昨季はともにJ2で戦った両チーム。今節が初めてのJ1での対決になる。かつては、幾度と無く名勝負を演じた対決なので、今節も負けられない対戦となる…。と、感傷的な気持ちで今節を迎える立場にはない。シーズン当初なら、このような書き出しでも許していただけただろうが、シーズン折り返しが目の前に迫るこの時期では、そんな悠長な事を言っている状況にない。
鳥栖は、「最低でもJ1残留。できれば7位以内を目標…」(永井強化部長/鳥栖)とシーズンに突入。今節を迎えるまでに、勝点21で11位につける。初めてJ1に昇格したチームとしては、大健闘の戦いを見せていると評価されるかもしれないが、過去のJ1残留ラインの勝点を見てみると、その半数を少し超えているだけといえる。シーズンの折り返し直前の試合となる今節は、後半戦につなげる事を考えても少しでも勝点を上積みしておきたいところである。前半戦、最後のホームゲームであり、今季はホーム戦では圧倒的な強さを誇るだけに、弾みをつけるためには幾度と無く名勝負を繰り広げた札幌は好敵手と言える。対する札幌も、今季はここまでわずかに1勝と苦しんでいる。同じ昇格組である鳥栖に、しかもアウェイで勝利することで、後半戦の挽回につなげたい。
鳥栖は、リーグ2位の失点の少なさが示すとおり“堅守”を誇ってきた。前線からのプレスとコンパクトな守備で、相手のストロングポイントを消して戦ってきた。しかし、その堅守もリーグ戦直近5試合で連続して失点を喫している。その間、1勝2分2敗と思うように勝点が上積みできていない。大きく崩されているわけではないが、相手も鳥栖の戦い方を分析して来ている。求められるのは、戦術ではなく集中力と最後まであきらめない気持ちに他ならない。
特に、今節はヤマザキナビスコカップ予選リーグ第7節で退場となったGK赤星拓が出場できない。室拓哉も復帰に向けて全力でリハビリに取り組んでいる最中である。となると、GKは残る奥田達朗しかいない。「チャンスと思って頑張るしかない」(奥田達朗/鳥栖)と意気込みを語る。練習で見せる高さへの対応とフィードの早さで、チャンスを生かして欲しい。また、センターバックや左サイドバックで対人の強さを見せていたDF呂成海も出場停止となっている。少ないメンバーだが、今節こそ鳥栖の結束力を見せる好機と頑張ってもらいたい。FW豊田陽平を始め、池田圭など前線には好調を維持している選手がいるだけに、早めの先制点で鳥栖はペースを握りたい。
札幌も直近の6試合で失点が続き、その間、すべて敗戦を喫する苦しい試合が続いている。6試合で3得点21失点は、本来の力ではないことは重々承知している。失点をするまでの戦い方は、非常にいい戦い方をしている印象を受けるのは、筆者だけではないだろう。ケガ人が多く、意図した戦いができていないこともあるだろうが、失点した直後の立て直しに苦心しているように見える。しかも、敗れれば今季ワーストタイとなる7連敗。今節はMF河合竜二が出場停止とさらに苦しい事情が重なったが、負傷離脱していたセンターバックの奈良竜樹、左サイドバックの岩沼俊介の復帰は明るい材料といえる。また、攻撃面でも、テコ入れがあると聞く。課題の失点と得点力不足を解消すべく、札幌が一戦必勝で昇格組バトルに挑んでくる。
激しい点の取り合いもサッカー。相手の攻撃をしのぐのもサッカー。
攻守の切り替えが早いサッカーは、集中力と判断力が求められる。正確なテクニック、強いフィジカル、折れないメンタルがあっても、集中を切らし、判断を誤ればサッカーにはならない。
ここに駆け引きがあり、戦術があり、チームワークがあるからこそ、一個のボールをゴールに運ぶことができる。
目に見えない集中力と判断力を感じることは容易ではないが、ピッチで激しくぶつかり合う選手から感じることができる幸せは、スタジアムでの観戦ならではのことである。
サッカーは、観る側にも集中力と判断力が求められるスポーツである。
以上
2012.06.29 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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