山形の前節は同勝点の湘南と3位・4位対決。0-0に終わった激しい攻防は見ごたえがあったが、ピッチでプレーしている選手にしてみれば、「取ったボールをすぐ取られたり、失うことが多かった。落ち着いてプレーしたり、ゲームをコントロールしたりというのがなくバタバタしていた」(秋葉勝)という印象が強い試合だった。ただし、守備に関しては「だいぶ前ぐらいから手ごたえを感じ始めて、それなりに失点も減ってきている」(清水健太)と安定感を維持している。
ここ2試合は中盤ダイヤモンドの4-4-2で試合に臨み、よりボールや人を前に運べるようになっている。ボールを持ったときのプレー精度は引き続いて課題となるが、今節は自陣でブロックを形成しての守備を得意とする相手。押し込んでからのフィニッシュまでの精度がよりクローズアップされそうだ。奥野僚右監督はいつものように、対戦相手について詳しく公言することはない。ただ、「相手にいい部分を表現させないように、自分たちがもっと攻撃的な姿勢でいければいいと思います。彼らの強みは強みであるでしょうから、強みを出されないくらい、自分たちは安定した戦い方がしたいですね」と今節への意気込みを語っている。そして今週、新たな戦力として、柏からFW林陵平を期限付きで獲得。林がチームにもたらすものと、それによってチームが手にする成長に期待したい。
山形と松本の前回対戦はアルウィンでの第2節。試合をとおしてゲームをコントロールした山形が、秋葉の2ゴールで奥野監督就任後初めての勝利を挙げた。ただし途中、弦巻健人のゴールにより同点で推移した時間が長く、山形からすればようやく手に入れた勝利だった。松本にとっては、J2を舞台にしての2試合目。「選手個々がJリーグモードにしていかないといけないと思います」「『これくらいで良いかな』『大丈夫だろう』という思いがあると、そういうところを突かれてしまう。こういう本番の試合で感じる部分は多いと思う」と野澤洋輔が語ったように、J2への適応の途中だった。
松本のそうした“初々しさ”がすでに過去のものであることは、折り返してからの戦績に表れている。第22節からは湘南と1-1で引き分け、東京Vを3-2で首位から引きずり下ろし、甲府にはPKもあって1-2と敗れたが内容では引けを取らない戦いを演じている。前半戦には千葉、京都、甲府からも勝点をもぎ取っているが、今やスタイルが確立し、昇格争いの渦中にあるチームとの対戦でも勝点を積み重ねることができるチームへと成長している。
そして、前節は岡山を相手に3-0。「結果は3−0でしたが、どっちに転んでもおかしくない試合だった。特に前半は岡山のほうが上でしたね」と反町康治監督は戦いぶりを厳しく評価したが、耐えるべきを耐え、勝機を逃さなかったからこその勝利だった。前半、試合を動かしたのは、喜山康平の出場停止で先発の機会を得た大橋正博の直接フリーキックだった。今節は後半から投入されていた楠瀬章仁が出場停止となり、入れ替わりで喜山の出場停止が明ける。先発メンバー、交代カードの切り方ともに注目される。
ポゼッション率は山形が上回ることが予想される。そこから、いかにサイドチェンジで揺さぶりながら相手の守備の隙を生み出し、突いていくか。攻撃がフィニッシュで終わらない場合、松本はかつて山形に強化指定選手として在籍したターゲット・塩沢勝吾に預け、2シャドーが絡んだ速い攻撃を仕掛けてくる。あるいは、右のアウトサイド・玉林睦実からクロスもゴールに直結するシーンが目立っている。塩沢に収まることで押し上げも可能だが、カウンターで鋭さを見せる山形を意識しすぎれば攻撃は単発に終わりかねない。ゴールを割るまでには、双方に勇敢さと辛抱強さが要求される90分となりそうだ。
以上
2012.07.28 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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