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【J2:第18節 福岡 vs 北九州】レポート:福岡の盟主の座は渡さない。3度目のダービーも福岡が制す(12.06.10)

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90分間を通して見れば勝負は全くの互角。北九州にも勝機は十分にあった。そんな試合を決したのは覚悟の違いだったと言ったら言いすぎだろうか。
それは前半の戦いに表れていた。立ち上がりの主導権争いを経て、ほどなくリズムを刻んだのは福岡。ボールをポゼッションしながらゲームをコントロールし、相手の陣形に生まれるスペースへ効果的にくさびのボールを打ち込みながらチャンスを窺う。失ったボールに対しては素早くプレスバックしてボールを奪い返し、北九州に反撃のチャンスを与えない。そして、相手を崩せないと見るや、いったんボールを落ち着かせてから、再びボールを回して相手を崩しにかかる。それは「攻守に渡って試合をコントロールする」という、福岡が目指すサッカーそのものだった。
41分に生まれたゴールは、まさに福岡が目指す形からのもの。北九州がカウンターを仕掛けようとしたところに素早くプレスをかけてボールを奪い返すと、緩急を織り交ぜたパスをつないで北九州を翻弄。そして成岡翔が25本目のパスをゴール前へ送ると、抜群のタイミングで裏へ飛び出した城後寿が右足ダイレクトで合わせた。ここまで思うような内容の試合を見せられなかった福岡が自分たちの目指すサッカーを展開できたのは、互いの距離感を修正したからだが、それを実践の場でやり切れたのは、この試合には負けられないという強い意志があったからに他ならない。

対して、北九州の前半の戦い方は消極的だった。陣形をコンパクトにしてボールを奪おうという意思は見られるものの、ボールホルダーに対するプレッシャーが甘く、ただ相手を待ち受けるだけの守備は、福岡が自由にバイタルエリアへ侵入することを許した。そして、せっかく奪ったボールも簡単に相手へ渡してしまう。福岡の先制点も、カウンターを仕掛けたところを簡単に奪われたところから始まったものだった。
「我々は前半、相手にウィークな部分があるにもかかわらず、そこからしっかりした精度の高い攻撃が出来ず、トレーニングでやれていることも出せなかった。非常に消極的で、この雰囲気と相手チームの名のある選手に、またはどこか相手に対して怖がっている選手が多かったような印象を受けていた」と厳しい表情で試合を振り返ったのは三浦泰年監督。前半に放ったシュートは19分の端戸仁のミドルシュート1本だけ。全く自分たちの良さを出すことが出来なかった。

そんな北九州が意地を見せたのは後半。「気持ちの部分を強く強調した」という三浦監督の指示を受けたイレブンの動きが活性化。追加点を狙って前へ出ようとする福岡の出鼻をくじき、試合の主導権を奪い返す。ボランチが最終ラインに吸収された福岡の中盤のスペースを使って、安田晃大が前を向いて仕掛けるシーンが増えるにしたがって、3トップと安田が流動的に動いて相手を崩す北九州らしい攻撃が増えていく。福岡のGK神山竜一のファインセーブの前にゴールを阻まれたが、49分、63分、そして81分にも決定的なシーンを作り出した。
しかし、後半に入ってバランスを崩した福岡も、集中力を崩さず全体のゾーンをコンパクトにすることを徹底して北九州の攻撃を跳ね返していく。「今週のトレーニングではコンパクトにやり続けることを徹底してきたが、選手たちがハードワークをした。最後は相手を前進させない守備を選択したが、本当にコンパクトな守備をしてくれたと思う」と話すのは前田浩二監督。城後の途中交代も、古賀正紘が足をつったのも、ハードワークに徹した結果のものだった。そしてスコアは1−0。3度目の福岡ダービーも福岡が制した。

自分たちのやりたいサッカーを展開した前半。苦しい内容になりながらも最後まで崩れなかった後半。それは福岡の選手全員が勝ちたい気持ちを表したからの結果。中でも、久しぶりに出場機会を与えられた選手たちの活躍を抜きに、福岡の勝利は語れない。
「使ってもらえたということは、攻撃に何かをもたらさなければいけないということ。多少のリズムは作ることが出来たのかなと思っている」(高橋泰)
「自分がチームに貢献して勝って、J1に昇格するという強い気持ち、絶対にやってやるという気持ちを持っていた。試合前からワクワクしていた」(岡田隆)
ダービーマッチを制するのは戦術云々よりも強い気持ち。それを立ち上がりから表現した福岡の勝利だった。

しかし、福岡の目標はJ1昇格。試合後、選手たちが口々に話したように、課題を修正しながら、この日見せた戦いを続けなければ意味はない。そういう意味では、次節の松本戦(6/13@松本)が重要な意味を持つ。
そして、この日は自分たちのサッカーを披露することが出来なかった北九州だが、三浦監督が話した通り、勝利も敗戦も含めて今の北九州。悔しい想いをバネに、前へ向いて進み続けることでさらなる躍進が待っている。

以上

2012.06.10 Reported by 中倉一志
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