試合前日の7月27日は土用の丑の日。この日に鰻を食べるのは夏バテ防止など諸説あるが、Jリーグのシーズンを通して見た場合でも、これからの時期は鰻の助けも借りたいくらいスタミナが問われる時期である。
既に蒸し暑い7月になっても運動量を終盤まで落とさず戦ってきた仙台と鳥栖は、この試合でもタフな攻防を見せてくれた。1対1の競り合いでは激しいボディコンタクトが何度となく見られ、ハイボールやこぼれ球を巡る攻防でも見応えがあった。しかし1対1でも、チーム対チームでも、両者譲らない結果となった。
鳥栖は7月14日のJ1第18節以来の公式戦であることに対して、仙台は25日にJリーグヤマザキナビスコカップの準々決勝を戦っていた。そのこともあってか、前半は鳥栖の方が勢いを持って攻めにかかっていた。中盤からクサビのロングパスを出そうとしたときには仙台の守備に阻まれたが、サイドに展開することでそのプレッシャーを回避。右の水沼宏太と左の金民友から、豊田陽平に早めにボールを送るかたちを徹底した。14分、「狙いどおり」という水沼のクロスに豊田が合わせて鳥栖が先制した。
仙台はこのゴールの後に守備陣形を再整備した鳥栖に対し、ポジションを変えながらパスを回して攻撃の糸口を探る。鳥栖もブロックを崩さずに対抗していたが、29分に仙台が左サイドからこれを攻略した。梁勇基から左に移っていた太田吉彰にパスが通り、抜け出した太田がクロス。赤嶺真吾が相手の高さがあるセンターバックのマークを外してクロスに合わせ、試合は振り出しに戻った。
後半は消耗戦の度合いがさらに強くなった。鳥栖は豊田のマークが強まったと見て、その支援のために池田圭に代えてフレッシュな早坂良太を投入。日程面で不利な仙台の運動量が落ちることを見越して攻勢を強めたが、尹晶煥監督が「我々に体力的な部分では優位性があるのかなと思ったのですが、少し誤算がありました」と振り返ったように、仙台も鳥栖に負けず劣らず、前への推進力を失わなかった。
関口訓充や武藤雄樹といった攻撃のカードを次々と投入した仙台は後半にペースを握ってチャンスを作る。関口が遠目からも積極的にシュートをねらえば、ウイルソンが囲まれながらボールを運んで味方にフィニッシュを託す。45分には、カウンターから武藤が絶好期を迎えるが、シュートは惜しくも右のポストを叩いた。「盛り返していただけに点を取れず残念」(武藤)「チャンスがいっぱいあったが、ゴール前でもっと確実にできれば…」(松下)と、仙台の選手達はチャンスを量産しながら勝ち越し点を奪えなかったことを悔いた。
終盤に赤星拓と柳沢敦の激しい接触とそれに伴う赤星の治療でアディショナルタイムが大きく伸びたが、両チームはその時間帯も走り抜いた。だが、決着はつかなかった。
「7月の勝点3を期待してくれたサポーターには申し訳ない」(手倉森監督)。だが、この試合結果について、冒頭の話にちなんで鰻のように勝点2がすり抜けた、などと言うつもりはない。むしろこのタフな一戦を最後まで運動量を落とさず戦い抜いた両チームが、勝点を1ずつもぎ取った試合だといえる。尹監督は「90分、大変な中で戦い続けた選手達には、『ごくろうさま』という言葉を伝えたいと思います」と試合後の監督会見でコメントしたが、両チームのサポーターも同じ気持ちだったのではないだろうか。とにかく、タフな試合だった。
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2012.07.29 Reported by 板垣晴朗















