試合前々日の岡山のエースの言葉を引用したい。「もう勝てばいいと思います。どんな試合でもいいから。良い内容のゲームで負けても引き分けても意味ないし。勝つと全然違うから」(FW川又堅碁)。前半は岡山が伸びやかにプレーした。後半は栃木が気持ちを見せた。防戦一方になった後半の岡山だが、勝ちたいところで勝った。残り2試合でひとつでも順位を上げたい岡山が勝点3を上乗せした。
岡山の前線は川又をトップに、金民均と関戸健二のシャドー。今節は出場停止の田所諒に代わり、服部公太が左ワイドに入り、今季初めてキャプテンマークを巻いた。栃木は廣瀬浩二、サビアを2トップにしたオーソドックスな4-4-2。試合は互いに、「らしい」立ち上がりだったと言える。岡山は敗れた第39節草津戦、引き分けた第40節水戸戦とは打って変わって、前からプレッシャーをかけ、多くの選手が絡んでリスクも冒しながらボールを運んだ。栃木は宇佐美宏和、菅和範の両SBが高い位置をとって、パウリーニョがアンカー的なポジションでボールを拾って前に繋いだ。
岡山は前半、おおらかなプレーを見せた。トップとシャドーがそれぞれの役割を果たし、決定機を作った。先制点は前半25分。岡山のボランチ・千明聖典が栃木のSH菊岡拓朗からボールを掠めとって、左からいやらしく巧いクロスをスペースに出した。チャ ヨンファンの対応が遅れ、GK鈴木智幸が引きずり出されたところで、川又がゴールに押し込んで決めた。「狙いました。狙い澄ませました。スペースに出せば、(川又は)ああいうの巧いから、『あとはよろしく』のパターンで」と千明。
その後、菊岡の挽回を狙う鋭いシュートを岡山の守護神・中林洋次が止め、川又のロングシュートがあり、細かいスペースで奪い合った。互いの呼吸のわかった好敵手同士の戦いという感触は続いたが、岡山が前半39分に追加点を挙げる。服部のピンポイントのクロスに川又が一度潰れ、こぼれ球を関戸がシュート。クリアされるが、こぼれてきたのは川又の目の前でこれをきっちりと押し込む。「なんで起き上がったら目の前にボールあるんだって思いました」と話す川又の今季17得点目となった。
前半を終えて、栃木・松田浩監督は、「ハーフタイムの指示にしても、『男としてどうなのか』とかね、そんなところを刺激する言葉を使いました」。その言葉に応えた栃木の選手が、後半を制した。後半6分、岡山のDF後藤圭太にプレッシャーをかけ、クリアボールを廣瀬がマイボールにする。そこで後ろから詰めてきた菅がすかさずシュート。積極的な姿勢で栃木が鮮やかにゴールを決めて1点を返した。
岡山・影山雅永監督は、何度か繰り返すこととなったリードした後半の失速原因をこう分析する。「動かすところで、受ける人がいなくなってしまう。チームが乗っている時はもっと受けよう、起点になって得点に絡もう、という気持ちが働きますが、そういものがなくなると一気にボールは動かなくなる」。防戦一方となった岡山のバタバタとした対応にスタジアムのサポーターの声は大きくなった。GK中林はサビアのシュートを至近距離で止め、セットプレーでも素晴らしい反応で栃木の追加点を許すことはなかった。「公太さんのホーム最後のゲームという思いは、皆が持ちながらやった試合だったと思います」とGK中林。岡山がこの試合を失点1で勝利を収められたのは、スタジアムの空気を含む様々な要素が絡んだ「総合力」だった。
「前後半の違いは気持ちの部分だけ。今日の後半の45分を最終戦のグリーンスタジアムで90分見せるということ」と松田監督。パウリーニョは「スイッチが入るのが遅かったが、後半はプレッシャーをかけ相手が怖がるプレーが出来た。これをやっていく」と話した。次節、2012シーズン最終戦で、11位・栃木(勝点60)は9位・北九州(勝点61)と戦う。そして8位・岡山(勝点62)は10位・山形(勝点61)と戦う。ひとつでも上の順位を目指す両チームにとって、まだまだ全く気の抜けない『シーズン半ば』なのである。
以上
2012.11.05 Reported by 尾原千明
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