J1リーグ再開初戦に組まれた攻撃的なチーム同士の対決は、C大阪がホームで広島に1−4と大敗。またしてもホームJ1通算100勝を達成することはできなかった。逆に広島は、高萩洋次郎、佐藤寿人のゴールと、石原直樹の2得点で、J1ではここまで8戦勝ちなしと苦手にしていたC大阪から、J2時代の2008年以来となる勝利。J1通算250勝を達成し、勝点も28として、2位をキープした。
試合後の表情も実に対照的だった。ピッチ内で輪になって喜びを爆発させた広島の選手たちは、アウェイゴール裏に集った広島サポーターに向かって、歓喜のヘッドスライディングパフォーマンスも披露。その一方で、サポーターへの挨拶に回っていたC大阪イレブンは、肩を落としながらピッチを1周し、頭を垂れていた。また、「ゲーム全般を通して内容を振り返ってみても、残念ながら、正直なところ広島のほうが少し上だったと認めざるを得ない」とC大阪のセルジオ ソアレス監督も完敗を認めていた。
改めて試合を振り返ると、清武弘嗣、キム ボギョン、キム ジンヒョンといった主軸3選手がワールドカップ・アジア最終予選から帰還し、現状のベストメンバーを組んだC大阪は、ケガから復帰した黒木聖仁を左サイドバックに配置。そして、「最終ラインが3人、3−6−1という形で、グラウンダーのパスをつなぎながら、どんどん動きのなかでかき回してくる」と試合前に広島を分析していたセルジオ ソアレス監督は、中盤のフォーメーションを、ヤマザキナビスコカップ第6節・仙台戦のときのようにダイヤモンド型の布陣にして、この一戦に臨んだ。
だがしかし、前半7分に早々とC大阪は失点を喫する。カウンターから佐藤寿人にドリブルを許すと、左サイドに抜け出た高萩洋次郎にパスが送られ、高萩がシュート。一度はキム ジンヒョンがセーブするも、そのこぼれ球を押し込まれた。「広島対策としてやってきたことが、全然ハマりきらないうちに失点してしまった。それでバタバタしてしまった」(酒本憲幸)というC大阪は、その後も高萩、佐藤、石原直樹の前線トリオをはじめとする広島に決定機を作られ続け、29分にはPKも献上と、劣勢の展開になる。
ただし、このPKを佐藤がクロスバーに当て、事なきを得たC大阪は、布陣をダイヤモンド型からボックス型に変えたこともあって、反撃に出る。そして39分、ドリブル突破を見せた清武からパスを受けた柿谷曜一朗が、左サイドペナルティーエリア内でシュート。これが広島DFに当たってコースが変わり、ゴールイン。1−1のタイに戻したことで、C大阪は勢いを得た。
ところが、ハーフタイムを経て、状況は再び広島ペースに。「前半の悪い流れのところから気持ちを切り替えて、また後半しっかりとしたポジティブなメンタルに切り替えて戦うことができた」(森保一監督)という広島が、巧みなパス交換だけでなく、サイドからの攻撃を前半以上に強めると、広島右サイドのダイナモ、ミキッチを起点とした攻撃に、C大阪は翻弄されてしまう。
63分にはミキッチの左足クロスに、石原が中でつぶれて、最後は佐藤がゴール。75分にはミキッチのトリッキーな右アウトサイドでのラストパスを、高萩が折り返して、石原がゴールにプッシュ。極めつけは、終盤の89分、ミキッチがドリブル突破でC大阪DF黒木を完全にかわして、ゴール前にラストパスをしたところで、石原が難なく決めて、ダメ押し。この3得点で勝負は完全に決した。
ただ、ケンペスが「1−4のスコアが内容をそのまま表しているとは思わない」と言うように、C大阪にチャンスがないわけではなかった。清武のドリブルの切れ味が冴え、柿谷は攻守に奮闘。ケンペスには前半から決定機が訪れ、後半にも実に3度、枠を捉えた好シュートがあった。しかし、ここで立ちはだかったのは、広島の守護神・西川周作。水本裕貴とともに、J1通算200試合出場を達成した日本代表GKは、ことごとくケンペスのシュートをセーブ。これにはケンペスも「相手GKのパフォーマンスが非常によかった」と脱帽するしかなかった。
「自分一人ではなくDFの寄せがあってこそのプレー」と当の西川は述べていたが、「GK・DF・ボランチが1失点で我慢してくれた」と石原も言うように、この背番号1を中心としたチームディフェンスがあってこその広島勝利とも言えるだろう。
データ上ではC大阪のほうがシュート数(13:12)も、直接と間接を足したFKの数(14:11)も、CKの数(7:2)も、ついでにゴールキックの数(14:8)も上回っていた。しかし、ピッチ上は広島の『オンステージ』のような形に。采配面でも、広島の森保監督の交代策がことごとくはまったのに対し、セルジオ ソアレス監督の打つ手は、試合序盤から実らず。上位と下位の差が如実に表れた結果が、1−4というスコアになった。
「今日のことを絶対に活かさないといけないし、同じことをやっていたら、まずい。危機感を持ってやらないと、まずいかなと思う」と振り返った酒本。これで14位まで落ちたC大阪にとっては、後半戦巻き返しのためにも、チーム全体での修正が必要となる。それがはっきりした一戦でもあった。
以上
2012.06.17 Reported by 前田敏勝
J’s GOALニュース
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