リーグ戦も残り5試合となった。優勝の可能性が潰えたわけではないため、当然残り試合を全勝して広島と仙台の結果待ち…ということにはなるが、現実的に考えればAFCチャンピオンズリーグ出場権の3位以内を確保することが柏にとっては当面の目標になるだろうか。
そこで今後の対戦カードを見てみると、ホームでの3試合は、今節の大宮戦をはじめ、G大阪(31節)、神戸(33節)と続くのだが、いずれも残留争いの渦中にあるチームとの対戦となる。ネルシーニョ監督は選手たちに「大宮、G大阪、神戸は残留するために、ものすごいパワーで来る。難しい相手だ」と伝えたという。確かに、2009年に柏が残留争いを繰り広げていた時には、シーズン終盤、当時優勝争いをしていた清水を5−0で降し、最終的に8位の好成績を収めた新潟に対してもアウェイのビッグスワンで勝点3を獲得した。現在、柏が4位に付けているとはいえ、今後の試合は順位が示すほど単純な戦いではないことを肝に銘じたい。
なぜ、始めにこういう説明するのかというと、昨季第27節の大宮戦はまさしくその典型例だったからだ。優勝を争う柏は「勝てば首位に立つ」という状況で、残留争いの渦中にあった大宮を日立台に迎えた。気持ちが先走りしたのか、前半からサイドバックが同時に高い位置を取ってしまうなどバランスを欠いた戦い方に終始し、柏は大宮の術中にハマってしまう。あっさりと背後のスペースを突かれ、何度もカウンターを浴び、1−3で敗れたのだ。
前節の広島戦、柏は守備的に戦い、広島の攻撃陣にはマンマーク気味に付いて、縦パスが入るところを狙い続ければよかった。だが大宮と広島では、そもそも戦い方が違う。大宮は、前線にズラタン、ノヴァコヴィッチ、長谷川悠といった長身の選手がおり、「ロングボール」という絶好の切り札がある。さらに東慶悟、チョ ヨンチョル、カルリーニョスといった攻撃に“彩り”を与えられる存在もいるだけに、守備陣からすればロングボールだけに注意すればよいというものではない。しかも15位という順位のため、ぼやけてしまいがちになるが、実はリーグ戦では第23節の仙台戦を最後に6戦負けなし。その間、失点はわずかに2と、堅い守備とカウンターを武器に確実に勝点を積み上げている。
「大宮は高い選手が前線にいる。足元の技術も高く、長いボールにも強い。間延びせず、セカンドボールを拾って主導権を渡さないようにする」(大谷秀和)。前々節の川崎F戦、前節の広島戦と、柏の守備に安定感が戻ってきたのは好材料だが、過去2試合とは異なり、おそらく今節は柏よりも大宮の方が守備的に戦い、したたかにカウンターを狙ってくるだろう。そこで柏が前がかりになったり、陣形が間延びしてしまえば、そこは大宮の思うつぼ。大谷の言う通り、ポイントは間延びせず、セカンドボールの奪い合いで優位に立つこと。全体のバランスが崩れる、あるいはバイタルエリアに危険なスペースが生まれるようでは、昨年の対戦同様、大宮のカウンターの前に沈むことになる。
「Jリーグ選抜でカルリーニョスと一緒にプレーして、レベルの高さは分かっている」と橋本和は、サイドでマッチアップするカルリーニョスを警戒する。また、広島戦で先制弾を挙げたクォン ハンジンは、今節も右サイドバックでのスタメン出場が濃厚だと思われるが、前節のゴールに味を占め、本来の役割である守備を忘れることがないようにしてほしい。何度も言うが、昨年は左の橋本と右の酒井宏樹が同時に攻め上がり、そのスペースを大宮に狙われ、センターバックが外の対応に引き出された挙句、マークがズレた中央をラファエルや東に突かれた。
ネルシーニョ監督が「組織だった守備が全くできていない」と酷評した1年前の試合。あの教訓を、今まさに生かす時である。
以上
2012.10.26 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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