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【第92回天皇杯 2回戦 大宮 vs 秋田】レポート:絶対的エースを失いながらも善戦したブラウブリッツ秋田、カルリーニョスの一撃に沈む(12.09.10)

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番狂わせは起こらなかった。JFL11位のブラウブリッツ秋田とJ1で17位に沈む大宮が、日本一の暑さで知られる熊谷を舞台に戦った天皇杯2回戦は、2−0という平凡なスコアに終わる。大宮が余裕の勝利を収めたように見えるが、少なくとも前半の45分間は波乱の匂いに満ちていた。大宮にとって嫌な流れを断ち切ったのは、圧倒的なクオリティの違いを見せ続けたブラジル人MFの一撃だった。

序盤、秋田の奇襲が功を奏した。「相手のフォーメーションが予想と違った」と金澤 慎が振り返るように、秋田はJFLや天皇杯1回戦での4−4−2ではなく、中盤の底に「バイタルエリアをつぶす役割」の島川俊郎を配した4−1−4−1の布陣を敷いた。さらに「引いて守るのではなく」(野本安啓)、前線の今井昌太、松ヶ枝泰介をスイッチに高い位置からアグレッシブにプレスを敢行する。2分には大宮の右サイドバックから松ヶ枝がボールを奪い、この試合のファーストシュートを記録。5分には北野貴之がバックパスをフィードしようとして秋田の選手に当ててしまうなど、大宮は明らかにゲームに上手く入れていなかった。

しかし12分に試合は思わぬ展開を見せる。大宮が得たコーナーキックで、秋田のFW松田正俊と大宮のセンターバック河本裕之が頭から激突し、両者ともタンカで運ばれ負傷交代。言うまでもなく、このアクシデントは秋田にとってより大きな痛手だった。秋田のサッカーは「戦術=松田」と評されるほどで、屈強なフィジカルを持つ松田の得点力とキープ力こそが生命線。昨年度はJFL得点王にもなった攻撃の大黒柱であり、この日もキャプテンマークを巻いていたように精神的支柱でもあった。大宮は14分に深谷友基を投入したのに対し、秋田はそれからも懸命の治療を続けたが、16分に至ってようやく富樫 豪をピッチに送り出した。横山雄次監督にとって苦渋の決断だったに違いない。

これで一気に大宮へ流れが傾くかと思われたが、絶対的エースを失った秋田も、「ここで気持ちを落としてしまってはいけない」(島川)と逆に奮い立った。代わってトップに入った富樫はスピードを武器に献身的なチェイスを見せ、秋田の前線からの守備は逆に活性化した。28分には大宮のDFラインのパス回しを富樫と今井のプレスで完全にハメ込み、ボールを奪ってゴールを揺らしたが惜しくもオフサイド。一方、大宮は「監督も含めて『立ち上がりからボールをしっかりつなごう』と言っていたのを意識しすぎて」(金澤)、パスは足元ばかり。秋田の高いDFラインの裏をねらう意識に乏しく、ボールを持ててはいるが崩せない時間が続く。シュート数では大宮が上回っているものの、形勢としては互角。秋田も落ち着いて、自信を持ってプレーしているように見えた。
その中で唯一、試合前のベルデニック監督の「クオリティの高さを見せなければならない」という言葉通りのプレーを続けていたのがカルリーニョスだった。この日は右サイドに配置されていたが、秋田の選手に囲まれてもまったく動じず、ドリブルで簡単に振り切るかと思えば、高精度の大きなサイドチェンジを連発。秋田も大宮も含めて、まさに一人だけ別格の存在だった。秋田は彼にマンマークを付けるべきだったが、それでも失点は防げなかったかもしれない。2人が負傷交代するアクシデントのため、アディショナルタイムは長かった。「0−0のままで前半を終われれば」(野本)という秋田の願いが現実になろうとしていた45+4分、その集中力が切れかかっているところをカルリーニョスは見逃さず、中央に侵入して左足を一閃。秋田DFに当たってコースが変わったボールが秋田ゴールに吸い込まれる。「あれがゲームの流れを大きく動かした」と、試合後に横山監督は悔しそうに振り返った。

秋田が気落ちしたようには見えなかったが、焦りから解放された大宮が本来の力を発揮し始めたことで、試合の大勢は決した。後半は大宮が主導権を握った。秋田の守備網にスペースが空きだし、前半はセンターバックとアンカーに抑えられていた長谷川 悠がボールにからむようになると、久々のスタメン出場となったチョ ヨンチョルのスピードも活き始める。68分の追加点は、そのチョ ヨンチョルがいわゆる『デル ピエロ・ゾーン』で渡邉大剛からパスを受け、本家さながらに巻いて決めた。後半の大宮のシュートは8本で、そのうち決定機が4回。秋田のシュートはゼロに終わった。

秋田の監督も選手も「富樫には富樫の良さがある」と口にはしなかったが、もし松田の退場がなかったら……との思いを秋田サポーターは断ち切ることはできないだろう。守備においてプラスに働いた面があったのは事実だが、攻撃においては大宮のミスを誘ってカウンターしか攻め手がなくなってしまったのだから。それでも後半の劣勢の中で、フォーメーションを4−4−2に変更して攻めに出て一時は押し込む時間もあったし、選手同士で大きく声をかけあって必死に戦う姿は胸に迫るものがあった。「満足と、悔しさとが半々」(横山監督)の、秋田の天皇杯が終わった。
そして大宮は、去年は大きくつまづいた天皇杯2回戦をクリアし、リーグ戦の熾烈な残留争いに戻っていく。ケガ明けの村上和弘の試運転、悩めるチョ ヨンチョルに久々の公式戦ゴールを上げさせる、同じくケガ明けの清水慎太郎に出場機会を与える、といった目的は達したものの、これまで右サイドバックで起用してきた河本を本職のセンターバックでフィットさせることは不十分に終わった。今週末のリーグ戦、同じ熊谷陸上競技場で行われる鳥栖戦において、この試合での本当の収穫が明らかになるだろう。

以上

2012.09.10 Reported by 芥川和久
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