前節、浦和は非常に苦しみながらもG大阪から勝点3をもぎ取った。「最終的にこの試合を振り返れば、勝利をできたのは幸運だった。内容的には1−1で終えてもおかしくない試合だった」とミハイロ ペトロヴィッチ監督が振り返ったように、勝者と敗者が入れ替わっていても不思議ではないほどの激戦だった。
そんななかで白星をつかめたことは大きい。結果に内容が伴えばそれに越したことはないが、常に理想通りに戦えるわけではない。優勝戦線で生き残るためには苦しい状況の中からでも勝利をつかみ取る力、いわゆる勝負強さが必要不可欠になってくる。そして、それは大事な試合でこそ求められるが、そういう意味では首位を走る仙台との一戦は試金石となる。
「勝たないといけない試合で勝てるようなチームになるためにも、ここで首位のチームを叩くのが一番。今年はここで勝たないかんという試合でなかなか勝てていなかったけど、やっとG大阪戦で勝てた。ここで勝てないと、勝ったら上に行けるというときに勝てないことが続くから、優勝は難しくなる。いいサッカーはしたいけど、何よりも結果を求めてプレーしたい」。柏木陽介は大事な試合で勝ち切る力を見せると意気込む。
仙台は強敵だ。「去年に比べて明らかにDFラインが高くなっているし、個人のレベルも高い。あの順位にいるのはまぐれではないということ」と永田充が語るように、もはや引いて守ってカウンターというチームではない。
守備はDFラインを高く設定して前からプレッシャーをかけ、ボールを「跳ね返す」のではなく「奪う」アグレッシブなスタイルに変化。攻撃も速攻だけに頼らず、プレッシャーを受けても後方から丁寧につなげる力が備わっている。以前は、前に行ったらとにかく攻め切るというダイナミックな姿勢が持ち味だったが、今は手詰まりになりそうだったら一回戻してゲームを作り直すという柔軟性も身につけている。端的に言えば「強者のサッカー」ができるチームになろうとしている。リーグ最多31得点、リーグ最少12失点より1つ多いだけの13失点という数字が仙台の力を示している。
浦和は今季、すでに仙台の進化を目の当たりにしている。3月20日のヤマザキナビスコカップで対戦し、そのときは1ー0で勝利を収めたが、内容的にはかなり苦しんだ。「仙台とはナビスコカップで対戦したけど、なかなか苦しい試合だった。(永田)充くんのゴールで勝つことができたけど、相手の怖さを感じる部分もあった」と宇賀神友弥は振り返る。浦和は控え組中心のメンバー構成だったとは言え、仙台のプレス網をなかなか突破できず、ポゼッションの争いでも後手を踏み、主導権を握られる時間帯が長かった。
仙台は攻撃陣が流動的に動き回ってチャンスを作ることができる。タイミングよく間のスペースに顔を出してボールを受け、狭いスペースでも怖がらずにボールを入れてくる。そして対戦相手にとってやっかいなのは、FWの落ちる動きと流れる動き、サイドハーフの中に絞る動きと前に飛び出す動きを連動させて繰り出してくることだ。
浦和としては特にサイドハーフが中に絞ったときの対処法を確認しておきたい。仙台はサイドハーフが中に入って起点を作り、ピッチの幅は高い位置を取ったサイドバックが確保するという攻撃パターンを持っているが、この形を作られると浦和はシステムの噛み合わせ的にマークをつかみにくくなる。実際、ナビスコカップの仙台戦、そして前節のG大阪戦でもその形を作られて苦しんだ。「サイドハーフが中に入ってきて、動いてボールを回してくるイメージがあるので、マークの受け渡しをセンターバック、ボランチとコミュニケーションを取ってやっていきたい」と宇賀神が話すように連動した守備で対応したい。
仙台はチーム得点王のウイルソンが出場停止となるのは痛いだろうが、オフザボールの動きがピカイチの柳沢敦、空中戦に強い中原貴之など特徴のあるFWがいる。柳沢は前節の札幌戦で2得点を決め、中原も6月は公式戦3戦3発と結果も出している。ケガで戦列を離れている赤嶺真吾、関口訓充が戻ってくる可能性も出ている。
浦和は勝てば仙台との勝点差を2に縮めて首位に迫ることができるが、負ければ8差と大きく水をあけられてしまう。「ホームで1位と3位の対決だから非常に注目されると思うし、多くの人に見てもらいたい」と槙野智章。難敵・仙台との上位対決を制し、赤く染まった埼玉スタジアムで凱歌を響かせたい。
以上
2012.06.22 Reported by 神谷正明
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