天皇杯の場では3年連続3回目となる「仙台ダービー」は、またも僅差の勝負となった。
今シーズン、仙台はJ1でリーグ戦24試合を戦って失点数は22と全クラブで2番目に少ない。一方のソニー仙台(以下S仙台)は、リーグ全体での試合数がまだ揃っていないために暫定ではあるが、JFLでリーグ最少タイの16失点(23試合)とこれまた守備が固い。注目すべきは、今シーズンの両者に共通している自陣にブロックを敷くだけではなく、高い位置でのプレッシングによる守備でこの成果を出していることである。
とはいっても、2つのカテゴリーの違いは大きい。そのためにS仙台・石川雅人監督は守備の時間が長くなることも覚悟してJFLのときよりも低めの守備体制を考え、「前からプレッシャーを掛けに行って間を通されるよりは、低くなったとしても自分たちのコンパクトな守備組織を崩さないということを第一に考えて臨みました」。中盤を厚くした4-5-1の布陣で、相手の高い最終ラインの裏を狙う策に出た。
仙台はJ1の場でこのような相手と当たった場合には、攻め急がずにじっくりパス回しでボールと相手を動かし、相手のポジションがずれたところに勝負のパスを打ちこんだりドリブルで突入したり…というかたちで対抗していた。それはこの日も同じだったのだが、「ミスで自分たちのリズムを崩してしまった。運動量も少なかった」と松下年宏が反省したように、パスをつなぐ過程でのミスが相次いで、S仙台のカウンターを招く。大瀧義史のパスにスペースを突かれたり、カットから勢いよく攻め上がった小泉慶治にシュートに持ちこまれたりした場面もあった。ただしGK林卓人やDF渡辺広大、上本大海のカバーで最後の一線は越えさせないでピンチをしのいだ。
実は今回の「仙台ダービー」は、過去2年と違い13時キックオフだった。公式記録には気温33.4度と記されているように、運動量やプレー精度などで注意が必要なコンディションだった。前述の仙台のパスミスにしても、その仙台の裏を突いたあとの攻撃で決められなかったS仙台のミスにしても、少なからず影響はあっただろう。ただし、その相手のミスを見逃さず自分たちのチャンスにつなげること、そしてミスをカバーしようとすること、その意識が、この僅差の勝負を生んだともいえる。
決勝点はそのあらわれともいえた。39分、仙台は左サイドを崩して、ウイルソンが角度のないところからシュート。これは右のポストに当たってしまったが、跳ね返ったところには「流れたボールに反応しようとしていた」という奥埜博亮が詰めていた。彼のプロ入り後公式戦初ゴールは貴重な決勝点となったわけだが、その奥埜はこの日、攻撃の組み立てでのミスが悔やまれた分、ゴールという結果を出してチームに貢献した。
S仙台は,相手が2点目のチャンスをゴールに結びつけられない終盤に布陣全体を前に上げてチャンスを増やす。最後のCKではGK金子進も攻め上がり、こぼれ球を放りこむ場面もあった。しかし仙台が1点を守りきり、粘り強く3回戦進出を果たした。
試合後は、両クラブのサポーターが互いを称える光景があった。S仙台の瀬田貴仁主将は「毎年、仙台ダービーをやったあとにベガルタのサポーターの方が『ソニー仙台』コールをしてくれるのがすごくうれしい」と感謝しつつ、「でも僕たちは負けているので悔しい思いが強いですし、勝ってあの声援を聞きたかった」と、2年前の金星再現とならなかったことを悔しがった。今度は暫定5位と好位置につけるJFLの場で、S仙台はこの日J1相手に得た収穫を生かしていこうとしている。
一方の仙台も、1週間後に迎えるJ1首位攻防戦・広島戦を前にこの日の収穫と反省を生かしていきたいところ。先制点を決めた奥埜はミスが響いて45分での交代となったことで「今日のようなプレーをしていてはダメ。また一からやり直すつもりで頑張ります」と反省した。この90分の中で両チームが見せてくれたように、今日の試合のミスをまた次回に取り返そうとする力が、またいつかピッチ上で再会するまでに両チームを成長させてくれるだろう。
以上
2012.09.09 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
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