互いに持ち味を出し切った試合は、90分間では決着がつかなかった。2点リードし逃げ切りを図った大分に対し、水戸は怒涛の反撃で試合終了間際に追いつく。トーナメント方式ならではの延長戦で余力を尽くすもスコアは動かず、PK戦に。結果は執念で勝った水戸が勝利した。
夏のリーグ連戦を終えた後の「天皇杯全日本サッカー選手権大会」は、どのチームもコンディショニングと試合の意識付けに苦労する。疲労によるケガ人が出始める時期であり、リーグ戦終盤のし烈な順位争いの真っ只中のため、メンバー構成やメンタルのバランスを考え、チームを編成し試合に臨まなければならない。
「負けていい試合なんてない。プロである以上、戦わないといけない。トリニータは多くのサポーターがいて、多くの方がサポートしてくれるチーム。その人たちを喜ばせるためにも、勝たなければいけない」(田坂和昭監督)
「大分とは今季1勝1敗だ。勝負を決めないといけない。それと次にG大阪とできる。J1と公式戦でやれるのはこれしかない。そのすべてを賭けよう」(柱谷哲二監督)
両監督ともに勝利を義務づけ、選手をピッチに送り出した。
アウェイの水戸は、良好ではないピッチ状態に苦しみ、自陣からつなぐパスにスピードが乗らずリズムを生み出せない。一方の大分は、「(ピッチ)状況はすぐには変らない。志向を変えるしかない」と、長いボールを入れながら空いたサイドのスペースを起点に攻撃を仕掛けた。前半13分には、そのサイドからのパスを受けた丸谷拓也が「狙っていた」ミドルレンジからのシュートを右足でねじ込んだ。水戸のGK笠原昂史に「あれはしょうがない。割り切れるぐらいのシュートだった。結構ボールがブレて、1回左に行って、外に逃げた」と言わしめるスーパーショットで先制する。その後は、3バックに両WBを加えた5枚の最終ラインと中盤の3人のMFの8人でブロックを築き、カウンターから追加点を狙った。
リードを許した水戸は、徐々にピッチとアジャストし本来のパスワークが戻る。トップの鈴木隆行を起点に、2列目、3列目の選手が絡み、市川大祐、石神幸征の両SBから高い位置まで顔を出すと、厚みのある攻撃で大分ゴールを襲った。ただ、58分に警戒していたカウンターから追加点を奪われ2点差となる。守りを固める大分の必勝パターンで水戸の敗戦は濃厚だったが、「相手のゴールは2本ともスーパーシュートだったので、飲み込まれることなく、気持ちを切り替えて自分たちのサッカーを続けることができた。蹴らないで焦れずにサッカーできたことが大きかったと思う」と橋本晃司が選手全員の思いを代弁した。大分がDF登録の選手3人をピッチに送り出したのとは対照的に、水戸は攻撃の選手を投入する。75分にCKの流れから代健司のゴールで1点差とすると、完全に流れは水戸に傾いた。逃げ切りを図る大分は身体を張った守備で水戸の猛攻をはね返したが、90+2分、橋本に直接FKを決められ、万事休す。延長戦も攻める水戸、守る大分の構図を変らなかったが、スコアは動かなかった。
勝負はPKとなり、5人全員がゴールを決めた水戸が勝利。橋本が「ツキは自分たちで呼び込むものだと思っている」と語ったように、最後まで攻撃の姿勢を貫いた水戸が勝利を手にした。次の3回戦の相手はG大阪。昨年と同じ組み合わせであり、同様にジャイアントキリングで“J2旋風”を巻き起こしてほしい。負けた大分は2点リードしながら、前節の甲府戦に続き、またもアディショナルタイムに失点した。これまで紙一重の試合で勝利してきた勝負強さがなくなりつつある。この敗戦をリーグ戦への糧とすべく再生に乗り出すしかない。
以上
2012.09.10 Reported by 柚野真也
J’s GOALニュース
一覧へ【第92回天皇杯 2回戦 大分 vs 水戸】レポート:攻撃的姿勢を貫いた水戸がPKの末に勝利。大分はまたもアディショナルタイムに失点し、逃げ切りに失敗。(12.09.10)
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