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【第92回天皇杯 2回戦 F東京 vs 武蔵野】レポート:横河武蔵野FCが起こした痛快なジャイアントキリング!昨季王者F東京は2回戦で敗退(12.09.10)

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起こりえないことが起こった。横河武蔵野FCの選手たちが試合後、ゴール裏に陣取るF東京サポーターから勝ち名乗りを促される。手を繋ぎ、掛け声に合わせて高々と腕を伸ばした。それまでの緊張から解かれ、気持ちがほぐれて笑顔をつくる。F東京の2つ下のカテゴリーに所属するアマチュアクラブが前回王者を1−0で蹴落とした。この痛快な結果に、誰もが賛辞を惜しまなかった。

何かが起こるとき、それが始まるまでは誰にも予期なんてできない。試合を終えたばかりの横河武蔵野FC依田博樹監督も「正直、勝ってしまったという言い方になりますが」と、勝者の言葉とは思えない一言から会見を始めた。ただし、必ずそこには理由がある。

横河武蔵野は、この一戦に向けて普段着を脱ぎ捨てた。JFLを戦う4-4-2システムからこの日は5-4-1の並びにシステムを変更して臨んだ。しかも、DF金守貴紀はこのシステムで「選手が揃ってグラウンドで練習できたのは2日間だけでした。後はミーティングで確認した程度です」と言う。それでも急造システムを選手たちは、よく理解して戦った。そこに大きな勝因があった。

最終ラインに並んだ5枚の守備は、4人でF東京のワントップと両ワイドをカバーした。そして、5枚の中央に入った金守が後ろに余らず、「1.5列目に入ってくる選手を捕まえるように指示されていた」と言い、ボールホルダーに積極的にアプローチを仕掛けた。彼を中心に、F東京がボールを動かして空けようとする4枚が並ぶ中盤と最終ラインの間のスペースを上手く消して攻撃を手詰まりにした。後半、梶山陽平、ルーカス、羽生直剛といったその作業に長けた選手が入ってくるとさすがに守備もぐらつきかけたが、GK飯塚渉を中心にゴール前で体を張って無失点に押さえ込んだ。

試合は、90分を過ぎてアディショナルタイムに入った。横河武蔵野のベンチは、おそらく延長勝負だと思っていたはずだ。そのために交代カードも残していた。相手の余力の無くなったところを一刺しで沈めるプランだったのかもしれない。ただ、横河武蔵野の消耗も激しかった。延長に入って100%勝てる自信があったかというと、決してそうではなかったはずだ。

その矢先だった。敵陣で獲得したFKに、ここぞとばかりに黄色いユニフォームを着た選手がF東京ゴール前へと押し寄せた。そして、MF岩田啓佑がボールをセットして右足を振り抜いた。ボールに合わせようと待ち構えていた金守は「ああでかいなって思っていました」と頭の上を越えていくボールを見上げた。だが、そこから急角度でゴールへと迫り落ちた。慌ててGK塩田仁史が後ろ向きに飛んで右手を伸ばすが届かず、そのままボールはダイレクトにゴールネットへと吸い込まれた。

どよめきと歓声が雑多になって響き渡る。F東京のベンチではポポヴィッチ監督が「北海道から放たれたようなシュートだった」と、頭を抱えて苦い顔をした。これで横河武蔵野が演じた大番狂わせは完結した。

F東京は、クラブ史上初めてJFL勢に敗れた。普段は雄弁なポポヴィッチ監督も「何を言っても言い訳になるよ」と言葉を詰まらせた。昨季はJ2クラブとして初めて頂に立ったが、座りなれない王者の椅子から転げ落ちてしまった。F東京は、挑戦者であるべきだと教わったのかもしれない。残されたJ1と、ヤマザキナビスコカップに向けて糧とすべき敗戦だった。

代わりに今頃、ネクタイを締めて会社の椅子に座る横河武蔵野の選手たちは「昨日は、凄かったね」と掛けられた声に「ありがとうございます」と返事をして幸せ顔で仕事に打ち込んでいるはずだ。スポンサーの店舗で働く選手は、店先の会話も普段以上にスムーズに運べているかもしれない。「アマチュアの立場からすれば、これが天皇杯の醍醐味かもしれない」と金守は言った。街クラブの選手たちがプロのJ1クラブを倒したんだから、ちょっとした街や会社の誇りになってもいいだろう。大好きなサッカーとのかかわりの形を教えてくれた彼らには、胸を張って次へと進んで欲しい。

以上

2012.09.10 Reported by 馬場康平
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