リーグ戦での最終順位は、その年の実力を示す。開幕前の大方の予想を色々な意味で裏切っている鳥栖とG大阪が、終盤戦での大きなヤマ場を迎えることになる。ここまでリーグ最少失点で勝点35の7位につける鳥栖が、第19節神戸戦以降3勝2分と負け知らずで、降格圏からも抜け出したG大阪を迎え撃つ試合となったからだ。

鳥栖は、「最低でも残留」（永井隆幸強化部長）を果たすためには、どこが相手でも勝点3は欲しいところ。現在の順位を見据えての戦いではないことを選手たちは十分に分かっている。「どこが相手でも、鳥栖がやることは変わらない」と尹晶煥監督はいたって冷静であることから、鳥栖の布陣も今節の狙いもここまで鳥栖を応援してきた人には説明は不要であろう。
対するG大阪は、前回の対戦時とは大きな違いを見せている。その筆頭にあげられるのは、FWレアンドロの加入ではないだろうか。前述したとおり、レアンドロの加入以来5戦負け無しと凄まじいほどの快進撃を見せている。特筆すべきは、その攻撃力である。5戦で18得点は、昨季までのG大阪の攻撃力が復活したといえるだろう。今節の戦いは、攻めるG大阪に対していかにして鳥栖が守るのか…といった見方ができる。

と、一般的には見られているであろう鳥栖対G大阪戦ではあるが、お互いのサポーターならこんな大局的な見方はしないだろう。もう少し、掘り下げてこの試合を予想したい。
G大阪の攻撃力はレアンドロを筆頭に、FW佐藤晃大（11得点）、パウリーニョ（5得点）、倉田秋（4得点）、 二川孝広（3得点）と左右どこからでも得点をあげることができる。そして、左右のDF藤春廣輝、岩下敬輔も効果的な起点を作ることができている。ラストパスの精度を持つMF遠藤保仁の説明は不要だろう。この両サイドからの攻撃を鳥栖はいかにして遮断するのかを注目しておきたい。鳥栖が、前線からプレスをかけてG大阪の自由を奪って攻撃の連携を断ち切るのか、ブロックを引いて入ってくる選手とボールを弾き返すのか、はたまたその併用なのか…。G大阪の攻撃力の復活が本物なのか、鳥栖がリーグ最少失点の真髄を見せてくれるのかが、最大の見どころといえるだろう。

そして、この最大の見せ場の陰にある注目点をあげておきたい。それは、鳥栖の両サイドMFの攻守のバランスである。G大阪の両サイドからの攻撃参加は強力だが、そこに鳥栖のつけ込みどころがあるのである。前節の神戸戦（第23節ホームズスタジアム神戸）の60分以降を思い出してほしい。MF水沼宏太の突破とクロスで幾度となく決定的なチャンスを迎えたシーンである。絵に書いたような、攻撃は最大の防御を見せてくれた。今節も、彼の暴れっぷり（攻撃的なプレー）が出てくるとG大阪の攻撃力を半減するに違いない。こちらも注目しておいてほしい。

今節は、株式会社ブリヂストンがマッチスポンサーとして様々な企画も予定されている。
〜どこまでも行こう 「ブリヂストンデー２０１２」〜と銘打って、試合観戦だけでなく、スタジアム諸共テーマパーク化するのである。今年度は「夏休みの思い出づくり」をコンセプトにＪ１昇格元年を盛り上げるイベントが数多く行われる。キッズパーク、豪華賞品が当たるガラポン抽選会、キッズスポーツチャレンジ、キッズダンス、バンド演奏、じゃんけん大会、サイン会、タイヤカフェ（展示・出店コーナー）、そして試合前のピッチではブリヂストンカップ２０１２（U12サッカー大会）などが行われる。
小学生のみなさん、夏休みの絵日記の最終ページだけでは足りないかもしれないので、そのつもりで楽しんでください。

人口が7万人をやっと超したほどの小さな街の鳥栖市。そこをホームタウンとして頑張っているサガン鳥栖。
もちろん、街の誇りでもあるし市民の自慢でもある。
他クラブに比べ、活動規模は小さいかもしれないが、『Jリーグ百年構想』を確実に形に変えている。
サガン鳥栖という形で、スポーツ文化を拡充し、「人づくり 」「まちづくり 」「夢づくり」を実践しているのである。
サッカーは、街全体がスタジアムなのである。

以上

2012.08.31 Reported by サカクラゲン