シュート数は岐阜の13本に対し、岡山は5本にとどまったが、岐阜の守備ブロックの隙をついて好機を作ることは出来ていた。清水から期限付き移籍中の岐阜・樋口と同い年の石原崇兆は、前節からサイド突破を重ねている。決して同じパターンのゴール頼みにしてこなかった岡山の伸びしろは、まだまだある。
影山監督は以前から、結果に一喜一憂しないと話していた。「いつかは負ける。負けても、そこから(積み重ねてきた)力を出し続けられるチームにしたい」。この日の、期待感を募らせたキックオフ直前の大きな拍手、フルスロットルで始まり最後まで尽きることのなかった会場全体の応援に応えられなかったことは、選手、スタッフの心に強く刻まれたはずだ。ミックスゾーンでは、悔しさを隠しきれなかった選手も、話しながら呆然としていた選手もいたが、これから続く東京V、京都、福岡戦で、「サッカーの本質を見せてくれた岐阜」(影山監督)に感謝できるゲームを続けたい。
以上
2012.05.07 Reported by 尾原千明
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