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【J1:第16節 川崎F vs 神戸】レポート:都倉“バロテッリ”賢の強烈な一発で神戸が勝利。1−0という試合結果は、ある意味で公平なものだった(12.07.01)

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川崎Fは、できる試合とそうでない試合との差が激しいという傾向が続いている。内容の悪かった14節の鳥栖戦から一転し、前節の15節の横浜FM戦は相手選手を辟易とさせるパスワークを展開。得点に結びつくことはないまでも、高いボール支配率を維持して強烈な印象を残していた。その横浜FM戦の残像を脳裏にとどめていただけに、この神戸戦は立ち上がりから消化不良気味な試合展開となってしまった。何しろパスが繋がらなかった。

試合を見た印象でも、また川崎Fの選手の話でも、神戸が極端な守備陣形を敷いていたというようなことはなかった。ただ、神戸が要所要所を抑えた守備を徹底していたのは間違いなかった。たとえばそれは、中村憲剛と矢島卓郎両選手への対応だった。
中村憲剛が川崎Fの攻撃の中核を担っているのは周知の事実である。相手の急所を突くスルーパスはもちろん、狭い局面を打開するためのボールコントロールにも長けている。1試合の中でのボールタッチ数が100回を超える試合が続いており、まさに彼を経由する事で川崎Fは攻撃のリズムを作り出していた。
その中村を影のようにケアしていたのが、神戸の田中英雄である。中村がボールコントロールに時間をかけようものなら、すぐに体を寄せて自由を奪っていた。田中英は中村への対応について「試合前には中村憲剛選手が自由に前を向いてボールを持つと危ないと話をしていたので、引いて守るのではなくて大屋翼とも、前からチャレンジして当たって行くようにしていた」と振り返っている。そしてその結果として「スカウティングビデオで見ていたような決定的なパスは出させなかったと思います」と胸を張った。

また、川崎Fの攻撃を作り出してきた矢島の動きも制限されていた。主に対応に当たっていたのは、神戸の最終ラインの要である北本久仁衛である。矢島の裏に抜ける動きに対しては、しっかりと付いて対応。その一方で、むやみにラインを下げず、常に矢島を含めた川崎Fの攻撃陣と駆け引きを行い、裏に走られる場面をほとんど作らなせなかった。対応に苦慮する矢島が中盤にポジションを落とし、ボールを引き出す場合でも北本はポジションを崩してプレッシャーを与え、ポストプレーもままならない状況を作った。いずれにしても、川崎Fは中村、矢島という2人の中心選手の動きを封じられ、苦しい試合展開を強いられることとなる。

ただ、風間八宏監督の見立てはもう少し違ったもので、全ては技術で説明ができるものであるとする。試合後の会見の冒頭、風間監督は「一言で言うと、技術の足りない試合だったなと思います」と述べ、具体的に足りていない技術の説明に入っている。この試合で風間監督が重視したのは「止める力」だった。
「特に止める力。いつも言っていますが、今日は何本かゴール前にボールが入った場面がありましたけど、止めていればそのままシュートを打てた場面がいくつかありました。点を取るチャンスを自ら失っていたと思います」(風間監督)

止められる場面で判断を迷ってしまったのだと、頭を抱えていたのが途中交代出場の小林悠である。田坂祐介に代わり、59分からピッチに立った小林は、中村と楠神順平のためのスペースを埋めてしまわないように気をつけつつ、ここぞという場面でゴール前に入ることを心がけていたという。そうした気遣いとここ一番での対角線の動きを組み合わせることで、川崎Fの攻撃が活性化したのは事実だった。
そんな75分、その小林が決定機に絡む。この試合を通じ、厳しくケアしてきていた田中英のプレッシャーをかいくぐり、中村が矢島にパス。矢島が楠神に落とす間に、小林が動き直してボールを呼び込む態勢を作る。その動きに対し、楠神がスルーパスを合わせた。タイミングは完全に合っており、小林も「追いついていた」と振り返る。しかし、そこから「思った以上にボールが伸びました」と小林。トラップせずに、ダイレクトにシュートしようとして、結果的にGKにキャッチされたこの場面について小林は「左足で止めてから打てば良かった」と唇を噛んでいた。

川崎Fがこうした幾つかのチャンスを逃す中、神戸が先制点を決める。77分だった。北本が自陣から都倉賢へと縦パスを付ける。稲本潤一と競り合い、前を向いた都倉に対し、川崎Fの守備が一瞬動きを止める。センターバックの實藤友紀は「予想外のタイミングで打たれてしまいました。もう一つ前に持ち出すかと思ったんですが」と悔しさをにじませる。出足の遅れた川崎Fの守備に対し、都倉は迷うことなくその利き足を振りぬく。
「左足を振りぬくこと、ペナルティエリア内で仕事をすることを監督から指示されていましたし、ハーフタイムでも指示をされたので狙っていました」と都倉。思い切りの良さと、素早い決断とが合わさり、放たれたミドルシュートが西部洋平の守るゴールを破った。ほめられたことではないが、ユニフォームを脱ぎ捨てバロテッリ(イタリア代表)のゴールパフォーマンスを模倣するところに、川崎Fのアカデミー出身選手である都倉の、この試合に掛ける気持ちの強さが感じられた。
西部にとって、死角になっていた場所からのシュートだったこともあり、川崎Fにとっては不運な失点だったとは言える。しかしそれを言うのであれば、川崎Fに幾つか訪れていたチャンスで決めていれば、この試合展開にはなっていなかった。そういう意味で、自ら勝機を逃したという試合でもあった。

実力以上の力を引き出す等々力での戦いということもあり、ここから川崎Fが攻勢に出る一方、守勢に回らざるをえない神戸という図式で試合は進む。しかし、自らチャンスを逃し続けた川崎Fにゴールは生まれず。0−1のまま試合は終了した。
川崎Fにしてみれば内容も悪く、わずかなチャンスを棒に振ったということ。また神戸にしてみれば、川崎Fのキープレーヤーを抑え、耐えに耐え、ワンチャンスをしっかりとものにしたという意味で公平な試合結果だったと言えそうだ。

以上

2012.07.01 Reported by 江藤高志
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