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【第92回天皇杯 2回戦 広島 vs 今治】レポート:勝利を信じて戦い抜いた今治の歓喜。屈辱の広島、首位決戦までに立て直せるか(12.09.09)

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木村孝洋監督(FC今治)は何度も「真面目に」「真剣に」という言葉を繰り返した。「J1で優勝争いを演じる広島に勝利する可能性は、ゼロではない。それは選手にも伝えた」と木村監督は言う。問題は、選手たちがその言葉を信じ、木村監督が構築した戦術を「真面目に」「真剣に」全うできるかどうかにかかっていた。
いわゆる「格下」のチームが陥りやすい罠は、闘う前から「勝てない」と勝手に自己完結してしまうこと。そんな負のメンタルを払拭することが勝利への第一歩なのだが、木村監督はそこを見事にマネジメント。「最初の5分間、しっかりと圧力をかけようと意識した」と決勝点をあげた高田大樹は語るが、それもまた木村監督が与えた戦術だ。選手たちは「やりぬけば勝利できる」と信じ、「ボールを奪うんだ」という厳しさを伴って走った。

広島の森保一監督はこの日、代表招集や負傷者等の影響もあり、新加入の塩谷司や辻尾真二、ルーキー・増田卓也や2年目の鮫島晃太など、新しい選手を起用。それによる戸惑いもあったのか、立ち上がりから彼らは落ち着きを失っていた。余裕を保って今治のプレスをかわせず、慌ててボールを自分たちから離すシーンが目についた。

3分、左サイドから松平京が入れた何でもないクロス。だが、そこでアクシデントが起きる。「目の前に飛んできたボールだったし、僕がキャッチするとしっかりコーチングできれば」と増田は唇を噛む。森脇良太とのコミュニケーションがうまくとれず、森川龍誠のヘッドで押し込まれて失点。「ああいう失点はリーグ戦ではありえない。気持ちの緩みが出た」と高萩洋次郎は指摘する。千葉和彦も「コミュニケーションミス。自分たちのミスで失点してしまった」と悔しさを露にした。その「事故」は、木村監督が古巣・広島に勝つために考えに考えた戦術を、選手たちが真面目に取り組んできた「準備」が起こしたものだ。

広島にチャンスがなかったわけではない。8分には佐藤寿人のループ気味のシュート。10分には千葉の縦パスに石原直樹が抜け出した。だがいずれも、ゴールネットを揺らすまでには至らない。逆に今治のカウンターに対し、追加点のチャンスを与えてしまった。得意とするパス回しは、まるで速度が極端に遅いインターネットでの動画を見るかの如くギクシャクし、今治のブロックを崩すことができない。守備の軽さも目立ち、選手間の距離も遠い。クロスを入れても精度に問題を抱え、跳ね返されるばかり。

後半から投入された森崎和幸を基点とするシンプルなパス回しによって、広島はリズムを取り戻した。61分にゴールネットを揺らした佐藤の技ありシュートも、73分に今治が喫した「オウンゴール」も、判定はオフサイド。それでも75分、高萩のCKから佐藤のシュートが決まって同点に追いついた時は、「このまま広島が押し切るだろう」と誰もが思った。

だが木村監督は「追いつかれても辛抱強く闘えば、2点目をとれるチャンスは我々にもある」と選手たちに伝えていた。広島の猛攻の前に足をつらせる選手も一人ではなかったが、指揮官の檄を胸に刻んだ今治の選手たちは諦めずに守り続け、左サイドから鋭いカウンターを仕掛ける。
87分、ボランチとして広島の攻撃に耐え続けた高橋周也のループパスが背後を襲った。飛び出した高田大樹に対し、ボールウォッチャーとなった広島のDF陣は、寄せることができない。「ゴールを見ずに撃った」と語った高田のシュートは見事にネットを揺さぶる。見事なアイディアと集中力、そして技術がシンクロした美しいゴールが決まり、広島の息の根を止めた。情熱的かつ規律のあるサッカーを披露し、最後まで諦めない強い気持ちを見せた今治には、最大級の賞讃を贈っても、まだ足りない。「これを機に、FC今治を覚えてほしい」と木村監督は語ったが、日本サッカー史にその名前を刻み込む快挙と言える。

勝利を真剣に願い、考え、別の仕事をしながらもこの試合のために準備を続けてきた今治と比較し、広島は果たしてどうだったのか。森崎和幸の言葉が象徴的だ。
「下のカテゴリーに敗れての敗退は4年連続だし、問題が自分たちにあるのは明らか。球際や競り合いで全て負けていた。話にならないし収穫はゼロ。気持ちを入れずに闘ったとは思わないが、言葉ではなく、ピッチで表現しないと。もう一度、プロとはどうあるべきかを考え直さないと、どんな相手でも負ける」
実質4部のチームに敗れたのに、果たして翌週、J1首位の仙台に勝利できるのか。そんな厳しい問いかけに、広島はどんな答えを出すのだろう。森崎和幸は言う。
「これで自信をなくすようなら、試合なんてやらない方がいい。やれるというところを見せるのが、男というものだ」
それ以外に、この最大の屈辱を払拭する手段はない。

以上

2012.09.09 Reported by 中野和也
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