立ち上りは互角だった。どちらも守備を高く意識し、攻撃はカウンター狙いのサッカーで、まさにがっぷり四つの展開となった。こうなると、1つのミスが均衡を崩す状況となる。
そのミスが生まれたのは岐阜だった。18分、バイタルエリアでMF赤井秀一がボールを持つと、赤井へのプレスが曖昧となり、1人で突っかけられてしまう。慌てて挟み込みに行くが、簡単にペナルティーエリア内に侵入され、DF野田明弘が後ろから足を引っ掛けてしまい、PKを献上。これを赤井自らに決められ、愛媛が先制に成功した。
崩れた均衡。17試合で8得点と、得点数がJ2ワーストの岐阜にとっては、先制点を奪われることはとてつもなく大きな足かせとなる。しかし、この日は愛媛の明らかな問題点が顔を出してくれたおかげで、勝機を見い出せる試合となった。
その後は、愛媛の攻めあぐねにも助けられ、前半を0-1で折り返す。
「愛媛の今までのゲームを見ていると、後半から足が止まると感じていた。そこを突こうとゲーム前から言っていた」と行徳浩二監督が語ったように、後半勝負を見越して、負傷を抱えていた樋口寛規に代えて、ドリブラーの廣田隆治を投入。そして、右の染矢一樹を左に移し、廣田を右サイドに、左サイドの井上平をトップ下に置き換えて、サイドを突くことに狙いを絞ってきた。
これがはまった。「後半半分くらいから悪い展開になってしまった。主導権を握れない、パスも繋げない、ボールも失うというのを繰り返していたらチャンスは作れない」と試合後にバルバリッチ監督が吐き捨てたように、愛媛は後半に入ると予想通り、急激に失速する。全体的に足が止まった愛媛は中盤が完全に間延び。サイドバックとサイドハーフの関係性も悪くなり、岐阜がつけ入るスペースが生まれ始める。試合はそれを狙っていた岐阜のペースになっていく。
染矢と廣田の突破が有効になると、68分、左サイドに抜け出した染矢のセンタリングを、ファーサイドで廣田が折り返し、最後はMF井上が豪快に蹴り込んで、まさに狙い通りの形で岐阜が同点に追い付く。
その後も岐阜がサイドでイニシアチブを握り、ズルズルと下がっていく相手のDFライン、中盤で増えたミスを突いて優勢に立った。しかし、72分には左サイドのDF野垣内俊、井上、染矢の連携で崩して、染矢のセンタリングから途中出場のFW中島康平が決定的なヘッドもわずかに枠の外。84分にも染矢の左からのクロスに、中島がどんぴしゃヘッドで合せるが、これはGK正面を突くなど、決めきれず。結局、1-1のドローで終わった。
勝てる試合を落とした。岐阜にとってはまさにその印象だった。試合後の服部年宏の一言が今日の試合、そして今の岐阜のすべてを表している。
「失点をしてはいけないチームなのに、あの時間帯で失点してしまうのはいけない。毎試合1、2点取れるようなチームならいいが、そうではないので、0-0の時間を長くしないといけない」
愛媛が後半にあそこまで失速するならば、やはり前半に失点をしてはいけなかった。その失点も自分たちのミスだけに、より悔やまれる。前述したように、岐阜にとってこの試合は追いつけたのではなく、勝ち越せなかったという表現が正しい。なぜ0-0で我慢できなかったのか。ここをしっかりとチームで分析し、個々が理解した上で、次の試合に臨んでほしい。服部の発した言葉の意味を、全員で再確認しなければならない。
愛媛にとっては、後半の明らかな失速は今後のチームにとってより大きな致命傷となりかねないだけに、早急に手を打たなければいけない。
両チームの深刻な状況が浮き彫りになった1-1のドロー。この結果をそれぞれの警鐘と受け止めなければならない。
以上
2012.06.10 Reported by 安藤隆人













